本記事では、ソフトテニスが上達するために不可欠な「心の習慣」について解説しています。
一見するとソフトテニスとは関係がない内容に思えますが、人が目標に向かうときには必ず関わっているものです。
その意味では、前衛や後衛、あるいはシングルスなどのポジションに関わらず重要なテーマだと言えるでしょう。
ソフトテニス上達に関わる「心の習慣」
人間には自分でも意識していない「心の習慣」があります。
心の習慣は社会の中での心の態度や振る舞いいのことですが、個人単位での心理的な習慣のことでもあります。
毎日の通勤や通学のことを思い浮かべてみてください。
家を出る時間も通る道も、毎日同じになっていることでしょう。
もちろん時間や道を変えて遅れる訳にもいきませんが、「遅れないように、毎日同じ行動を取ろう」と意識している訳ではありません。
人間は無意識のうちに、習慣化された行動を繰り返しています。
無意識の中には自分でも気が付いていない心の習慣があります。
日本の高校生の「自己肯定感」から見えてくるものとは?
ソフトテニスが上手くなるために変えるべき心の習慣は「低い自己肯定感」です。
以下で説明するように、日本社会で生きていると「低い自己肯定感」が身についている可能性が高いと言えます。
自己肯定感とは、自分の価値や存在について自分が持っている感情や評価です。
「自己肯定感を低くしよう」などとは誰も考えていませんが、日本社会の中では、やはり無意識に、根付いてしまっている習慣だと言えるでしょう。
平成29年度に国立青少年教育振興機構が実施した、日本・米国・中国・韓国の高校生に対する意識調査の結果をご紹介します。
数値はそれぞれの項目に対して、「そうだ」「まあそうだ」と答えた高校生の割合です。
・「私は価値のある人間だと思う」
【日本】44.9%【米国】83.8%【中国】80.2%【韓国】83.7%
・「私は今の自分に満足している」
【日本】41.5%【米国】75.6%【中国】62.2%【韓国】70.4%
自分は価値のある人間だと思う、と答える日本の高校生の割合は、アメリカ、中国、韓国と比較して約半分です。
自分への満足感についても、他の3か国と比べて日本だけが極端に低い結果となっています。
低い自己肯定感を示すこのような傾向は、何年も前のデータからほとんど変わっていません。
日本の高校生は、諸外国と比較して自己肯定感が低い傾向にある。
当人にその自覚はなくても、統計的にこのことは明らかです。
「心の習慣」のサイクル
「心の習慣」にはサイクルがあります。
日本の高校生が自発的に低い自己肯定感を作り出しているとは思えません。
子供の心のあり方には、周囲の大人の影響が大きいと考えられます。特に影響が強いのは親や教員でしょう。
理由は主に2つ。1つ目は一緒にいる時間が長いこと。2つ目は特に幼少期に子どもは言うことを聞かざるを得ないことです。
周囲の大人の自己肯定感が低い環境で育つと、その社会で教育を受けた子供たちは低い自己肯定感を引き継ぎます。
そしてその子供たちが大人になり、同じことを繰り返します。
自己肯定感が低いと言われても、どこが問題なのかピンとこないかもしれません。
端的に言うと、自己肯定感が低い人は自分の能力を伸ばしたり、目標を達成したりできません。
それ以上に、自分を肯定しないというのは、自分の人生や存在を肯定しないということです。
大人は子供の自己肯定感を高めるように接するべきですし、子供は自分の自己肯定感を下げる大人の言うことを一切聞かない方が賢明です。
人間の行動や習慣は脳がコントロールしています。
司令塔である脳が「自己肯定」をしていれば、私たちの行動はそれに見合った肯定的なものになります。
行動には勉強やスポーツの練習も含まれますから、その点で自己肯定感が能力に関わっています。
また脳にはRAS(ラス)と呼ばれる情報の取捨選択をしているフィルターがあります。
情報の選択の基準となるのも現在の自己イメージです。
「できる」と思っている人は達成の方法が見え、「できない」と思っている人には達成の方法は見えなくなります。
参考:ソフトテニスが上手くならない…上達を止めている「スコトーマ」とは?
ソフトテニスの上達と自己肯定感
ここまでの内容を、ソフトテニスに当てはめて考えてみましょう。
自己肯定感が低く「私はソフトテニスが下手だ…」と思っていると、どうなるでしょうか?
人間は自己イメージ通りの振る舞いをするので、ソフトテニスの練習も「できない」と思っている自分に見合ったものになります。
本当は上手くなりたいと思っていても、脳は自己イメージの世界を現実に再現しようとします。
脳のフィルターであるラスが情報を選り分けますから、ソフトテニスが上手くなる方法も見えなくなります。
反対に自己肯定感が高く、「私はソフトテニスが上手い!」と思っている場合はどうでしょうか。
「できる」と思っている人は、自然とその思考に相応しい行動を取ります。
日々の練習も上達に向けて積極的に取り組みます。
ラスは上達に必要な情報を自然と集めます。
その結果、ソフトテニス上達に必要な練習方法などが目に入ってきます。
参考:【ソフトテニス×脳科学】「理想のフォーム」が身につく!イメージの力を体感しよう!
ソフトテニス上達のために「自己肯定感」を高めよう!
ここまでの話をまとめると、自己肯定感が高いとソフトテニスは上達し、低いとソフトテニスは上達しません。
それならば当然、自己肯定感を高めたいですよね。
ではどうすれば自己肯定感を高めることができるのでしょうか?
それは自分で自分を肯定することです。
他人からの評価は関係がありませんし、自分を肯定することに根拠は必要ありません。
自己肯定感を高めるのに取り組みやすいのは言葉を使う方法です。
言葉は私たちがものを考える際の中心になっています。
「プラス思考」「ポジティブシンキング」が良いことは誰もが感じていることだと思います。
まずは実践しやすい言葉のコントロールから実践しましょう。
自己肯定のためには、自分が使う言葉をポジティブなものにします。ネガティブな言葉は一切使いません。
言葉は声に出してもいいですし、頭の中で唱えるのでも構いません。
人に悪口を言われるのは誰でも嫌なものです。
自分で自分の悪口を言うのもやめましょう。
人に言ってもらいたい言葉を、自分に掛けてあげましょう。
人の言葉をコントロールするのは難しいですが、自分の言葉はコントロールができます。
ネガティブなことを言ったときは「自分らしくない」と頭の中で自己対話をして、肯定的な言葉を使うよう修正してください。
先ほど挙げたデータでは、諸外国に比べて日本の高校生が極端に自己肯定感が低いことが示されていました。
別の見方をすれば、育った環境などの後天的なことが原因となっているとも言えます。
自己肯定感が後天的な要因で変わるということは、適切な方法によって自分で変えることができるということです。
自己肯定感を高め、ソフトテニスが上手くなるためには、以下のような言葉は使いせん。
「自分は下手だ」「ミスが多い」「勝てるわけがない」
現在の自分のプレーのレベルに関係なく、このようなネガティブな言葉は一切使わないようにしてください。
これから上手くなることへの妨げになります。
ソフトテニス上達のためには、こちらような肯定的な自己対話を心がけましょう。
「私はソフトテニスが上手い」「ボールは入って当たり前」「勝って当然」
声に出して言うことに気が引ける場合は、頭の中で自分に語りかけてください。
ポジティブな言葉を使う場合も、自分の現在のプレーのレベルは関係がありません。
自己肯定感が高まれば、それに相応しい能力は後から身に付きます。
現在試合で全然勝てなくても、すでに上手くなっているという自分のイメージを常に強化すれば、司令塔である脳がそのイメージを実現します。
参考:ソフトテニスで上達し試合に勝つために必要なゴール設定とは?
参考:ソフトテニスの試合で勝つために重要な「セルフトーク」とは
まとめ
●統計上、日本は諸外国と比べて自己肯定感が低くなりやすい
●人間は自己肯定感が高いと能力が上がり、自己肯定感が低いと能力が下がる
●ソフトテニスが上手くなるには自己肯定感を上げればいい
●自己肯定感を上げるためにはポジティブな言葉だけを使う