ソフトテニスはフィードバックと自動調節で上手くなる!
今回は、ソフトテニスの上達の中心を「ボールコントロール」と捉えて、その仕組みを解説していきます。
ソフトテニス上達の仕組みが分かれば、それに合った練習を行うことができ、上達はしやすくなります。
キーワードは「フィードバック」と「自動調節」です。
Contents
ソフトテニス上達の中心「ボールコントロール」を理解する
ソフトテニスの技術の基本は、「ボールコントロール」だと考えます。
ボールコントロールとは「狙い通りにボールが打てる技術」のことです。
ここで言うコントロールはコースだけでなく、ボールのスピードや回転、軌道などの要素も含みます。
フットワークや試合展開なども重要な要素ですが、狙ったコースにボールを打てなければゲームでは通用しません。
ボールコントロールの内容をまとめるとこのように表現できます。
「ソフトテニスの上達で大切なことは、ボールを狙ったコースに、自分が意図したスピードや回転、軌道で打てること」
ボールコントロールの精度を高める仕組みと方法を以下で理解していきます。
フィードバックを使えばソフトテニスは上手くなる
フィードバックとは「ある出来事の結果が、その原因の側に戻って影響を与えること」です。
一般的には原因によって結果が起こるのが基本です。
しかしフィードバックの場合は、結果の側から原因にアプローチします。
具体例を通して確認してみましょう。
フィードバックの例
【学校のテストの場合】
テストを受けると、受験者が行った勉強に対応した点数が返ってきます。
この場合、勉強が「原因」で点数は「結果」です。
返ってきたテストの点数によって、どこが理解できていて、どこが理解できていないのかが分析できます。
テストの点数という結果をデータとして、原因であった勉強の側を改善することができます。
【ペットボトルロケットの場合】
ペットボトルロケットの飛距離の実験をしているとします。
「地面に対してどの角度が飛距離が伸びるのか?」あるいは「どのような軌道を描くのか?」
自分でそれらの情報を得るには、実験を行い、データを集める必要があります。
すでに試した角度や飛距離などの記録をもとに、次の角度に対する予測や修正を行います。
これまでに得られた飛距離や軌道という結果から、原因となる射出角度などを修正することができます。
ソフトテニスにおけるフィードバック
ソフトテニスのボールコントロールにおけるフィードバック。
それは「自分が打ったボールという結果から、自分の体の動きという原因を調整し改善すること」です。
ソフトテニスのプレーヤーは、ショットの原因であるフォームの側に気を取られがちです。
体の動きはもちろん大切ですが、フォームはボールに合った動きができて初めて意味があります。
いかに綺麗なフォームを身につけてもそこにボールがなければ綺麗な空振りに過ぎません(きれいなフォームでは上達しない?ソフトテニスの正しいフォームの思考実験!)。
自分のショットの結果である「打った後のボール=飛んでいくボール」は、自分の体の動きの結果を示す重要なデータです。
「自分が打ったボール」という情報のフィードバックを常時受け取ること。
これによって「自分がどう打つとボールがどう飛ぶか」という感覚が脳の中で正確に学習されていきます。
打ったボールからの情報を受け取らなければ、自分の動きの結果が脳内で学習されません。
打ったボールの情報を受け取らないのは、受けたテストの結果を受け取らないのと同じことです。
改善点が分からないままに、次の試験に臨むことになります。
それでは修正ができませんね。
ショットが上手くいかなかった場合も、結果に一喜一憂する必要はありません。
ミスショットも含めて、これから自分のプレーを改善するための一つの情報です。
淡々とボールに意識を向けることを続けてください。
後に解説している「自動調節機能」によって、体の動きとボールの動きが自然に最適化されます。
参考:前衛・後衛に共通する「ソフトテニスが上手くなる」ことの本質とは?
参考:精密なショットのメカニズム!ソフトテニスは「パターン認識」で上手くなる!
脳の「自動調節機能」で体の動きが最適化される
人間の脳には「自動調節機能」が備わっています。
脳はこの機能によって、自分で意識することなく勝手に最適な動きをするように体を絶えず調節してくれます。
体が勝手に最適な動きをしてくれる機能を、ソフトテニスに活かすことができれば理想的だとは思いませんか?
次はフィードバックと連携して働く自動調節機能を解説します。
自動調節機能を理解する
先ほどの説明にもあったように脳の自動調節機能は「勝手に」働きます。
名前にもある通り「自動的」に働くということです。
「そんな機能があるならば、ぜひ使いたい!」と思いますよね。
実は私たちは日常的にこの働きの恩恵に与っています。
例えば私たちが歩いている時には、自然と体のバランスを取りながら動いています。
つまり自動的に体の動きやバランスが調節されています。
人間は赤ちゃんの頃はハイハイをします。
成長するにつれて、物に掴まって立つ練習を繰り返し、次第に自分の力で立って歩けるようになります。
何度も立ち上がろうとして、バランスを崩す。
トライ&エラーの繰り返しによって体の動きを脳が自動的に学習し、調節を行います。
「どう動くとバランスが保てるのか?」
「どう動くとバランスが崩れるのか?」
動きの結果から原因を改善するため、フィードバックとの連携で調節がなされていきます。
自転車に乗る時も無意識にバランスが取られています。
自転車も始めは何度も転びながら練習しますが、徐々にフィードバックが積み重ねられ自然に乗れるようになります。
脳が自動的に働き体の動きが調節されるのであれば、これほど楽なことはありません。
しかし一つ注意しておきたいことがあります。
それは「自動的に」働く機能であるために、本人にも実感が持ちにくいということです。
自動的ということは、本人も気が付いていない「無意識」の働きです。
気が付いていないことなので、実感が持ちにくいのは当然です。
しかし先ほど書いた通り、私たちは体が自動調節されることで、初めて日常生活が送れています。
日常的にフィードバックと自動調節機能によって支えられているということを知っておいてください。
そうすると、ソフトテニスにおいてもこれら2つの機能が使えることが納得できるはずです。
ソフトテニスにおける自動調節機能
ソフトテニスにおける自動調節機能は「自動的にボールに対して最適な動きを学習し、理想のショットを出力すること」。
簡単に言うとソフトテニスの動きは脳が勝手に学習するということです。
「フォームを意識して練習してもなかなか上達しないのに、勝手に上手くなるなんて信じられない!」と思うかもしれません。
実際は、自動調節機能を使うことなしにソフトテニスが上手くなることはあり得ません。
ソフトテニスで打つボールは毎回違います。
ボールのスピードや回転、角度などが完全に同じボールはまずないでしょう。
ということは、毎回違うボールの動きに毎回違う体の動きで合わせる必要があるわけです。
これは「トップストローク」や「アンダーストローク」などの分け方では対応しきれません。
ボールの高さや角度は無限に細かく分けられるからです。
無限に細かく分けられるソフトテニスのショットを毎回正確に実現する。
考えるほど途方もないことですが、私たちはすでにそのようなことを容易に実行しています。
それが自動調節の例に挙げた「歩くこと」や「自転車に乗ること」です。
体の微妙なバランスを取りながら歩く。
自転車でバランスを取りながら毎回違うカーブの角度を正確に調整する。
精密なバランスや角度の調整は無意識の自動調節機能によって、私たちが当たり前にしていることなのです。
精密なショットのコントロールは意識してできることではありません。
脳の自然な学習に任せ、体の、無意識の、自動的な調節に任せる必要があります。
ソフトテニスで「フィードバック」と「自動調節機能」を活用する方法
最後に、ソフトテニスで「フィードバック」と「自動調節機能」の2つを活かして上達する方法を簡単に説明しておきます。
基本はボールに意識を向けて打つことを繰り返すことです。
ボールにしっかりと集中して、体の自然な反応に任せて打ちます。
自分が打ったボールにもしっかりと意識を向けて集中してください。フォームなどは気にしません。
打ったボールの良し悪しに関わらず、脳は情報を収集して、次のショットの修正のために学習してくれます。
ソフトテニスにおける脳内での学習は、自転車に乗れるようになった時のように自動的に進みます。
前述の通り、無限に細かく分けられるソフトテニスのショットを、意識して正確に打ち分けることは不可能です。
体の自動調節機能をしっかりと活用しましょう。
今回はの内容は、実例を交えながらの理論的な説明を中心としました。
理論に納得ができたら、次は実践に移してみて下さい。
ソフトテニス上達の理論は、実践し体感してこそ意味があります。
参考:脳が最速で学習する!ソフトテニス上達の1つ目のポイント
まとめ
●ソフトテニスの上達は「フィードバック」と「自動調節機能」を使う
●フィードバックとは「ある出来事の結果が、その原因の側に戻って影響を与えること」
●自動調節機能とは「自分で意識することなく、体の最適な動きを絶えず調節する働き」
●ボールに意識を集中して打つことで、脳が勝手に学習しショットを最適化