ソフトテニスの「正しいフォーム」とは?
今回は、ソフトテニスの「正しいフォーム」について解説しています。
ソフトテニスのフォームの悩みを解決しよう!でも書いた通り、フォーム自体はハイレベルなプレーの本質ではなく、動きを後付けで説明したものです。
ソフトテニスのプレーの本質は「感覚」で、それは才能ではなく正しい練習方法で誰でも習得できます。
本稿では少し違った角度から、改めてフォームについて考えていきたいと思います。
Contents
ソフトテニスの「正しいフォーム」とは?
ソフトテニスの正しいフォームのポイントはこちら。
・ソフトテニスのフォームは上級者の動きを後から説明したもの
・正しいフォームとは、ボールに合った効率的な体の動きのこと
それでは、フォームについての各ポイントを詳しく見ていきましょう。
ソフトテニスのフォームは後付けの説明
ソフトテニスの「フォーム」は後付けの理論です。
上級者の動きはスムーズでそのフォームは綺麗だと感じることが多いでしょう。
「上手い人はフォームが綺麗」というのは、ソフトテニスの理論でフォームが重視される理由の一つだと思います。
ですが「フォームが綺麗なこと」は、「フォームが原因でテニスが上達した」ことの根拠にはなりません。
上級者のフォームが綺麗であることが事実でも、その人がフォームを覚えることで上手くなったとは言えないのです。
フォームはソフトテニスが上達する原因ではなく、あくまで結果として身に付いているものです。
実際には練習を繰り返すうちに動きが洗練され、全身が連動したスムーズなプレーができるようになります。
練習によって身に付くスムーズな体の動きは、外から見るとフォームが綺麗だと感じられます。
しかしフォームが綺麗なのはあくまで機能面が優れているからで、スイングの形を真似しても上達には繋がりません。
以上のような理由から、ソフトテニス上達のためにはフォームを意識する必要はないと思われます。
ソフトテニスの正しいフォームとは?
ソフトテニスのフォームは、上達のための本質ではない。
ではタイトルにある「正しいフォーム」とは何なのでしょうか?
それは、ボールに合った動きのことです。
ボールに合った動きには以下の2つの意味があります。
①飛んでくるボールに合った動き=相手が打ったボールに対応した動きであること
②飛んでいくボールに合った動き=自分が打ちたいボールに対応した動きであること
両者を分けて考えてみましょう。
①飛んでくるボールに合った動きであること
ソフトテニスの正しいフォームは、プレーヤーの方に飛んでくるボールに合ったものです。
例えば綺麗なアンダーストロークのスイングをする選手がいたとしましょう。
フォームだけでなく、実際にアンダーストロークで優れたショットを打つことができます。
そのアンダーストロークのスイングで、ロブのバウンドの頂点でスイングするとどうなるでしょうか?
形としては綺麗なスイングですが、相手が打ったボールに合っていなければ空振りになってしまいます。
アンダーストロークとして優れたスイングだとしても、打点がずれるとショットが打てません。
体全体が使えたスイング自体は大切ですが、ボールに合ったものでなければボールは正確に飛ばないのです。
ボールに合った動きの重要性は、初心者の頃を思い出すと、実感が掴みやすいでしょう。
ソフトテニス初心者はボールの落下地点に上手く入ることができません。
しかし、練習を繰り返すうちに落下地点が予測ができるようになります。
これは頭で考えてボールの軌道を計算しているわけではありません。
反復練習によって脳内でボールの動きのパターンが学習され、感覚としてボールに合わせた動きができるようになります。
落下地点の予測と同じように、スイングのフォームも反復練習によってボールの動きに対して最適化されていきます。
②飛んでいくボールに合った動きであること
「飛んでいくボールに合った動き」とは「自分が打ちたいコースに合ったラケットスイング」のこと。
想像してみると分かりますが、シュートボールを打つときのスイングと、ロブを打つときのスイングは違います。
カットストロークを打つときも、ラケットの軌道は大きく異なるものになります。
自分が打ちたいボールのスピードやコース、あるいは回転の種類によってもスイングが自然と変わります。
飛んでくるボールに合わせて落下地点に入るだけでは、ボールコントロール技術は成立しません。
飛んでいくボールに合わせた体の動きと両立されることで、初めて正確なショットを打つことができます。
自分が打ちたいコースや球種によって、正しいフォームは変わるものなのです。
動きそのものだけを切り取って、正しいかどうかという評価はできません。
「状況」に合ったラケットスイングができることが、ソフトテニスの動きの本質です。
以上がボールに合った動きについての2つの説明です。
2つに共通しているのは、体の動きだけはなく「ボールに合っているかどうか」が基準になっている点です。
体全体が連動したスムーズな動きも重要な要素ですが、あくまでスイングの本質はボールに対応すること。
目的はボールコントロールにあることを押さえておきましょう。
このことは、ストローク・ボレー・スマッシュ・サーブ…というショットの種類に関わりなく通底しています。
全てのショットは、ボールに合った動きができれば狙い通りのボールを打つことができます。
参考:前衛・後衛に共通するソフトテニスが上手くなることの「本質」とは?
参考:【ソフトテニス×脳科学】「フォーム無視」は「ブロークン・テニス」ではない!?
「正しいフォーム」を身につけるために重要なもの
前章ではソフトテニスの正しいフォームについて確認しました。
ここからは、正しいフォームを身に付ける方法を考えていきます。
・ボールに合った動きの感覚を身に付ける
・脳は繰り返しによって自然と学習するため、反復練習によって感覚を磨くことができる
ソフトテニスのハイレベルなプレーは、ボールに合った動きが身に付くことで可能になります。
先ほど確認した通り、ボールに合った動きはソフトテニスのショット全てに共通しているポイントです。
「正しいフォーム」でボールを打つためのポイント
ボールに合った体の動きを実現するために大切なもの。
そのポイントは「感覚」です。
練習によって感覚を磨き、ボールに合った正しいスイングが直観的に分かる状態を目指しましょう。
ここで、ソフトテニスの上級者のプレーを想像してみてください。
「後衛なのにボレーも上手い」
「前衛なのにシングルスも強い」
このような本職のプレー以外も上手い選手が実際にいますよね?
もちろんストローク練習、ボレー練習と、ショットの種類毎の練習は行っていることでしょう。
しかしボールに合った動きができれば、ストロークもボレーも同じようにコントロールできるのです。
上手くなるために重要なのはボールの動きと体の動きのネットワークができること。
これは全てのプレーに共通する感覚が身についているということです。
ソフトテニスでプレーヤーが打つボールは毎回違います。
ボールのスピード、回転、角度、風etc...などの要素が完全に一致するボールはまずあり得ません。
しかしソフトテニス上級者は毎回違うボールに対応して、正確に打つことができます。
これがソフトテニスで身に付けるべき技術です。
このボールへの対応能力・調節能力が、記事の冒頭で「感覚」と呼んでいるものです。
「感覚」を磨くための練習方法
感覚によって正確なショットを生み出す方法とはどのようなものなのでしょうか?
基本は繰り返しによって身に付きます。
「感覚」とは言い換えれば「慣れ」のこと。
脳は繰り返しによって自動的に学習する性質があります。
脳の中には多くの細胞があり、その細胞同士の間に新しい神経のネットワークを作ることが、物事を学ぶときのメカニズムです。
好奇心を持って繰り返し物事に取り組むことで、脳内では自然とネットワークが増えていきます。
脳の学習のメカニズムを考えれば、本来ソフトテニスも自然と上達するはずです。
バックハンドやスマッシュを苦手とする選手は多いですが、これらも反復練習で上手くなるのが事実です。
練習を行っても上達が感じられないとすれば、そこには上達を妨げる原因があります。
それがプレー中にフォームなどを考えることです。
脳はプレーそのものを学習する必要があるのに、別のことに気を取られていては上手くいかないのは自然なことです。
今この瞬間のプレーにしっかりと意識を注ぎ、フォームなどを頭で考えることをやめましょう。
すると脳にプレーの情報が送り込まれ、ソフトテニスが自動的に上達します。
ボールが思い通りにコントロールできる「正しいフォーム」は「ボールに合った動き」です。
そしてボールに合った動きは、反復練習によって磨かれた感覚によって生み出されるものです。
フォームについての関連記事はこちら。
参考:ソフトテニスの正しいフォーム=言葉の文法?言葉でソフトテニスが見えてくる!
ソフトテニスの本質的な技能を高める方法はこちら。
参考:脳が最速で学習する!ソフトテニス上達の1つ目のポイント「集中」
参考:脳機能が理想のプレーを実現する!ソフトテニス上達の2つ目のポイント「イメージ」
まとめ
●上級者のフォームは後付けの理論
●「フォームが綺麗」≠「フォームが原因で上達する」
●「正しいフォーム」はボールに合った動き
●ソフトテニスが上達するのは、ボールへの対応能力・調節能力が磨かれるということ