本記事ではテニスのすべてのプレーに通じる本質を解き明かすことを目指したものです。
テニス理論では「サーブ」「ボレー」などショット毎にフォームを分類したものが多いでしょう。
しかし世界のトップ選手は様々なショットを高いレベルで身に付けていて、それは一見違っているショットに共通する本質を押さえているからなのです。
テニス上達の本質とは何か？
テニスのプレーにはメンタル・フィジカルといくつもの要素が関わっています。
今回はシンプルにテニスの技術の中心を「ボールコントロール」とします。
ボールコントロールとは「ボールの回転、スピード、軌道などを思い通りに打ち分けること」です。
ボールコントロール能力が上がることがテニスが上手くなることです。
ゲームでのパフォーマンスは分からないとはいえ、ボールコントロールが優れていれば技術的には上手いと評価できるでしょう。
テニスの技術の中心にあるのは感覚
テニスのボールコントロールは感覚によって可能になります。慣れといってもいいでしょう。
テニスの技術は頭でフォームなどを考えて身に付くものではありません。
テニスの技術について分かりやすい例が自転車です。
自転車は繰り返し練習すれば乗れるようになりますが、どうやって乗っているのかは本人にもよく分かりません。
これが人間にとっての運動です。
正しいスイングフォームとは？
ボールを正確にコントロールするためにはボールに合ったスイングが必要です。
「ボールに合ったスイング」というショット実現の機能を持った動きこそがテニスの正しいフォームです。
テニスで打つボールは毎回変わります。毎回違うスイングでボールに合わせることでナイスショットが生まれます。
反対に決まったフォームを意識するとボールへの変化に対応しづらくなります。
体全体を使ったスムーズなスイング動作も重要ではありますが、これもフォームを意識しても身に付きません。
体の力が抜いて、自然な動きを繰り返すことで体が連動しスイングが効率化されていくのです。
サーブもボレーもストロークもすべて同じ！
ボールに合ったスイングという点はサーブ、ボレー、ストロークなどすべてのショットに共通しています。
脳がボールの動きを正確に感知して、体の動きがボールに合ったものであること。これがテニスの技術の本質です。
トップ選手が様々な技術をハイレベルまで高められているのはショットに共通する感覚が磨かれているからです。
さらに進めれば「ボールに合ったスイング」は卓球、テニス、バドミントンなどのラケット競技すべてに通じます。
物事に共通する点を抽出して学習を進めれば、スピーディかつ広がりのある上達ができるようになります。
テニスが上手くなるためには「体の感覚でボールに合ったスイングができるようになること」。
自転車に乗るように、直観的にボールに合った動きが感じられるように練習を行いましょう。
・テニスの技術は「ボールコントール能力」
・テニスは「感覚」を磨くことが上達の道
・「ボールに合ったスイング」がコントロールの秘訣
テニスの本質を磨く練習方法
「テニスが上手い」＝「ボールに合ったスイングが感覚的にできること」でした。
ここからはボールに合わせる感覚を磨くテニスの練習方法を解説します。
脳科学を活かした最速のテニス練習法
学習を行うのは脳の役割。つまり脳科学に基づく練習方法がテニス上達の正しいルートです。
脳がボールに合ったスイングを学習する方法を行えば、テニスはスピーディに上達します。
脳の学習の基本は「反復練習」です。
繰り返し練習を行うことで脳内では新しい神経ネットワークが作られ、技能レベルが上がります。
これも先ほどから挙げている自転車の例が分かりやすいでしょう。フォームなどを意識しなくても繰り返しによってバランスのとり方を脳が学習していきます。
「ボールを感じる」テニス上達法
では脳が最速でボールコントロールを学習する練習法とはどのようなものでしょうか？
最も大切なのは「ボールに集中」することです。
ボールに合わせた体の動きをするためにはボールを感じることが不可欠です。
ボールをよく見て意識を集中すれば脳がボールの情報をキャッチします。
フォームなどは意識せずにボールだけに集中し、体のフィーリングで打つことを繰り返してください。
テイクバックなどを意識していると自然な体の動きがかえって妨げられてしまいます。
自分が打ったボールもよく見ることが上達のコツです。
自分が打っているボールの軌道を脳が感じ取り、次のスイングを無意識レベルで修正してくれるからです。
意識してフォームを修正しようとせずに「体に任せる」感じでただボールだけに集中してください。
ボールへの集中を継続すると？
ボールへの集中も始めのうちは効果が感じられないと思いますが、気にせず続けてください。
「集中しよう！」と頑張るよりも、なんとなく気楽に行う方が力が抜けてメンタルなコンディションは良くなります。
ボールへの集中状態を繰り返して習慣化すると、体の動きとボールの動きがネットワーク化されます。
ボールに合わせてスムーズに体が動き出すのです。
脳は意識を集中したものを重要だと感じて記憶します。
「灯台下暗し」と言われるように、脳が重要だと感じていないものは目の前にあっても認識できなかったりします。
目の前のボールに意識を向けず頭の中で「テイクバックを早く」などと考えていると、最も重要なボールの情報にノイズが入っている状態になります。
サーブ・ボレー・スマッシュ、全てのショットが上達する！
テニス練習の基本は「ボールに集中して反復練習すること」。
先述の通り「ボールに合ったスイング」はサーブやボレー、スマッシュなど全てのショットに共通しているものです。
サーブが上手くなりたければサーブを繰り返し打つ。
バックハンドが上手くなりたければバックハンドを繰り返し打ちます。
練習しているショット以外が上手くなることもよくあります。
ボールに集中してフォアハンドを練習しているうちに、バックハンドも打ちやすくなるということが起こりえるのです。
ショットの種類に関係なく、体の動きとボールの動きが上手く同調することによってプレーは良くなっていくからです。
技術を細かく分けるのではなく、内側にある本質に目を向けましょう。
トップ選手のフォームはプレーヤー本人が感覚で行っている運動を後付けで説明したものです。
説明としては正しいかもしれませんが、形を真似することで技術が身に付くわけではありません。
テニスが本当に上手くなるためには感覚を磨く練習を実践することが大切です。
・脳は「反復練習」で自動的に学習する
・「ボールに集中」すると脳がボールの情報をキャッチする
・全てのショットはフォームを気にせず体のフィーリングで上手くなる
参考：脳が最速で学習する！ソフトテニス上達の１つ目のポイント
まとめ
●テニス上達＝ボールコントロール能力の向上
●テニスの正確なショットはすべてボールに合ったスイングによって実現する
●毎回変わるボールの動きに合わせるためには体の感覚が重要
●「ボールに集中」することで脳がボールコントロールの感覚を学習する
