練習メニューの「やる気」が上がる!ソフトテニスの心理学

練習メニューの「やる気」が上がる!ソフトテニスの心理学

本記事では、ソフトテニスが上手くなる「やる気」の心理学を解説しています。

練習で高いモチベーションを保つことができれば、その分上達に繋がります。

ここでの内容をソフトテニスに活かせば、モチベーションという言葉すら不要になります。

「ついつい練習に取り組んで、自然と上達してしまう…」

脳の仕組みを正しく使えばこのような状態を作ることができるからです。

ダニエル・ピンクさんのTEDトーク

Pexels / Pixabay

TEDは世界に広める価値のあるアイディアを広めるためのスピーチの場です。

使用言語は英語で、既に数々の著名人が刺激と感動を与えており、その内容は聴衆からシビアに評価されます。

そんなTEDの歴代のスピーチの中でも高い評価を得ているのが、作家ダニエル・ピンクさんによる「やる気に関する驚きの科学」(原題”The puzzle of motivation”)です。

 

スピーチの内容を以下で整理してみましょう。

心理実験から分かること

ダニエル・ピンクさんのスピーチの中で、「人間のやる気と問題解決能力の関係」を調べた実験が紹介されています。

実験で、被験者には「ロウソクの問題」と言われる課題に取り組んでもらいます。

 

あるグループに対しては「この問題をどれくらい早く解けるか時計で計ります」と伝えます。

別のグループには「問題が早く解けた上位25%の人には 5ドルお渡しします。1番になった人は 20ドルです」と伝えます。

 

「報酬がないグループ」「報酬があるグループ」の2つのグループに分けて、問題解決にかかる時間を比較しました。

実験の結果は「報酬があるグループ」が3分半の差をつけて遅くなるというものでした。

報酬がないグループの方が、平均してより早く問題を解決できたのです。

 

一般的なイメージでは、報酬が貰えるとやる気が湧き、生産性が上がるように思われるでしょう。

実際、単純作業のスピードであれば、報酬によって作業効率が上がります。

しかし柔軟な発想や創造性が必要とされるような問題に対しては、報酬が支払われることでむしろ問題解決能力が低下する結果となりました。

報酬を貰うということは、「自分はこの行為そのものには価値を感じていないが、報酬を貰うためにやっている」という意識になりやすい。

人はしたくないことで力を発揮することができないのです。

「内発的動機」と「外発的動機」

本人が「したい」という内側から湧く気持ちで行うのは「内発的動機」によるもの。

外部からの働きによって「しなければならない」と言う気持ちで行うのは「外発的動機」によるものです。

 

動機付け(やる気向上)としてよく見られるのは「テストで○○点以上取ったら欲しいものを買ってあげる」などのような、報酬によって人を動かすものです。これは外発的動機に当たります。

しかし先ほどまでに確認したように、この方法では本人が自分の行為そのものに価値を感じられない恐れがあります。

労働に対して正当な報酬を支払うのは契約上当然のことですが、報酬のみを目的にすると、パフォーマンスは下がります。

 

また問題は、生産性の面だけではありません。

内発的動機によって動いている場合はそのプロセス自体が充実したものになります。本人がしたいことをしているので当然です。

しかし外発的動機は、人生時間という何物にも代えがたいものを手段とし、本来手段であるはずのものを目的化してしまうリスクが潜んでいます。

 

Point

・モチベーションには「内発的動機」と「外発的動機」がある

・内発的動機はパフォーマンスが高く時間が充実する

・内発的動機を活かすことが本来の意味でのモチベーション

n参考:「心の習慣」を変えるとソフトテニスが上達する!

ソフトテニスの練習メニューのやる気をアップ

ソフトテニスの練習でやる気をアップするにも、「内発的動機」による活動を行うことが望ましいです。

自分が上手くなりたいから、ソフトテニスが楽しいから行うという姿勢を保つ方が、結局実力も上がりやすくなります。

「上手くなるためには真剣に練習しなければ」と思いがちですが、本当に上手くなりたければ、自ら能動的に「楽しむこと」や「遊ぶこと」が理に適っているでしょう。

 

「外発的動機」による状態、つまり他人から強制されれている意識では、練習を効率的に行うことはできせん。

そもそも効率以前に、本来部活動などでソフトテニスをすることは強制ではありません。

本人がより充実した時間を過ごすために行っているスポーツで、他人が強制して動かすことがあれば、それ自体に問題があります。

 

内発的動機のパワーを知るために相応しい例は、魚類学者でタレントの「さかなクン」でしょう。

ご存知の通り、さかなクンは魚の種類や生態について膨大な知識と経験を持っています。

学校偏差値が高い人が試験を課され毎日必死に魚の勉強をしたとしても、さかなクンには遠く及ばないと思います。

 

人は興味があることに関しては自然とその知識を習得しますし、知るという行為そのものによってさらにモチベーションを上げるサイクルに入ります。

ハーバードビジネススクールが行った実験によれば、内発的動機による労働生産性は、外発的動機による生産性の756倍にも上るという結果となったそうです。

努力する人は、楽しむ人には勝てません。

 

外発的動機による練習は効果が低い上に、自分の人生時間を自分の意に沿わない形で費やしている恐れがある。

「やる気を出さないと」と思うこと自体、自分以外の誰かによって強制されている可能性があるサインです。

自分が行うのであればそれは自らの自由な意志による選択で「したい」からする。

他人からの強制による行為で、自分はそれを選択しないのであれば、自己責任の下で拒否するのも大事な態度ではないでしょう。

 

ソフトテニスをする場合は自らの自由な選択で、上達のプロセス自体を多いに楽しむのが良いでしょう。

また真剣勝負の中にこそ、「遊び」を入れてみることもお薦めです。

好きな漫画の内容と、嫌いな科目の内容だと、好きな漫画の方を脳は効率よく覚えます。

ソフトテニスも上手くなるためには内発的動機によって取り組む姿勢や環境が大切です。

 

Point

・ソフトテニスが上手くなるためには「内発的動機」で練習する

・好きなことをしていると常に高い意欲で臨める

・ソフトテニスは楽しむことで上手くなる

参考:ソフトテニスが上手くなるために理解するべき「クリエイティブ・アボイダンス」とは?

参考:正しい練習のマインド!ソフトテニスが上手くなる「農耕型」とは?

まとめ

●人間の動機には大きく2種類ある

「内発的動機」=「~したい」という気持ちで行うこと

「外発的動機」=「~しなければならない」という気持ちで行うこと

人は内発的動機で行うとき大きな力を発揮する

●ソフトテニスは自分の自由な意志で行うこと

●真剣に上手くなりたいと思うからこそ「楽しむこと」「遊ぶこと」を能動的に取り入れてみる

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