本記事では、ソフトテニス上達法を応用し、スポーツ万能になる方法を解説しています。
本稿は船水選手・上松選手・広岡選手…なぜソフトテニスが上手い人はなんでもできるのか?の続編的な位置づけです。
上記の記事では、トップ選手たちのオールラウンドなプレーの謎に迫ることを試みました。
そこで解説しきれなかった内容「ソフトテニスの枠を超えて『万能』へと至る理論」を改めてお伝えしたいと思います。
ソフトテニス上達法を身に付けると「スポーツ万能」になる
ソフトテニスの上達理論を理解しその実践が正しく行えるようになると、「スポーツ万能」に繋がります。
スポーツ万能とは「一つの競技だけではなく、様々なスポーツで能力が優れていること」の意味です。
ソフトテニスプレーヤーであれば、ソフトテニス以外のスポーツも高いレベルでプレーができる状態です。
「抽象度」を上げることがスポーツ万能の鍵
「抽象度」という言葉は本サイト内で何度か使用している言葉です。
抽象度は簡単に言うと、「視点の高さ」のこと。
「抽象」とは「具体」の反対ですから、物事を個別に見るのではなく、高い視点からより広いグループで捉えます。
抽象度を猫の「タマ」を例に考えてみましょう。
■抽象度の例
「タマ」の抽象度を一つ上げると「猫」
「猫」の抽象度を一つ上げると「哺乳類」
「哺乳類」の抽象度を一つ上げると「動物」…
以上のように、あるものを内側に含みながら、より大きなグループで捉えます。
抽象度を上げることを「抽象化」とも言います。
人間が何かを学習する時にはこの抽象化が欠かせません。
それはスポーツが上手くなるということについても同じです。
ある一つの競技が上手くなるのも、様々な競技が上手い「スポーツ万能」になるにも、抽象度を上げることが一つの鍵となります。
ソフトテニスが上手くなるためには抽象化が不可欠
船水選手・上松選手・広岡選手…なぜソフトテニスが上手い人はなんでもできるのか?では、ソフトテニスのプレーを抽象化して捉えることをテーマにしました。
ここでも簡単におさらいしておきましょう。
ソフトテニス理論で多く見られるのが、「フォアハンド」「バックハンド」「サーブ」などを個別に分けて捉える方法です。
抽象度を一段上げた視点でこれらのショットを捉えると、どうなるでしょうか?
答えは「ボールを打つ」ことです。
ソフトテニスの全てのショットは、ラケットでボールを打つというレベルでは共通しています。
これは「犬」や「猫」を高い視点から見つめ、共通する「動物」という視点で捉えることに似ています。
つまり、ラケット面でボールをインパクトしてコントロールする技術が習得できれば、理論上は全ての技術がカバーできることになります。
トップ選手はストロークだけでなくサーブやボレー、スマッシュなど様々なプレーに長けています。
もし一つ一つの技術を個別に身に付けているとすれば、一人の選手が持つ技術にもっとバラつきがあるはずです。
「フォアは上手いがバックは打てない」「ストロークは上手くてもボレーは苦手」といった要領です。
オールラウンドなプレーができるという事実が、各ショットを「ボールを打つ」という一つの物として感じていることを示唆しています。
そもそもフォアハンド一つとっても、ボールのスピードや回転、バウンドの高さは毎回変わります。
「フォアハンドが打てる」ことの中に「個別のボールの違いに毎回対応ができる」ことが含まれています。
つまり、ボールの動きを高い視点から捉えてパターン化し、同じボールとして感じているからこそ打てるのです。
ボールの動きのパターン学習は、一つ一つのボールの動きを覚えるのではなく、経験を通じて脳が自然と行ってくれることです。
例えば平仮名の「あ」という文字は手書きだと毎回違いますし、ワープロ文字であっても見る角度によって変わります。
しかし人間は一度文字を覚えると、同じ「あ」という文字として抽象化、パターン認識ができます。
ソフトテニスが上手くなるためには抽象化というプロセスが欠かせません。
本人が抽象度を上げようと意識はしていなくても、物事が上手くなるなかに組み込まれているものなのです。
「スポーツ万能」も基本的にはこれと同じ。
各スポーツから共通する部分を選び出し、より広いグループとして捉えます。
そうすると、表面的には異なるように見える様々な競技が同じものとして一気に習得できるのです。
・人間が学習するためには「抽象度」を上げることが不可欠
・ソフトテニスのレベルアップは脳内で高い視点からのパターン認識が行われている
・様々なスポーツが得意になるためにはスポーツを抽象化して感じられること
参考:精密なショットのメカニズム!ソフトテニスは「パターン認識」で上手くなる!
ソフトテニス上達法で「スポーツ万能」、「万能の天才」へ…
前章で「抽象度」の説明、ソフトテニス上達の理論の中での「抽象度」などを概観してきました。
本章では、ソフトテニスという枠組みを超えて、様々な競技で高い能力を持つ「スポーツ万能」への道を探ることにしましょう。
本稿のテーマは「ソフトテニス上達理論で『スポーツ万能』へ」ですが、これを広げると「スポーツ上達理論で『万能の天才』へ」になります。
本章では「ソフトテニス」→「スポーツ」→「あらゆる分野」という階梯を上がりましょう。
リーストアッパーバウンド(LUB)とは?
幅広い分野で高い能力を発揮するためにリーストアッパーバウンド(以下LUB)の概念を押さえておきましょう。
LUBとは自然数の最小公倍数のことを意味します。
「12」と「16」という2つの数字であれば最小公倍数は「48」です。
いくつかの物事の共通の部分を括り出し、一段上のレベルに抽象化します。
例えば、「チワワ」と「柴犬」であれば「犬」がLUBとなります。
犬という共通のレベルで見ると「チワワの飼い方」「柴犬の飼い方」と、それぞれ個別に学ぶ必要がありません。
犬種ごとに異なるところもあるとは言え、犬という種で見た時に共通点は多くあります。
・散歩をする
・玉ねぎは与えない
これらのような犬に共通する点は、チワワにも柴犬にも活かすことができ、学習量を最小限に抑えることができます。
ソフトテニス上達法で「スポーツ万能」に!
様々なスポーツで高い能力を持つスポーツ万能。
話を分かりやすくするために、「ソフトテニス」「卓球」「バドミントン」の3つの競技を例に考えてみましょう。
ソフトテニス経験者は、卓球やバドミントンが未経験者の中では上手い傾向にあります。
逆も然りで、卓球やバドミントンの経験者がソフトテニスをすると、ソフトテニスの経験がなくても上達が速いことが多いです。
このことは皆さんも経験的にご存知のことでしょう。
ではなぜ未経験の競技が始めから上手かったり、上達が速くなったりするのでしょうか?
それは「ある競技で身に付けた体の動きの共通部分は、他の競技にも使える」からです。
ソフトテニス、卓球、バドミントンの3つの競技のLUBを取りましょう。
それぞれに共通していながら、最も近い抽象度で捉えます。
3つの競技のLUBは「ラケット競技」です。
つまり「ラケットでボールやシャトルなどを打ち、枠内にコントロールする」というレベルで見ると同じものなのです。
もちろん、卓球でソフトテニスのストロークのスイングをそのまま用いると、卓球台の枠内にはボールが収まりません。
ソフトテニスと卓球ではボールやコート(台)、ラケットの大きさなどが異なります。
両方を上手くプレーするには、ソフトテニスと卓球に共通する身体運用だけを抽出します。
競技を越えて共通する抽象化された体の動きが感覚的につかむ。
そうすれば過去に学習したスポーツの動きが他の競技にも使えます。
これは理論を理解するだけでなく実践によって感覚を調節する必要はありますが、一度身に付くと様々な分野が最低限の学習で習得ができるようになります。
ソフトテニス理論をスポーツ全般に活かすためには?
本サイトでお薦めしているソフトテニス上達理論は「脳の仕組みに基づく練習方法」です。
脳がある物事を学習するという視点で見れば、ソフトテニスも、他のあらゆる競技も同じです。
競技毎に異なる部分は調節が必要ですが、ソフトテニス理論の「脳のメカニズムを活かしている部分」だけを抽出すれば、あらゆる競技の加速学習が可能です。
脳のメカニズムを活かしたソフトテニス理論
ソフトテニス上達法には3つのポイントがあります。
「集中」「イメージ」「リラックス」です。
■ソフトテニス上達の3つのポイント
・集中:ボールだけに意識を集中し雑念を抑え、脳の学習効率をアップする。
・イメージ:トレーニングを行うことで、脳は思い描いた理想的なプレーを仮想体験することができる。
・リラックス:「力を抜く」ことで、より大きな力を引き出すことができる。
これがソフトテニス上達法の基本です。
脳の学習のメカニズムを活かそう
人間がある技術を身に付ける時、脳内では何が起きているのでしょうか?
それは「新しい脳神経ネットワークの構築」です。
脳は細胞の間に神経を張り巡らせ、電気信号によって情報を送り合っています。
人が何かを繰り返し練習すると、その行動についての神経回路が何度も活性化し、強化されていきます。
このように書くと難しく感じられますが、簡単に言うと「慣れ」のことです。
ある行動を繰り返し行うだけで(運動であれ、計算であれ)脳は自動的に神経ネットワークを強化し、自然と物事に熟達します。
これは「自転車」や「計算」などの身近な例で感じられることでしょう。
基本的な知識は必要ですが、後は繰り返し行うだけで動作が自動化され、上手くなっていきます。
スポーツが上手くなるためにも「反復練習によって自然と慣れる」ことがベースにあります。
これは体の動きを頭で考えることとは異なります。
実際に体を動かすと、その経験を脳は五感を通じてその情報を受け取ります。
そこで有効なのが「集中」と「リラックス」です。
頭の中に湧き上がる雑念に捉われず現実のスポーツの動きに意識を集中させることで、より速く脳が学習します。
そして、スポーツで見逃せないのがイメージの働きです。
イメージトレーニングを正しく行えば、スポーツは格段に上手くなります。
脳には「ミラーニューロン」と呼ばれるシステムがあると考えられています。
ミラーニューロンは「人の動きを見ているだけで自分がその動作を行っているかのように活性化する神経」のこと。
スポーツとの関係で言えば、一流のアスリートの動きを見るだけで、その動きは脳内で追体験されています。
ソフトテニス上達法から「万能の天才」へ
本章の冒頭でも触れた通り「ソフトテニス上達」→「スポーツ万能」→「万能の天才」という流れは一続きのものです。
ソフトテニスの「ラケット競技」としての動きは卓球やバドミントンなど、他の競技に使える。
同様に「脳の学習」というレベルで捉えると、スポーツでも、勉強でも、音楽でも、同じものとして習得可能です。
もちろん「スポーツ」と「音楽」などはお互いに離れた分野で、LUBのレベルが高いところにあります。
この場合、ソフトテニスと卓球のように、体の動きをそのまま活かすことは難しいでしょう。
「スポーツ」と「音楽」の2つであれば、「理想のイメージに向けて身体活動を向上させる」というレベルで見ると同じグループにまとめられます。
スポーツはより優れたプレーをするために体の動きを向上させます。
音楽も楽器の演奏であれば、理想の音を生み出すために、繰り返し体を動かして練習を行うことでしょう。
いずれの場合も、反復練習によって脳神経ネットワークを構築し、ある動作に慣れるという意味では同じものです。
この時、ソフトテニス上達の3つのポイント「集中」「イメージ」「リラックス」は有効です。
頭の中で理想のパフォーマンスを繰り返しイメージすれば、脳はイメージされた空間へと向かいます。
実際にスポーツや楽器の練習を行う時にはリラックスしておき、パフォーマンスそのものに意識を集中します。
「理想のイメージの臨場感を強化する」→「リラックス&集中状態で反復練習を行う」
以上のサイクルによって、分野に関係なく脳が高速学習します。
自分が既に学習している分野を抽象化し、新しい分野とのLUBを取った上で共通する部分は活かす。
すると初めて経験する分野でもベースとなる学習は済ませた状態になります。
さらに脳のメカニズムに合った方法が実践できれば、あらゆる分野で高い能力を身に付けることができるでしょう。
抽象度を頭で理解するだけでなく、体感に落とし込む難しさはありますが、実践を続けるうちに慣れてきます。
・「スポーツ万能」は抽象度を上げてスポーツを捉え、各競技に共通する要素を引き出すこと
・競技ごとに異なる動きは使えないが、抽象化された共通する身体感覚は競技を越えて活用ができる
・抽象度を上げて分野を超える体感が掴めれば「万能の天才」に繋がる
参考:「次元」が上がるとレベルが上がる!?超次元ソフトテニス練習理論!
参考:「ソフトテニス・サヴァン」内なる天才が目覚める究極の練習理論!
まとめ
●人間が学習するためには抽象度を上げることが不可欠
●ソフトテニスの各プレーも高い視点から同じものと感じることで初めてできる
●リーストアッパーバウンド(LUB)を取ることが物事を学ぶ最短距離
●「ソフトテニス」から「スポーツ」と共通するポイントを抽出すると、他の競技にも活かせる=「スポーツ万能」
●「スポーツ」から、勉強、音楽などの他分野との共通点を抽出できれば「万能の天才」へと繋がる