【ソフトテニス】脳科学を活かしたサーブ上達のコツとは?
今回は、ソフトテニスのサーブのコツを解説しています。
サーブにはいくつか種類がありますが、ここで扱うのは上から打つオーバーサーブについてです。
カットサーブについては別の記事で説明しています(【ソフトテニス×脳科学】切れ味抜群!カットサーブ上達のコツ)。
サーブは各プレーヤーが自分で好きなように打ち始めることができる、唯一のチャンスです。
ラリーは常にサーブかレシーブから始まります。
レシーブは乱打などでも練習ができるストロークの技術ですが、サーブはストロークとは動きが異なります。
ストロークとは別に、しっかりと練習しておくと良いでしょう。
Contents
ソフトテニスのサーブの「グリップ」
サーブのレベルを上げたければ、グリップチェンジを行うことがお薦めです。
サーブのグリップのポイントはこちらです。
・サーブのグリップは「セミイースタングリップ」か「イースタングリップ」
・グリップチェンジをすることでサーブに自然なリストの動きが使える
・サーブのグリップチェンジには慣れが必要
普段のストロークのグリップはウエスタングリップが基本。
ウエスタングリップでも威力のあるボールを打つことはできます。
しかしスマッシュやサーブで威力を出したり、回転を掛けたりするためには、グリップチェンジが必要になってきます。
グリップの種類と特徴
ソフトテニスで使われる主なグリップの種類と特徴をご紹介します。
始めに、今回のテーマであるサーブに向いているグリップから見ていきましょう。
セミイースタングリップ
サーブのグリップは「セミイースタングリップ」がお薦めです。
セミイースタンは、ウエスタングリップとイースタングリップの中間のグリップです。
ストロークのラケットの握りから、手のひらを親指側に一角分ずらして握ります。
下でご紹介しているイースタングリップもオーバーサーブで使われるグリップです。
ご自身の手に馴染み、スイングがしやすいグリップを選んでみてください。
ウエスタングリップ
ウエスタングリップは、ワンバウンドのストロークを打つときのグリップです。
ラケットを地面に置いて、ラケット面と手のひらが平行になるように握ります。
手のひらとラケット面が同じ向きですから、自然とボールに力を伝えやすいグリップでしょう。
イースタングリップ
ウエスタングリップを90°ずらしたのがイースタングリップ。
包丁を持つ握りだったり、ラケットと握手をするような握り方になります。
イースタングリップでは回転が掛けやすくなります。
ウエスタングリップがボールに対して垂直のラケット面になるとするなら、イースタンではラケット面が水平になります。
ボールに力を伝えて飛ばすのではなく、薄いラケット面での摩擦で回転をかけることができます。
前述の通り、イースタンもサーブに向いているグリップです。
ソフトテニスでは主に「カットサーブ」「スライス系のショット」などで使用されるグリップになります。
【補足】
ここでご紹介しているグリップは、同じ握り方について異なる名称が使われることもあります。
今回はソフトテニスで一般的だと思われる名前で統一しました。
サーブでグリップチェンジをするメリット
サーブでグリップチェンジをするのはなぜでしょうか?
それはリストの自然な動きが使えるからです。
関節には可動域があって、ウエスタングリップのままサーブを打つと、手首の動きが上手く使えないと言われています。
イースタンやセミイースタンで使えるのが「うちわであおぐ時の動き」です。
後述しますが、実際にサーブを打つときに「手首でうちわの動きを使って…」と考える必要はありません。
あくまで自然なスイングの中で、広い可動域でリストが動くということを押さえておいてください。
以上がグリップの種類と、サーブでのグリップチェンジのメリットになります。
硬式テニスはもちろん、多くの軟式テニスプレーヤーもサーブやスマッシュではグリップチェンジを行います。
ただしソフトテニスの国内トップクラスの選手でも、ウエスタングリップで強烈なサーブを打つ選手はいます。
上手く打つためにグリップがあって、グリップは目的ではありません。
グリップチェンジに慣れるまでには、ある程度の時間がかかります。
グリップの変更後すぐに打てないからと言って、自分に合っていないと判断しない方が良いでしょう。
グリップを変える場合と変えない場合、どちらも経験してから選ぶのがいいと思います。
参考:【ソフトテニス×脳科学】切れ味抜群!カットサーブ上達のコツ!
ソフトテニスのサーブのフォーム&技術
ここからは、サーブのフォームや技術について理解していきましょう。
始めにポイントをまとめておきます。
・サーブの技術の本質にあるのは「感覚」
・フォームは上級者の動きを後から説明したもので、意識するものではない
・サーブの練習を繰り返し行うことで、サーブの動作は自然に効率化されていく
サーブが上達する上でベースとなる仕組みを確認しておきましょう。
サーブの技術で本当に大切なのは「感覚」です。
感覚は生まれつきの才能などではなく、反復練習によって身につけられる脳の働きです。
脳は繰り返しによって自然と新しい神経のネットワークを作り、学習を進めてくれます。
正しい方法でサーブを練習すれば、脳内では自然と効率の良い体の動きが自動的に学習されていきます。
感覚というと曖昧なようですが、私たちは日ごろから体の直観的な動きに頼っています。
歩くときには片足を地面についている状態で、体のバランスを取りながら動けます。
また自転車に乗る時も、何となくバランスの取り方やカーブの曲がり方が感じられるはずです。
感覚によって様々なことが行えるのは、皆さんがすでに体験済みのことです。
ソフトテニスではフォームが重視されがちですが、これでは上達は難しいでしょう。
フォームは優れた感覚を身につけたプレーヤーの動きを、後付けで説明したものです。
「練習を続けるうちに感覚が磨かれる→効率の良い体の動きが身に付く」という順番です。
外から見ると綺麗なフォームにはなりますが、それは形を覚えたからではありません。
重要なのは頭で考えることではなく、体で感じることです。
サーブ練習のポイント
ストロークを打つ本数とサーブを打つ本数では、どうしてもサーブの方が絶対数が少ないでしょう。
ストロークは乱打などで連続でラリーが続けます。
しかしサーブを連続で打ち合うことはありません。
サーブはゲームの一球目で打つという性質から、練習の球数が少なくなる傾向があると思います。
先ほど確認した通り、技術を身につけるための基本は「反復練習」です。
サーブの感覚をしっかりと身につけるためには、球数を多く打つこと。
意識してサーブを多めに打つように練習メニューを調整するのも良いでしょう。
サーブの動作に慣れる練習法
サーブの動きに慣れるための練習として、サーブに近い動きで練習する方法もあります。
ストロークやボレーなどの異なるショットにも、体の動きの共通する部分は活かせます。
それは体の回転であったり、体重移動だったりします。
サーブの場合は頭の上で打つ動作で、動きはスマッシュと似ています。
スマッシュを練習することでサーブも上手くなったり、その逆もあるでしょう。
またサーブやスマッシュの動作は、ボールを投げる時の動作に似ています。
そこでサーブの動作の練習として「キャッチボール」や「遠投(ボールを遠くに投げる練習)」なども取り入れると、体の基本的な動きが身に付きます。
キャッチボールはソフトテニスの全国大会常連校も実践している練習です。
ラケットでボールを打つ動作が上手くなるためには、体の基本的な動きができる方が良いのです。
実際に見たことがありますが、野球経験者の方はソフトテニス部員よりも速いサーブを打つことがあります。
ボールを投げる動きに関して圧倒的に優れていますから、その動作を活かせば鋭いサーブが打てます。
バドミントン経験者もソフトテニスをするとサーブやスマッシュが上手い傾向があると思います。
参考:【ソフトテニス×脳科学】高速ラリーを実現!速いストロークを打つ方法!
参考:【ソフトテニス×脳科学】高確率で入るサーブの種類&コツ!
サーブが上手くなる「練習方法」
ここまでで「サーブのグリップ」と「サーブの動き」を確認しました。
ここからはサーブが上達する具体的な練習方法について説明します。
練習のポイントはこちらです。
・サーブの軌道を逆算でイメージしておくと、体は無意識にイメージ通りのコースを狙う
・ボールに集中してサーブを練習しすることで脳が自然と学習する
・ボールをよく見て体の動きに任せてスイングすることがサーブ上達の近道
方法は以下の2つのステップで行います。
①サーブの軌道を逆算でイメージする
②ボールに集中してサーブを打つ
この2つのステップは「ボールを自分のイメージ通りにコントロールする能力を養う練習方法」。
ボールコントロールという点では、全てのショットに通じている練習です。
2つの練習方法を詳しく解説していきましょう。
練習法①サーブの軌道をイメージする
サーブを打つ前に、ボールの軌道をイメージして準備を行いましょう。
現実にボールを打つ前に準備として脳内でシミュレーションしておくことで、ショットの上達が速くなります。
「ボールの軌道を逆算でイメージすること」。
自分が打ちたいポイントから自分の打点まで逆算でボールの軌道をイメージします。
人間は自分が見ている方向やイメージした方向に進む習性があります。
頭の中でレモンを食べているところを思い描くと、体はそれに反応してだ液が出ます。
イメージの世界と現実の体の状態が一致しているということです。
サーブの練習においても、ボールの軌道をイメージしておけば体はそのコースを自然に狙います。
目標達成の基本はゴールを先に設定することです。
目的地となる地点を先に決定してしまうことで、あとからそこに至るためのプロセスが浮き上がってきます。
これは旅行に行くときのことなどを想像すると分かりやすいでしょう。
詳しい移動手段などはあらかじめ知らなくても、行き先が決まればそこへ至る道筋が後から決まります。
サーブのイメージも始めにゴールありき。
狙いたいポイント(位置)を定めておき、そこからの逆算でプロセスが決まります。
以上がボールの軌道を逆算でイメージする理由です。
先にイメージを作っておけば、打つ時にはコースを意識して狙う必要はありません。
脳内に作られたイメージを再現するために、体の動きは自動調節されていきます。
頭で考えてフォームなどを修正しようとすると、かえって体の働きを妨げる原因になります。
リラックスして、ただ体の自然な動きに任せてボールを打ちましょう。
サーブのイメージはボールの軌道だけでなく、動きをイメージすることも効果があります(脳機能が理想のプレーを実現!ソフトテニス上達の2つ目のポイント)。
まずは上級者のサーブの動きを見ることから始めましょう。
上級者の動きを見るだけでもスポーツは上達します。
自分の理想のプレーを思い描くイメージトレーニングもお薦めです。
参考:ソフトテニス動画まとめ!イメージトレーニング【男子後衛編】
参考:ソフトテニス動画まとめ!イメージトレーニング【女子後衛編】
練習法②ボールに集中してサーブを打つ
ボールの軌道のイメージが作られたら、実際にボールを打って練習を行います。
トスは先ほどイメージした狙いたいポイントを注視しながら、リラックスして上げると良いでしょう。
サーブを打つときには、ボールだけに集中します。
ボールに集中することで脳がより早くサーブの感覚を学習します。
これは前章で触れた脳の学習の仕組みを活かすためのポイントです。
脳には繰り返しによって学習する性質がもともと備わっています。
ソフトテニスのフォアハンド、バックハンドなどの動作もそれぞれ分ける必要はありません。
フォアもバックも、それぞれを繰り返し打つことで自然と上手くなります。
サーブが上手くなるためにはサーブを繰り返し打ちましょう。
フォームは気にせず体の自然な動きに任せてスイングしてください。
フォームなどをあれこれ考えていると、目の前のプレーから意識が離れてしまいます。
ボールだけに意識を集中することで脳がプレーの情報を受け取り、自然と感覚が掴めます。
ボールがイメージしたコースとずれても気にせずに、淡々とボールへの集中を維持しましょう。
ボールを打った後に「当たりが悪かった」「コースがずれた」と考えると、ボールに対する集中が浅くなります。
ボールに集中することで、ボールの飛び方がデータとして自然と脳内に送られます。
その情報を基に、脳は自動的に体の動きを修正してくれます。
脳が体の動きを自動調節することは、先ほどの自転車の例などからも確認済みです。
サーブの練習を繰り返すうちにイメージと現実のボールの軌道のギャップが修正されていきます。
気楽に試してみるくらいの気持ちでOKです。
サーブで重要なのはフォーム(形)を覚えているかどうかではありません。
サーブの動きに慣れて効率の良い体の動きができることです。
全日本クラスの選手が「左手(逆利き手)でサーブを打ってください」と言われたらどうでしょうか?
ソフトテニスの上級者であっても、利き手でなければサーブを打つのは難しいと思われます。
彼らはフォームを理解しているどころか、利き手では実際にそのプレーができています。
それでも動作に慣れていない逆利き手だと打てません。
つまりサーブ上達のために本当に大切なことは、反復練習によって動作に慣れること。
フォームを覚えたり意識したりすることではないのが分かります。
参考:【ソフトテニス×脳科学】沈んで、入る!「ショルダーカットサーブ」のコツ!
まとめ
●サーブのグリップは「イースタングリップ」か「セミイースタングリップ」
●グリップチェンジをすることで、スイングに手首の自然な動きが使える
●サーブが上手くなるためには、反復練習によって感覚を磨くことが大切
●サーブ上達の方法
①ボールの軌道を逆算でイメージする
②ボールに集中して打つ
●「先にイメージを作っておき、プレーに集中する」→イメージが現実として再現される