本記事では、ソフトテニスのバックハンドが確実に上手くなるための練習方法を考えてみたいと思います。
本サイト内にバックハンドを解説した記事はいくつかありますが、今回は特に「現実にボールを打つ練習を行わずにバックハンドが上手くなる方法」の可能性を探りました。
執筆中に意識したわけではなかったのですが、練習時間が取れないこ最近の時流に合ったものになったと思います。
ソフトテニスのバックハンド上達のメカニズム
「ボールを打たずに上手くなる練習方法」の前に、まずはボールを打つ基本的な練習の理論を知っておきましょう。
「ボールを打たない練習法が知りたい!」という方はこちらは飛ばして頂いても構いません。
バックハンド上達とは感覚を磨くこと
バックハンドが上手くなりたい方はこのように意識していませんか?
「バックの打点は前」
「ラケットは上に振りぬく」
実はこれらの方法ではバックハンドは上手くなりません。
確かに上の説明はバックハンドが得意な人の打点や振りぬき方を説明しているかもしれませんが、それはあくまで結果として身に付いているだけ。
バックハンドの技術の中心にあるのは感覚です。そして、感覚を磨く方法こそがソフトテニス上達の正しいルートです。
目的地に向けて進んでいるつもりでも間違ったルートではいつまでたっても辿りつけません。正しいルートを進みましょう。
人間も自然界を生きてきた生き物で、体の働きは他の動物たちとあまり変わりがありません。
立って歩いたり、座ったり。
日常の動きも全身の筋肉・関節が連動していますが、それは潜在意識レベルの話で、考えて行っているのではないですよね。
考えすぎると体の直観が働きにくくなってしまいます。
バックハンド上達の基本はボールに集中してバックハンドを繰り返し打つことです。
ボールに集中することで脳がボールの動きを重要なものだと感じ取り、スイングを最速で学習していきます。
これがボールを打って行う練習での、バックハンド上達のコツです。
バックハンドが上手くなるためには、トライ&エラーが不可欠
ソフトテニスのバックハンドが上手くなるために必要なものがあります。
それは「失敗」です。
現在打てないショットがこれから打てるようになる。
練習中には何度も上手くいかない経験を積んで、それを続けることでバックハンドの技術が身に付いていきます。
転ぶことを恐れて自転車に乗らなければ、いつまでたっても乗れるようにはなりません。
スポーツの技術はフォームを考えることではなく、淡々と反復練習を行うことで体で覚えていくのです。
ただボールだけに集中して何度もバックハンドを練習すれば、自然と体が慣れてきます。
「失敗」を最小限におさえたい場合は…?
エラーは時に成長のための必要なプロセスですから、「前に進んでいる証拠」と捉えるのがベストだと思います。
とはいえ「バックハンドを打つ時に何も考えず、ボールだけに集中してショットを繰り返す」という方法が、多くのプレーヤーにとって実践しづらいことなのではないかと考えました。
そこで今回のテーマである「ボールを打たずにバックハンドが上手くなる方法」の登場です。
バックハンドの反復練習の回数を必要最小限におさえる秘訣を公開します。
ボールを打つ練習法の基本も役立つので覚えておいてください。
「歩くこと」「自転車に乗ること」のなど日常の例から分かる通り、ソフトテニスのスイングも繰り返しで何となく感じがつかめてきます。
フォアハンドが得意な人でも初心者の頃はあちこちにミスショットを打ちながら上手くなったことは覚えておいてください。
・バックハンドはフォームを気にせず、ボールに集中して体に任せる
・反復練習によってバックハンドの感覚は自然に磨かれていく
・物事が上手くなるためにはトライ&エラーが不可欠
・失敗を積み重ねが学習のためのフィードバックとなって、脳内で自動的に修正が行われる
参考:【ソフトテニス】バックハンドは「体の邪魔をするのをやめる」と上手くなる!
バックハンドが「ボールを打たずに」上手くなる
バックハンドを現実に練習する回数を最小限におさえて、最短距離で上手くなる方法。
ボールを打っても上手くならなくて悩んでいるのに、そんなことが可能なのか?脳と体の仕組みを考えれば十分に可能です。
バックハンドの技術は2つの要素に分けることができます。
■バックハンドの技術
①体が連動した動きであること(運動連鎖)
②ボールに合ったスイングであること
これらはソフトテニスのショットすべてに通じます。
ボールを打たない練習では①の「運動連鎖」をメインとします。
そしてボールを実際に打つ練習で②の「ボールとのリンク」が早く身に付くように、事前にイメージで下地を作ります。
バックハンドのリアルなイメージを作る
バックハンドのイメージトレーニングをしましょう。
バックハンドの理想的なイメージを脳内で強化するのです。
脳内にリアルなスイングのイメージがあれば、体は現実としてそれを再現します。
脳は「現実」と「仮想」を区別していません。
映画や小説の世界に入り込んでいるとき、脳は身の回りの物理的な世界よりも物語の世界に臨場感を感じています。
脳が最も強く臨場感を感じている世界がその人にとっての「現実」です。
ソフトテニスのプレーのイメージも臨場感を感じれば現実に影響を与えます。
「トップ選手のプレー」
「自分の理想のプレー」
このような現実に自分が行っていないプレーでもイメージなら体験できます。
理想的なソフトテニスのプレーを見ているとき、脳内では自分がそれを行っているかのようにシミュレーションがなされます。
イメージは物理的な制約がないにもかかわらず、現実に影響を与えるのです。
バックハンドが上手い選手の動きを繰り返し見れば、自分のバックハンドが上手くなります。
見るだけで上達の効果が感じられなくても、練習時には確実に上達のスピードが上がります。
脳は思い描いたイメージに無意識に向かう性質があるからです。
トップ選手のバックハンドが目に焼き付いたら、今度は自分が最高のバックハンドを打っているところを鮮やかに思い浮かべます。
「足を踏み込む時の感触、完璧にボールを捉えた時のインパクトの快音…」
映像に五感の情報を張り付けることでイメージトレーニングがより効果的になります。
■内本選手&増田選手のバックハンド
バックハンドが上手い選手は数多くいますが特に参考になりそうな動画を一つご紹介します。
2016年に開催されたアジア選手権、男子シングルスの準決勝の映像です。
内本選手と増田選手どちらのプレーヤーを見てもバックハンドのお手本になると思います。
参考:ソフトテニス動画まとめ!イメージトレーニング【男子シングルス編】
参考:ソフトテニス動画まとめ!イメージトレーニング【女子シングルス編】
バックハンドの動作をボールを打たずに身に付ける
バックハンドの動作は何もバックハンドを実際に打たなければ身に付かない訳ではありません。
「素振り」でもスイングを身に付けることはできます。
脳は繰り返しによって自然に学習するのでしたね。それならば素振りでも動きが改善されていくことになります。
■バックハンドのスイングを身に付ける方法
・ラケットを持ってスイングする
・シャドースイングをする(腕振り)
・タオルで素振りをする
ラケットを持って行う場合の他に、室内なら腕だけの素振りやタオルで素振りがいいでしょう。
力が抜けると体は自然に連動します。
フォームなどは気にせずに、自然な体の動きに任せて素振りを行いましょう。
ボールが飛んできて、自分がボールを捉えて打っているイメージをしながら行うとより効果的です。
素振りでもバックハンドに求められるスイング動作は磨かれていきます。
ただし、バックハンドの技術完成には「ボールに合ったスイング」が必要であることです。
この点についてはボールだけに集中して現実にボールを打つほうがいいでしょう。
「壁打ち」でバックハンド練習を行う
部活動などの練習外でバックハンドを打ちたい場合。使える場所があれば「壁打ち」でもショットは上手くなります。
壁打ちならば相手もいませんし、自分が好きなだけバックを繰り返し打つことができます。
普段の練習ではフォアハンドが多くなりがちなため、意識してバックハンドを多めにするといいかもしれません。
もちろんこの時ボールだけに集中して体の自動的な反応に任せてスイングします。
打ったあとのボールにも集中することで、ボールの軌道を脳が学習してくれます。
・脳は現実と仮想を区別しておらず、臨場感のある世界から影響を受ける
・理想的なバックハンドのイメージを徹底的に作り上げ、現実での練習を最小限に抑える
・ボールを打たない練習で、バックハンドの動作をあらかじめ身に付けておく
参考:脳が最速で学習する!ソフトテニス上達の1つ目のポイント「集中」
参考:ソフトテニスは「考えない」方が上手くなる!?センスが覚醒する練習法!
終わりに
以上がバックハンドの練習を最小限におさえながら確実にレベルアップする練習方法の提案でした。
途中にも触れた通り、現在できないことを身に付けるためには成長のプロセスとして「失敗」があるのはOKです。
上手くなるための練習としてミスショットを含め何度でもバックハンドを打ち、身に付ける方法でもいいと思います。
今回の内容は「部活動などでの練習時間外に行える、効果的なトレーニング」と捉えてもらっても構いません。
スマッシュが上手くなりたければ、スマッシュのイメージ→素振り→壁打ちという流れになります(スマッシュの壁打ちは難しいかもしれませんが)。
サーブもボレーも、基本的には同じステップで各ショットの動作を作り上げることができます。他の記事とはやや違う視点での内容となりましたが、何かヒントがあれば幸いです。
まとめ
●バックハンドはボールに集中して体に任せて打つことを繰り返す
●スイングを頭で考えて修正しようとすると脳の自然な学習の妨げになる
●物事が上手くなるためにはトライ&エラー。過程にある「失敗」は成長のプロセス
●バックハンドの理想的なイメージを強化すると、現実のプレーとして再現される
●「シャドースイング」「タオル素振」りなど室内で行えるトレーニングを行う