本記事では、ソフトテニスの試合本番で力を発揮するための準備について解説します。
部活動の場合練習は毎日のように行いますが、試合は長くても数日の間の出来事。
練習で時間をかけて積み上げてきた技術を試合の本番で発揮したいと思うのは当然のことでしょう。
試合でのパフォーマンスを高める、脳の仕組みを活かした方法とはどのようなものでしょうか?
ソフトテニスの試合前には「メンタルリハーサル」を実践しよう
ソフトテニスを日々練習していれば当然試合で存分にその成果を発揮したいと思うものです。
しかしいざ試合になると練習通りに体が動かないという経験をする方も多いでしょう。
試合で力を発揮するためにはプレー中も重要ですが、今回は試合前日などの事前の準備にフォーカスします。
結論から言うと、試合前に行うことは「メンタルリハーサル」です。
メンタルリハーサルとは「頭の中で本番の様子を想像(イメージ)し本番で自分の力を発揮することを目指す方法」です。
イメージの有効性は脳機能が理想のプレーを実現!ソフトテニス上達の2つ目のポイントでも説明しています。
本章ではまずメンタルリハーサルの効果について説明していきます。
効果をしっかりと理解しておくことで実践をより確実に行えると考えるからです。
メンタルリハーサルで期待できる効果は「本番をすでに経験済みの慣れ親しんだ状況だと感じられること」です。
練習中にできるプレーが試合本番にできなくなるのは、試合中に感じる「緊張」や「プレッシャー」が原因です。
普段できているということは、本人の技術面ではなくメンタル面への働きかけが有効でしょう。
試合本番でパフォーマンスが下がるのは、実は人間の本能に書き込まれている反応です。
人間にとって慣れ親しんだ空間のことを「コンフォートゾーン」と呼びます。
人間はコンフォートゾーンの内側でしか高いパフォーマンスができませんし、無意識にコンフォートゾーンの内側に留まろうとします。
コンフォートゾーンを維持する脳の働きは無意識に起きることで、本人にも実感が湧きにくいところがあります。
そこで、以下では具体的な例を見ながら人の心の働きを理解することにしましょう。
ホームとアウェイ
スポーツの「ホーム」と「アウェイ」の例は、コンフォートゾーンの話そのものです。
ホームでの試合は見慣れた試合会場で、自分側のサポーターが多い環境下で試合を行います。
アウェイはその反対。チームの拠点から離れ、相手側のチームのサポーターが多い状況での試合です。
プロアスリートであっても、ホームの場合の方が格段にパフォーマンス良いのが一般的です。
自分たちが慣れている場所で、応援してくれる人たちに囲まれてプレーをしている方が一流のアスリートであっても力を出しやすいのだと言えそうです。
スピーチ
日常の例だと、大勢の人の前で「スピーチ」をする場合などは分かりやすい例です。
友人との会話ではいつもスラスラと話せる人でも、人前に立ってスピーチをすると途端に上手く話せなくなったりします。
面接試験などの場合にも、同じことが言えるでしょう。
友人と話せている訳ですから、言葉を話す能力自体には何の問題もありません。
にもかかわらず、場面が変わると途端にパフォーマンスが大きく変わります。
以上のような例から、人間の脳にコンフォートゾーンの働きがあることが分かるかと思います。
なぜ人はコンフォートゾーンの内側を心地よく感じ、その外側では力が出せないのでしょうか?
生物にとっては、慣れ親しんだ環境に留まることが生き延びる確率が最も高い選択でした。
現存する生物は「個体の生存」と「種の保存」の両方を続けてきた種です。
そのため、コンフォートゾーンの内側に留まることが本能的に心地よいと感じるようになっています。
慣れない試合の雰囲気の中では居心地が悪くなり、パフォーマンスが下がることがあります。
一方で、試合でも力を発揮できる選手がいるのも事実です。
試合本番という環境下でなぜいつも通りのプレーができるのでしょうか?
その選手にとっては「試合がコンフォートゾーンになっているから」です。
試合が脳にとって心地よい空間であれば、普段の練習と同じような感覚でプレーすることができるようになります。
普段通りどころか本番でプラスアルファなプレーすらも期待できます。
本番をコンフォートゾーンにするには「これは慣れ親しんだ空間だ…」と本人が考えるだけでは不十分です。脳内にあるイメージを書き換える必要があります。
その方法が今回ご紹介している「メンタルリハーサル」です。
次章でメンタルリハーサルの具体的な方法を確認して見ましょう。
参考:ソフトテニスの試合で初戦負けから抜け出す「心の使い方」
ソフトテニスのメンタルリハーサルの方法
ソフトテニスの試合で力を出すには脳が試合を慣れ親しんだ空間として認識すること。
そのための方法は2つです。
①試合を何度も経験する
②試合のメンタルリハーサルを行う
ワーク①試合経験
試合自体の経験が増えると試合に慣れることができます。
実際に試合の経験を何度も積むことで試合に慣れ、実力が発揮できる。
普段の練習と同じように、試合本番の状況が自分にとってのコンフォートゾーンに変わっていきます。
試合で力を発揮したいのに、そのために何度も試合を経験するというと元も子もないですが、効果はあります。
現在慣れている場所も始めは新しい未知の空間でした。
試合を何度も経験しているうちに自然と脳が慣れて自分のプレーができるようになってきます。
リラックスして試合に臨められればベストですが、緊張を気にしすぎないのも大切なことです。
ソフトテニスの試合以外でも緊張感が高まる場面はあります。
普段とは違う雰囲気の中でリラックスするのは難しくても、その経験をしっかり味わう気持ちが持てれば理想的です。
実際に経験する方法も効果はありますが、今回の趣旨とは違います。
皆さんに試合前の準備として取り組んでほしいのは、始めにも紹介した②試合のメンタルリハーサルをするです。
それではメンタルリハーサルの方法を見ていきましょう。
ワーク②メンタルリハーサル
試合のメンタルリハーサルを行うことで本番でのパフォーマンス向上が期待できます。
ソフトテニスのメンタルリハーサルは自分が試合本番で理想のプレーをしているところをリアルにイメージすること。
「リアルに」というところがポイントです。イメージで重要なのは「臨場感」です。
試合のイメージを思い描くには、まるで本当に体感しているかのようなりリアリティが感じられることを目指しましょう。
「テニスシューズが地面を蹴る感覚、ボールを打つインパクトの音、周囲からの声援…」のように、五感を使って試合の場面を鮮やかに思い浮かべます。
また可能ならば、実際の試合会場で試合をしているところを思い浮かべてください。
訪れたことがある試合会場であれば記憶を利用してイメージします。
訪れたことがない場所での試合はインターネットなどで写真や映像を見てからイメージすると効果的です。
試合会場をリアルにイメージする方法は、オリンピック選手でも海外での競技前などに行うイメージトレーニングです。
頭の中で思い描かれたリアルなイメージは現実の自分に影響を与えます。
脳は現実とイメージを区別しません。
現に私たちはフィクション映画の世界で感動して泣いたり、恐怖で心拍数が上がったりしています。
映像の中で起こっていることにも臨場感を感じれば体が現実と同じような反応をします。
想像の世界で何度も試合のシミュレーションを積むことで、実際に試合を何度も経験するような効果があります。
それどころか脳内では自分の望むプレーを自由に想像することができます。
そして自分の理想のプレーのイメージが現実の自分のパフォーマンスに影響を与えます。これがイメージが持つ強さです。
メンタルリハーサルを繰り返し行うことで試合本番がコンフォートゾーンになります。
つまり何度も経験済みの空間としてプレーすることができるようになります。
今回紹介している方法はソフトテニス以外にも、受験や面接などにも使える方法です。ぜひ実践してみてください。
まとめ
●人間は「慣れ親しんだ空間」=「コンフォートゾーン」でしか力を発揮できない
●試合本番で力を発揮するには、試合をコンフォートゾーンだと脳が感じるように働きかける
●試合をコンフォートゾーンに書き換える方法は2つ
①試合を何度も経験する
②試合のメンタルリハーサルを行う
●試合のメンタルリハーサルの方法は「自分が試合本番で理想のプレーをしているところをリアルにイメージする」
●脳は現実とイメージを区別しておらずリアルなイメージは現実の身体に影響する