本記事では、ソフトテニスで前衛が上手くなる練習法を解説しています。
ダブルスの試合では前衛と後衛に分かれる雁行陣が主流です。
前衛といっても様々な面がありますが、本稿では特にボレーに焦点を当てています。
ボレーはネット前でプレーする前衛にとっては必須の技術。
前衛のプレーはボレーだけではありませんが、重要な役割の一つでしょう。
ボレーが上達する効率の良い練習方法とは、どのようなものでしょうか?
前衛のプレーの基本を整理してみよう
前衛ボレーの具体的なフォームや打ち方に入る前に、前衛のプレーを整理しておきましょう。
プレーを正確に理解することで、上達のプロセスが見えてきます。
ボレーの動きは大きく分けると以下の2つの要素があります。
①「フットワーク」ボールのところに行く
→ポジションとタイミングを取り、ボレーのコースへと動く
②「ラケットワーク」ボールを打つ
→ラケットで正確にボールをインパクトしてボレーを打つ
「ボールのところに行って、ボールを打つ」。
フットワークとラケットワークの2つの面が揃って初めて正確なボレーを打つことができます。
これら2つから分かるのは、ソフトテニスにおいてプレーヤーは常にボールに合わせて動くということこと。
プレーヤー同士のポジションも動きに関係しますが、その目的も「ボールを相手コートに返すこと」にあります。
前衛ボレーの技術はボールに合わせる感覚
ボレーの技術の基本はボールに合わせた動きが感覚でできることです。
正確なボールコントロールのためには、ボールに合わせた体の動きが不可欠。
「体の動きというと、フォームが大事なのでは?」と思われるかもしれません。
しかしソフトテニスの技術はフォームを覚えることではなく、感覚を身に付けることです。
毎回変わるボールを正確に打つためには、体の直観的な動きがどうしても必要です。
「ボレーはラケットを振らない」とよく言われますが、これも正確には「ボールに合ったスイングをする」ということです。
前衛は相手プレーヤーとの距離が近いため、ラケットを振る時間がありません。
しかし相手のボールの勢いを利用して、コンパクトなスイングでも弾くことができます。
浮き球の場合は時間的な余裕があるため、ラケットをスイングして威力を出します。
・【通常ボレー】
スイングする時間的な余裕がない→コンパクトなラケットワークがボールに合っている
・【浮き球のボレー】
スイングする時間的な余裕がある→ラケットをスイングするのがボールに合っている
状況に合わせたラケットワークが感覚でできることが、ボレーの技術の基本です。
フットワークについても同じことが言えます。
ボールのコースへと移動するのがフットワークですから、ボールに合わせた動きという点では共通しています。
ボレーのフットワークもまた、反復練習によって身に付く感覚が大切です。
参考:【ソフトテニス】前衛のコツ「ボレーは振らない」は本当なのか?
前衛のポジションを確認しよう
前衛のポジションは「ボールとセンターマークを結んだ線上に立つ」です。
これはあくまで基本で、ポジションとタイミングは状況によって変わります。
前衛のポジションはボールの位置が基準です。
前章で確認した通り、ソフトテニスはラリーを行うためにボールに合わせた動きをするからです。
ボールに合わせるとは言え、実際に動くときには相手後衛の動きに合わせます。
相手後衛に合わせる理由はボールがそちらに移動しているからです。
自分のペアが打ったボールの位置が、相手後衛の動きを見ることで分かります。
ポジションはトッププレーヤーの動きを実際に見てイメージを掴む方が効果的です。
ソフトテニス上級者のプレーを見るだけでも自分のプレーがレベルアップします。
・前衛のレベルアップにはボールに合った動きが直観的にできるようになること
・ボレーの「フットワーク」と「ラケットワーク」の基準はボール
・ボレーの技術は反復練習によって身に付く感覚
・前衛のポジションの基本は「ボールとセンターマークを結んだ線上」に立つこと
参考:【男子前衛編】ソフトテニス動画まとめ!【上松選手・九島選手】
参考:【女子前衛編】ソフトテニス動画まとめ!【島津選手・半谷選手】
前衛ボレーが上手くなる練習メニュー
前衛のボレーが上達する練習メニューを確認してみましょう。
ボレーが上達するための練習法は以下の2つです。
①ボールだけに集中してボレーを打つ
②ボレーのイメージトレーニングを行う
2つのポイントはサーブやストロークなどのショットにも共通しています。
全てのショットは「ボールを打つ」というレベルで見れば同じものです。
ボールに対して最適なラケットスイングを脳が学習する方法です。
練習法①ボールに集中してボレーを打つ
ボールだけに集中してボレー練習を行います。
ボールに集中して反復練習を行うことで、脳がボレーの感覚を自動的に学習してくれます。
継続することで何となく最適な打ち方が分かるようになります。
フォームなどを考えているときはプレーそのものから意識が離れています。
そうではなく、目の前のプレーに意識を集中することがボレー上達の鍵です。
ボールという一点に集中することで雑念が消え、脳がボレーを最短距離で学びます。
ボールに集中することによる効果とは?
なぜボールに集中するだけでボレーが上手くなるのでしょうか?
それはボールの動きと体の動きがネットワーク化されるからです。
前章までで説明してきたボールに合ったフットワークとラケットワークが身に付くということです。
ボールをよく見て意識を集中させることで、脳がボールの動きを情報としてキャッチします。
ボールの情報とはコース・スピード・スピンなどのこと。
これらを瞬間的に把握することで、適切なフットワークとフォームが自然と決まります。
自分で意識して「ボールの情報をキャッチしよう!」と考える必要はありません。
練習を繰り返すうちに、脳内では自然とプレーのパターンが学習されていきます。
脳が勝手に学習するというと違和感があるかもしれませんが、皆さんご自身が体験していることです。
例えば自転車に乗る時には、フォームを考える必要もなく何となく運転ができるはずです。
「自分がどう打った時に、ボールがどう飛ぶか?」
ボールをよく見て打つだけで、脳内では上のようなボールの動きのパターン学習が行われます。
自分が打った後のボールもよく見るようにしましょう。
スイングの結果=データをよく見ておくことで、脳が理想のイメージとのズレを調節してくれます。
脳がボレーを学習する!
「ボレーは振らない」という指導は正確ではないと書きました。
それもボールに合った打ち方を直観的に判断するということに関係します。
「ハイボレーはラケットをスイングする」
「通常ボレーはラケットを振らない」
これらを考えて判断するのではなく、瞬間的に直感で判断する能力を磨きます。
ボールに集中して繰り返し練習するだけで、脳が自然と情報を集めて学習してくれます。
ボールの情報を正確にキャッチすることで、ボレーのスイングが分かるようになります。
上手く打てなくても気にせず、ただボールだけに集中することを継続してください。
実践してもすぐには変化が感じられなくても、継続しているうちに脳が学習を進めてくれます。
練習法②前衛のイメージトレーニングを行う
ボレーが上手くなるためには、イメージトレーニングが有効です。
人間の脳は、イメージからも現実と同じような影響を受けます。
理想的なボレーのイメージが作られれば、現実のプレーはそのイメージに近づこうとします。
脳にはミラーニューロンという働きが確認されています。
ミラーニューロンは、「人の行動を見るだけで、自分がそれを行っているかのように活性化する脳神経」のこと。
ソフトテニス上級者のプレーを見ると、脳内でその動きを仮想体験して学習します。
つまりソフトテニスは見るだけでも上手くなります。
ボレーが上手くなるイメージトレーニングは「上手い前衛プレーヤーの動きを繰り返し見ること」です。
トップ選手のイメージを脳内に作り上げることで、脳はイメージを現実に再現しようとします。
自分の理想のプレーをリアルに想像することもお薦めです。
視覚だけでなく、ボレーを打つインパクトの打球音、テニスシューズが地面を踏む感覚など、五感を使って臨場感を感じましょう。
先にトップ選手の動きのイメージが掴めていれば、自分のプレーのイメージもより鮮明なものになるでしょう。
脳は現実とバーチャルとを区別していません。
映画を見て感動したり、イメージしたことが実際に体に影響したりします。
脳にとっての現実をつきつめるとそのとき臨場感を感じている世界のことです。
理想のプレーに臨場感を感じることができれば、そのイメージは現実にポジティブな影響を与えます。
・ボールに合った動きを身に付ける方法が効率的なボレー練習
・ボールに集中してボレー練習を繰り返す
・イメージトレーニングで現実のプレーのレベルが上がる
参考:脳機能が理想のプレーを実現!ソフトテニス上達の2つ目のポイント
参考:「次元」が上がるとレベルが上がる!?超次元ソフトテニス練習理論!
まとめ
●ソフトテニスのプレーの基本は「ボールのところに行ってボールを打つ」
●前衛のボレーは「ボールに合ったフットワーク&ラケットワーク」がポイント
●ボールに集中すると脳がボールの動きを正確にキャッチしてくれる
●ボールに集中してボレー練習を繰り返すと、脳が自然と学習して感覚が磨かれていく
●前衛のイメージトレーニングを行うとボレー上達速度が飛躍的に上がる