「練習しているのに上手くならない…」
このように感じているテニスプレーヤーは多いようです。
勉強でもスポーツでも、レベルアップのために必要なことは正しいルートで学習を行うことです。
テニスの上達は脳の学習によるものなので、脳のメカニズムに合わせた方法が最短ルートだと言えるでしょう。
テニス上達のために本当に大切なこととは?
始めにテニスが上手くなるとはどういうことが整理しておきましょう。
上達を正しく理解することで、具体的な方法が実践しやすくなります。
テニスが上手くなるとは感覚が身に付くこと
テニスには「技術」や「戦術」など様々な要素がありますが、今回注目したいのは「技術」=「ボールコントロール」です。
ボールコントロールは簡単に言うと「思い通りにボールが打てる」こと。
ボールのスピード、コース、回転などを狙ったように打ち分ける能力です。
■ボールコントロールのポイント
・ボールに合わせたスイングを行う
・スイングは体の感覚で調節される
テニスのショットを突き詰めれば、全てインパクトで決まると言えます。
ナイスショットはボールに合ったインパクトの結果であり、ミスショットはインパクトがズレた結果です。
そして、ボールに合わせてスイングを調節するのは感覚によって行われるべきことです。
テニスでは「フォームを覚えることで上手くなる」という考え方がありますが、この方法では上達は難しいでしょう。
フォームは効率の良い体の動きを外から見たときの形であって、スイングの機能面に目を向けられていないからです。
上級者のスイングを頭で理解したところで、その動きを可能にしている感覚が身に付かなければレベルアップは望めません。
■テニス上級者のプレー
・ボールに合わせたスムーズなスイングを行う
・ゲームの状況を感じ取りコースを打ち分ける
テニス上級者はゲーム中これらのことを常に高い精度で行っています。
頭でフォームを考えるのではなく、目の前のボールの動きを感じ取ることがハイパフォーマンスの秘訣です。
ボールに意識を集中することで自然に感覚が磨かれる
テニスで正確なボールコントロールを実現するためにはボールに合った動きが必要です。
ボールの動きを常に感じ取り、ボールに合った体の動きで正しいインパクトを行うのです。
「ボールに合わせよう」と考えるのではなく、実際にボールに意識を向けてボールに合わせる感覚を養います。
感覚と言うと曖昧なようですが自転車の乗り方なども何となく分かるものです。
・自転車に乗る時の体のバランスを、フォームで説明できるでしょうか?
・自転車でカーブを曲がる時の角度を、フォームで説明できるでしょうか?
体で覚えていることは言葉で説明することが本来難しいものです。
テニスも体を動かすスポーツで、自転車と同じように体の感覚に任せる方が上手くいきます。
テニスが上手くなるためにはボールコントロールの感覚を脳が学習する正しいルートを進まなくてはいけません。
「フォームを意識する」「頭で考える」などのことは、ボールへの意識を妨げるノイズとなり、インパクトの精度を下げる要因となります。
上手くなりたくて行っていることでも、体のメカニズムに合わない方法は結果としてパフォーマンスを下げてしまうのです。
・テニスが上手くなるとはボールコントロールの感覚が身に付くこと
・ボールに合わせた動きができればボールコントロールができる
・ボールに意識を向けた反復練習でボールに合った動きを脳が学習する
参考:試合で別格の強さを誇る「ソフトテニス・ネイティブ」になる練習法!
なぜボールに集中するとテニスが上達するのか?
テニスが上手くなることはボールコントロールの感覚を身に付けることでした。
ボールコントロール技術を上げるためには「ボールに集中」して練習を行うことです。
プレー中はボールだけに意識を集中することだけを行うようお勧めします。それがハイパフォーマンスの秘訣です。
では、なぜボールに集中することでテニスが上手くなるのでしょうか?
テニス上達の秘訣は脳のメカニズムと深い関係にあります。
ボールに集中することで得られる効果とは?
プレー中ボールに意識を集中することで、どのような効果が期待できるでしょうか?
■ボールへの集中による効果
・脳がボールの動きを感知してボールに合った動きができる
・最適なスイングを脳が効率的に学習する
プレーヤーはボールの動きを五感で感知することで、相手のショットに対して反射的に体が動き出し、無駄のないスムーズなスイングで正確なインパクトを実現できるようになります。
前述の通りテニスのナイスショットはボールに合ったインパクトによって生み出されます。
ボールへの集中が習慣化されると、脳がボールの軌道を正確にキャッチするようになり、ボールに合わせた体の動きが自然に身に付いていくのです。
また、脳には意識を集中した対象を重要なものだと感じて記憶(学習)する性質があります。
脳の学習の基本としては「反復練習」も重要な要素です。
ある対象に意識を集中して、反復練習を行うこと。これが学習の基本です。
赤ちゃんが何度も立ち上がる練習をするように、子供が転びながら自転車が上手くなるように、人間はシンプルな繰り返しによって物事が上手くなっていきます。
テニスが上手くなる基本も反復練習。つまり繰り返しボールを打つことです。
ボールへの集中状態をキープして反復練習を行うことで、脳がボールの動きを重要な情報として感知します。
それによりボールに合わせたスイングが高速で学習されるため、自転車の練習と同じようにどんどん脳が学習していきます。
反対に、頭の中で「テイクバックは…」と考えているときはボールへの集中にノイズがかかり、脳による最適なスイングの学習を妨げることになるでしょう。
ボールへの集中でフィードバックが働く
「プレーヤーは常にボールに合わせて動かなければならないので、ボールに意識を集中する」
このように納得するのでも十分ですが、ここではもう少し踏み込んだスイングのメカニズムを解説します。
ボールに集中することで「フィードバック」が働き、スイングが自動的に調整されていくのです。
フィードバックとは「ある出来事の結果から、原因となるものを修正して改善すること」です。
■フィードバックの例
学校のテストの点数という「結果」の裏側には自分の勉強という「原因」があります。
テストという結果からフィードバックを受け取ることで、次に行う勉強を修正することができます。
テスト結果をデータとして活かすことで次の勉強が改善されていくのです。
ボールへと意識を向けるとき、「飛んでくるボール」「インパクトの瞬間のボール」「飛んでいくボール」の全てに集中をキープします。
テニスでは飛んでいくボール(自分が打ったボール)をよく見ることでフィードバック効果が得られます。
打った後のボールを見ることを実践すると、脳内で「スイングの自動調節機能」がオンになるのです。
打ったボールを見ているとき脳内では何が起きているのでしょうか?
「自分のスイングの『結果』として、どのようなボールが飛んで行ったか」というデータが脳内に書き込まれていきます。
ボールへの集中を続けることで最適なスイングが直観的に感じられるようになり、ボールコントロールがみるみる向上していきます。
テニスの感覚が身に付くとき
脳が学習を進めると本人には「感覚」としてテニスの上達が実感できます。
自転車の乗り方が本人にも説明できないように、人間の体には感覚的な運動能力が本来備わっているものです。
ボールの情報を自分で意識して覚えようとする必要はなく、淡々とボールへ意識を向けてスイングを繰り返してみてください。
始めのうちは効果が感じられなくても、気にせず続けてみてください。
なんとなくでいいのでボールを見て集中します。
まずは「ボールをよく見て集中している感じ」でOKです。
続けるうちに脳内ではボールと体の動きがパターン化されていきます。
このパターン化が脳内で完了するタイミングは、テニスのボールコントロールが格段に向上する瞬間です。
全てのショットに共通するパターンが感覚として身に付いたとき、ボールに合わせた最適なスイングが実現されます。
・正確なショットをには「ボールに合ったスイング」が不可欠
・「ボールに集中」すると脳がスイングの結果からフィードバックを受け取る
・ボールへの集中状態を習慣化すればスイングはボールに合わせて自動的に調節されていく
まとめ
●テニス上達のコツは「ボールに集中」すること
●テニスが上手くなる=ボールコントロールの感覚が身に付くこと
●テニスのナイスショットはボールに合った動きによって生み出される
●自転車に乗るように脳は反復練習によって自動的に学習する
●自分が打ったボールを見ればフィードバック効果でスイングが自動調節される