本記事では、試合での後衛のストロークの戦術について解説します。
後衛の理想は100%ラリーを続けることでしょう。
もちろん世界トップクラスの後衛選手でも、全てのショットをミスなく完璧に打てる訳ではありません。
100%でなくても、その理想に現実のプレーを近づいていくことが後衛が上達するということだと思います。
試合を優位に進められるようなストロークのポイントを確認していきましょう。
【応用編】はこちら。
後衛の基本的なストローク戦術
今回のテーマは後衛ストロークの戦術ですが、戦術には前提となるものがあります。
それはストロークの技術です。
適切な戦術は技術を活かしますが、重要性で言うと技術の方が遥かに大切でしょう。
後衛で配球があまり良くなくても、ボールのスピードとコントロールがあれば一定のレベルまでは通用するはずです(もちろん、試合展開なしで勝ち続けられるとは思いません)。
またボールにスピードとコントロールがある場合、試合展開にも優れている場合が多いです(後に触れている「集中」と「無意識」の関係)。
試合では後衛のストローク技術が大切。
この前提の上で、試合での後衛ストロークの戦術【基本編】のポイントに移りましょう。
後衛の役割は確実にラリーを続けることです。
そのためのポイントは以下の2つ。
■後衛ストローク戦術
①自分のベストなショットを打つのが最優先(前衛に取られても良い)
②コースの選択肢は常に複数あることを意識する
2つを順番に見ていきます。
ポイント①自分のベストなショットを打つのが最優先(前衛に取られても良い)
後衛は、自分のベストショットがコンスタントに打てることが最優先です。
前衛を気にしてミスをするより、コースが読まれてもボールコントロールができる方がいいでしょう。
ラリー中にコンスタントンにベストなショットが打てる。
そのために重要なのが「ボールに集中」することです。
ボールという一点に集中すると、相手前衛の動きなどを気にしすぎることがなくなるからです。
雑念をキャンセルし、プレーに必要なことだけにフォーカスする方法は、ある一点に集中すること。
プレー中にはボールだけに集中することで、理想的な意識状態でストロークを打つことができます。
試合でも集中状態入れるようにするには、練習時からボールに集中することを繰り返して習慣化しておきましょう。
ソフトテニスでは前衛がボールを打つのは「権利」で後衛は「義務」だと言われるほど、後衛はボールを打ち続けるポジションです。
そしてゲームでは相手前衛がネット前にいる状況がほとんど。
前衛を100%かわせるのであれば理想ですが、相手を気にして自分からミスをしたりチャンスボールを与えては本末転倒でしょう。
前衛のがいるコースでも自分のベストなショットを打つ方が、ポイントできる確率は確実に高くなります。
ボールをよく見てインパクトされたボールであれば、相手前衛がボレーやスマッシュをミスしたり、打たれてもフォローできる可能性があります。
前衛をかわすことは目的ではなく、ゲームを優位に進めてポイントするための手段にすぎません。
一試合のうちに相手前衛にボレーやスマッシュをされる場面があるのはOKです。
前衛の動きを全てかわすことより、ボールだけに集中する。
自分のベストなインパクトで、ベストなショットを打つことに意識を注いでみてください。
ポイント②コースの選択肢は常に複数あることを意識する
ストロークの試合展開では、打てるコースはいくつもあるという気持ちを持つといいでしょう。
試合中にプレッシャーがかかると、どこに打っても相手前衛に取られそうな感覚に陥ることがあります。
しかしどんなにハイレベルな前衛でも、同時に全てのコースを押さえることができるわけではありません。
後衛側としては「自分が打てるコースには常に複数の選択肢がある」と、余裕のある気持ちでプレーする方が良いと思います。
視野が狭まると解決するための道筋があっても見えなくなる場合があります。
立体迷路の中にいる人は壁に囲まれた気持ちになりますが、上空から眺める人の視点だと、出口までのルートが楽々発見できます。
後衛のラリーは基本的には以下の4コースがメインとなるでしょう。
■後衛ストロークのコース
①後衛へのシュート
②前衛へのシュート
③後衛へのロブ
④前衛へのロブ(前衛の上を越すロブ)
他にもミドルやショートクロスまで含めれば、ラリー中にはさらに多くの選択肢があります。
打つコースがなくしのぎたい場合には、③後衛へのロブをストロークの選択肢に加えることをお薦めします。
後衛前のロブは相手にとっては動く必要もなく余裕を持って打てますが、他のコースと織り交ぜることでより確実にラリーすることができます。
ストローク戦術①&②の両立
ここまでで確認した試合での後衛ストロークの戦術は以下の2つでした。
■後衛ストロークの戦術
①自分のベストなショットを打つのが最優先(前衛に取られても良い)
②コースの選択肢は常に複数あることを意識する
自分のベストなショットを打つためにはボールだけに集中して雑念を消すことが有効。
②の複数のコースを選択肢として使い分けることも、ボールに集中することと親和性があります。
人間はある一点に集中すると一つ一つ意識して考えることから離れ、無意識の働きが優位になります。
無意識は、私たちが歩きながら隣の人と話し、呼吸をし心臓を動かすというような、並列処理を得意とします。
相手前衛がリアルタイムで動くラリーの中でボールをしっかりとインパクトし、コースの打ち分けをする。
そのためにも「集中」によって「無意識」の働きを引き出す方法が最適なのです。
自分がボールに集中してベストなショットを打ったとしても、相手に取られることもあれば、ミスをすることもあります。
最善を尽くして、その結果は引き受ける。
目の前のプレーに集中して状況に対応することが、技術・戦術の両面を充実させてくれます。
・後衛は自分のベストなショットを打つことが優先
・ボールに意識を向けて無意識の判断力を高める
・ゲームの中で直観的な判断力を養う
参考:「ゾーン」への扉が開く!?ソフトテニス上達の1つ目のポイントを徹底分析!
まとめ
●ソフトテニスの試合での戦術は、技術が磨かれていることが前提
●試合での後衛ストロークのポイントは以下の2つ
①自分のベストなショットを打つのが最優先(前衛に取られても良い)
②コースの選択肢は常に複数あることを意識する
●「ボールに集中」することで雑念が抑えられ、ベストなショットが打てる
●集中状態は無意識の並列処理が働き、コースの打ち分けやすい意識状態