本記事では、ソフトテニスの試合で実際に戦術が使えるようになる方法を解説しています。
ソフトテニス上達の基本は、技術=ボールコントロールを身につけることにあると思います。
しかし、どのようなスポーツでも、ハイレベルな選手というのは高い視点から試合全体を見渡せるようなプレーができるものです。
磨いた技術を試合で活かすためには、試合展開まで含めたプレー=戦術が必要になってきます。
上記の記事でも説明している戦術ですが、これらを実際の試合に活かすためのポイントを、今一度確認しておきましょう。
ソフトテニスの試合戦術を活かすためのポイント
ソフトテニスの戦術を試合で活かすために本当に大切なことは「理論」ではなく「実践」です。
実際のソフトテニスの試合における戦術とは「直観」という形で現れることが多いです。
頭で考えることではなく体で感じることによってこそソフトテニスのレベルが上がっていきます。
ソフトテニスの試合戦術の基本
頭を使って考えるのは以下のような時間に行うようにしましょう。
■高い視点で考えるタイミング
・試合のポイントとポイントの間
・ソフトテニスをしていない時間
簡単に言うとインプレー中は戦術について頭で考えないということです。
ソフトテニスのプレーをしていない、インプレーでない時間をアウトオブプレーと言ったりしますが、考えるのであればその時間に行う方が良いでしょう。
実際のプレーを行っていない時にだけ、「どのコースを狙うか?」「相手の動きに対してどう対応するか?」と考えたり、イメージを行います。
反対に実際のプレーに入るとボールをよく見て目の前のプレーに集中する必要があります。
集中力を高めておけば直観が働き、相手が予測外の動きをしても反応できます。
直感というと曖昧なものだというイメージがあるかと思いますが、人間が持つ重要な能力です。
相手前衛の動きを何となく感じ取ってコースを変えたりする試合の組み立ては、直観の働きなしには行えません。
そしてそのような直観による試合展開こそが、ソフトテニスの重要な戦術なのです。
【心理実験】ソフトテニスの試合で使える直観を理解する
直観の働きを示す面白い心理実験があります。
被験者はレバーを操作してゲームを行いそのスコアに応じて賞金が支払われます。
ゲームを始める前に画面上に1円か100円のコインの画像がランダムで表示され、以下の条件を提示しました。
・1円画像が表示された場合→ゲームのスコアの1倍の賞金
・100円の画像が表示された場合→ゲームのスコアの100倍の賞金
fMRIで脳の活動を記録すると、100円の時の方が、被験者のやる気を示していると思われる部分の活性化が見られました。
この実験の面白いところは、ここからです。
今度は被験者たちに1円と100円の画像が見えないくらい短い時間に一瞬だけ表示される、サブリミナルでの実験を行いました。
被験者たちは画面に表示されている画像が1円なのか、100円なのかを意識して見ることができません。
しかし先ほど同様fMRIで脳の活動を見てみると、100円の時は画像を意識して見えていた時と同様にやる気に関わる部位が活性化していました。
つまり本人の意識としては気が付いていない情報も無意識がキャッチして、脳が反応しているということです。
さらに、ゲームのコントロールパッドを握る手に込められる握力を測定したところ、サブリミナルでも1円の場合と100円の場合で反応が違っていました。
意識に上っていないにも関わらず体が反応していたのです。
100円の画像が見えていなくても、自分は手に力を込めている。
慣れてくると自分の体の反応から逆算することで、表示された画像が1円だったか100円だったか、本人には見えていなくても当てられるのだそうです。
今回サブリミナルで行った実験で見られた脳と体の活動は、以下のようにまとめられます。
・本人には見えたという意識もないのに、無意識が情報を捉え、体が反応する
・体が反応していることを自覚して初めて、自分の意識の上で認識ができる
無意識の働きなので自覚しづらいことですが、実験ではこのような人間の仕組みが明らかになっています。
体の持つ直観的な働きや、無意識の働きを自覚して活用できれば理想的だと思いませんか?
ソフトテニスのプレーにも、直観や感覚と呼ばれるものが不可欠です。
・脳は本人も気が付いていない情報をキャッチしている
・体の感覚を活かせば優れた運動ができる
・ソフトテニスの判断にも直観を使う
参考:【ソフトテニス】試合展開が上手くなる!安定した後衛ストロークを打ち分ける思考法
ソフトテニスの試合戦術を活かす方法
ソフトテニスの試合で、直観を活かすことが高度な戦術に繋がることを確認してきました。
前衛プレーヤーであれば、「ポーチボレーに出るのか?」「ディフェンスをするのか?」「スマッシュを追うのか?」これらの選択肢を瞬間的に判断する。
後衛プレーヤーであれば、ストロークは「シュートなのか、ロブなのか?」「コースはどうするのか?」このような選択肢を、やはり一瞬で判断し、ベストな選択を行います。
実際、上記の選択肢をじっくりと考えたところで正解は得られません。
日常の何気ない選択も、一つ一つの要素を全ての情報を考慮してベストな選択をすることはできないのです。
そこで重要なのが「体の内側から湧きあがる直観というサインを大事にする」ということです。
考えて行うのではなくむしろ考えるのをやめることで直観を引き出す感じです。
ポイントは「リラックス」と「集中」です。
ポイント①リラックス
心身がリラックスしていると、広い視点で物事を判断することができます。
反対に緊張している状態では視野が狭まり、正常な判断能力を発揮することができなくなります。
前衛でも後衛でも、ソフトテニスのプレーは、常に複数の選択肢があります。
そのコースを狙っても相手に読まれるということはありません。
出来る限り体の力を抜いてリラックスしてプレーを行うことで、広い視野でコート全体を見渡せるような状態を作ることができます。
深いリラックス状態を作るためには、日ごろから意識して体の力を抜くことを習慣化しておくと良いでしょう。
そうすることで、ソフトテニスの試合本番でも自然と力を抜いてプレーすることができます。
リラックスするために有効な方法は、呼吸を使う方法です。
ゆっくりと息を吐きながら、頭から顔、肩…ふくらはぎ、つま先と、順番に全身の力を抜いていきます。
ポイントは吐きながら緩めること。
この呼吸を繰り返すことで、リラックスした体の状態が体感できます。
ポイント②集中
ソフトテニスが上達する最重要ポイントでもあるのが集中です。
集中状態に入るためには、ある一点に意識を向ける方法があります。
ソフトテニスのプレー中は、ボールだけに集中することが非常に重要です。
ここまでの説明もプレー中は気にせず、ボールに集中するという実践こそが大切です。
「集中が大切だ」と頭で考えている状態と、実際に集中している状態には大きな違いがあります。
ボールだけに集中して、頭の中から雑念が消え、体が自然と動き出すような直観的なプレーの「体感」を重視してください。
本サイトでは「集中」「イメージ」「リラックス」の3つをソフトテニス上達のポイントとしています。
これらの3つを上手く使いこなせば相互に作用し合い、ソフトテニスは加速度的に上達します。
ただし理論的な説明にこだわって上達の本質である実践面が疎かになるのは避けたいところです。
どうしても頭を使い過ぎてしまう場合は「ボールに集中する」というただ一点だけを行ってみてください。
ソフトテニスが伸び悩む人で多いケースがフォームなどを考えるあまり、自然な体の動きが出来なくなることです。
考えることそのものが悩みの原因となっているときさらに考えても解決策は見えません。
必要なのは「考えるのをやめること」=「ある対象に100%意識を集中させること」。
これだけで、自分の中で複雑に絡まりあっていたプレーの問題がスルスルとほどけていきます。
本当に重要なのはボールへの集中を実践し、その直観的なプレーを体感することです。
理想は「考えること」と「考えないこと」のスイッチを自由自在に切り替えること。
ソフトテニスはフォームなどを考えることに偏りがちなので、ボールだけに集中し、考えず直観的にプレーすることだけを実践する方が効果的でしょう。
・集中状態が無意識を活かす鍵
・「考えること」と「考えないこと」を使い分ける
・頭で考えるだけでなく体の感覚を大事にする
参考:「ゾーン」への扉が開く!?ソフトテニス上達の1つ目のポイントを徹底分析!
参考:「モンスター」が目覚める!?睡眠から分かるソフトテニス上達のコツ
まとめ
●ソフトテニスの戦術を本当に活かすために重要なのは「理論」ではなく「実践」
●インプレー中は戦術について頭で考えない
●脳はサブリミナル(意識的に認識できない情報)でも無意識にキャッチする可能性がある
●試合で直観を戦術として活かすためのポイントは2つ
①リラックス→ゆっくり息を吐きながら体を緩める
②集中→ボールだけに集中して直観力を研ぎ澄ませる
●試合でのプレー中に高い直観力を引き出すためには集中状態でプレーすることが不可欠