本記事では、ソフトテニスのサーブのコツを解説しています。
今回解説するのは上から打つオーバーサーブについてです。
脳の仕組みを活かしたサーブの最短練習法をぜひ実践してみてください。
ソフトテニスのサーブの「グリップ」
サーブのレベルを上げたければグリップチェンジを行うことがお薦めです。
ストロークやボレーを行うウエスタングリップからイースタングリップ(またはセミイースタン)にずらします。
人間の体には関節の動かせる範囲(可動域)があるため、スイングの動きに合うグリップが変わってきます。
グリップの種類と特徴
ソフトテニスでの主なグリップ「ウエスタングリップ」「イースタングリップ」「セミイースタングリップ」の3種類と特徴をご紹介します。
ウエスタングリップ
ウエスタングリップは、ワンバウンドのストロークを打つときのグリップです。
ラケットを地面に置いて、ラケット面と手のひらが平行になるような握り方。手のひらとラケット面が同じ向きですから、自然とボールに力を伝えやすいグリップでしょう。
イースタングリップ
イースタングリップはサーブやスマッシュに適した握り方です。
ウエスタングリップを90°ずらしたのがイースタングリップ。「包丁」や「団扇」を持つ握りだったり、ラケットと握手をするような握り方と言われます。
イースタングリップではサーブの動きで力を伝え、また回転がかけやすくなります。
セミイースタングリップ
「セミイースタングリップ」も、ソフトテニスではサーブやスマッシュに使われているグリップです。
セミイースタンはウエスタングリップとイースタングリップの中間のグリップです。
※ここでご紹介しているグリップは、同じ握り方について異なる名称が使われることもあります。今回はソフトテニスで一般的と思われる名前で統一しました。
サーブでグリップチェンジをするメリット
サーブでグリップチェンジをするのはなぜでしょうか?それはリストの自然な動きが使えるからです。
ウエスタングリップでサーブの強打ができないわけではありませんが、速さもスピンも自由度はイースタンが勝ります。
イースタンやセミイースタンで使えるのが「うちわであおぐ時の動き」です。
とは言え実際にサーブを打つときに「手首でうちわの動きを使って…」と考えると不自然な動きになってしまうので注意しましょう。
あくまでサーブの自然なスイングの流れの中で、リストが自由に動きやすいという点を押さえておいてください。
また、グリップチェンジを始めてすぐの頃は打ちにくいことが多いです。
これまでウエスタンでサーブを打っていた人はグリップに慣れるまでの期間はお試しくらいの気持ちで心構えをしておくといいでしょう。
・サーブのグリップは「イースタングリップ」または「セミイースタングリップ」
・グリップチェンジをすることでサーブのスイングにリストの自由な動きが加わる
・サーブのグリップチェンジに慣れるまでは継続が必要
参考:【ソフトテニス×脳科学】切れ味抜群!カットサーブ上達のコツ!
脳科学で理解するソフトテニスのサーブの技術
本章では脳科学の知識をベースにソフトテニスのサーブを理解していきましょう。
先に触れた通りサーブという技術を学習するのは脳の役割ですから、脳の仕組みに合わせることが上達の正しいルートです。
サーブの技術は感覚が大切
ソフトテニスではフォームが重視されがち。しかしフォームを意識することでサーブが上手くなるのは難しいでしょう。
サーブの技術で本当に大切なのは「感覚」です。感覚は反復練習によって身につけられる脳の働きです。
感覚というと曖昧なようですが、私たちは日ごろから体の直観的な動きに頼っています。
歩くときには片足を地面についている状態で、体のバランスを取りながら動けます。感覚なしでは立って歩くことはできません。
そして、脳は繰り返しによって神経のネットワークを作って学習していきます。これが上達です。
歩いたり、自転車にのることを身に付けたように、サーブも繰り返しによって脳が感覚を身に付けることが上達のプロセスだと言えます。
脳がサーブを学習するポイント
先ほど確認した通り、技術を身につけるための基本は「反復練習」です。
後ほど紹介するコツも大事ですが、サーブ上達には何度もサーブを打つことが基本です。
サーブは乱打のように何度もラリーすることができませんから、打つ回数を増やせるように練習メニューを工夫してみるといいと思います。
・サーブの技術の本質にあるのは「感覚」
・フォームは上級者の動きを後付けで説明したもの
・サーブの練習を繰り返し行うことで、脳は自動的にスイングを学習する
参考:【ソフトテニス×脳科学】高速ラリーを実現!速いストロークを打つ方法!
参考:【ソフトテニス×脳科学】高確率で入るサーブの種類&コツ!
サーブが最速で上手くなる「脳科学的」練習法!
それでは本章でサーブの練習方法を解説していきます。こちらのメニューを実践するだけでも効果がありますが、前章までの理論を理解しておくことで実践もより充実してくるはずです。
練習は以下の2つのステップで行います。
■サーブ練習のポイント
①サーブの軌道を逆算でイメージする
②ボールに集中してサーブを打つ
この2つのステップは「ボールを自分のイメージ通りにコントロールする能力を養う練習方法」。
ボールコントロールという点では全てのショットに通じているメソッドです。
練習法①サーブの軌道をイメージする
サーブを打つ前に、サービスを打つポジションからボールの軌道をイメージして準備を行いましょう。
方法は「ボールの軌道を逆算でイメージすること」。
相手側のサービスコート内の目標点からスタートし、ネットを越え、自分のラケットがボールをヒットする打点までイメージで辿ります。
ボールの軌道をあらかじめシミュレーションしておくことで、打ちたいボールの軌道が脳にインストールされた状態になります。
人間は自分が見ている方向やイメージした方向に進む習性があります。
頭の中でレモンを食べているところを思い描くと、体はそれに反応してだ液が出ます。イメージの世界と現実の体の状態が一致しているということです。
サーブの練習においても、ボールの軌道をイメージしておくことで、体がその自然とコースを狙います。
脳をゴール(目標)に向けて働かせるための基本はゴールを先に設定することです。
旅行などの場合と同じで、目標地点を先に決めておけば、達成するための手段はあとから見えてきます。
初めにゴールありきです。
参考:ソフトテニス動画まとめ!イメージトレーニング【男子後衛編】
参考:ソフトテニス動画まとめ!イメージトレーニング【女子後衛編】
練習法②ボールに集中してサーブを打つ
ボールの軌道のイメージが作られたら実際にボールを打って練習を行います。
トスはサーブで狙いたいポイントを見ながら、リラックスして上げると良いでしょう。
サーブを打つときに重要なのが「ボールに集中」することです。
トスで上げられたボール、インパクトのボール、自分が打ったボール、とボールに意識を集中してください。
■ソフトテニス上達のポイント
・脳は集中した対象を重要度の高いものだと感じて記憶する働きがある
・ショットがレベルアップするためにはボールに合った動きを身に付けることが不可欠
以上の理由から、サーブ上達にはボールに集中してボールの情報を脳に送ることを実践することが大切なのです。
実際、目の前にいる人の話も耳に入らないということがあります。脳が重要でないと判断した情報をカットするからです。
先ほども確認した通り、脳には繰り返しによって自動的に学習する性質があります。
フォアハンドが上手くなるためには、フォアハンドを繰り返し打つこと。サーブが上手くなるためにはサーブを繰り返し打つことです。
ボールに集中した状態でサーブを打つことで脳はボールコントロールを高速で学習していきます。
始めのうちは効果が感じられなくても、お試しくらいの気持ちで続けてみてください。
自転車の練習のように、続けるうちになんとなくサーブの打ち方が感じられるようになってきます。
+αサーブの動作に慣れる「コーディネーション系」練習法
サーブの動きに慣れるための練習としてサーブに近い動きで練習する方法もあります。
ストロークやボレーなどの異なるショットも、体の動きの共通する部分は活かせます。
サーブやスマッシュの動作はボールを投げる時の動作に似ています。
サーブの動作の練習として「キャッチボール」や「遠投(ボールを遠くに投げる練習)」などを取り入れると、体の連動などが上手くなってきます。
キャッチボールはソフトテニスの全国大会常連校も実践している練習です。
実際、野球やバドミントンの経験者は、ソフトテニス未経験でも強烈なサーブを打てることがよくあります。
・サーブの「ボールの軌道を逆算でイメージ」しておくと、体は無意識に思い描いたコースを狙う
・ボールに合った動きを脳が学習することがサーブの上達
・ボールに集中してサーブを練習しすることで脳が最速で学習する
参考:【ソフトテニス×脳科学】沈んで、入る!「ショルダーカットサーブ」のコツ!
まとめ
●サーブのグリップは「イースタングリップ」か「セミイースタングリップ」
●サーブが上手くなるためには反復練習によって感覚を磨くことが大切
●脳科学的なサーブ練習法
練習法①ボールの軌道を逆算でイメージする
練習法②ボールに集中してサーブを打つ
●脳はイメージした方向へ自然と向かう性質がある
●ボールに集中することで脳がサーブの軌道を学習し上達が速くなる