本記事では、主に中学生・高校生の部活動でのソフトテニスについて考えてみたいと思います。
もちろんプレーの面では、大人の場合でも本質的には違いがありません。
しかし部活動の場合には「指導者がいること」「先輩・後輩の関係があること」という特徴があります。
その意味で部活動でのソフトテニスを考えることは、正しい指導や人間関係を考えることでもあります。
先輩から後輩へのアドバイスもよく見られますから、指導に関する理論は部員同士の関係にも繋がるものでしょう。
中学生・高校生のソフトテニスのポイント
部活動でのソフトテニスのポイントとして挙げたいのは以下の3つです。
■ソフトテニスの部活動でのポイント
①良いイメージを作る
②フェアネスの精神を養う
③理論を常にアップデートする
これらは前衛・後衛というポジションにかかわらず重要なものだと思います。
各ポイントを順番に見ていきましょう。
ポイント①良いイメージを作る
人間は脳内で思い浮かべたイメージの方へ向かう習性があるので、いかに良いイメージを作れるかがソフトテニス上達の鍵を握ります。
イメージは「ワード・ピクチャー・エモーション」=「言葉・映像・情動」の3つの要素で成り立っていると考えます。
基本的にはポジティブな言葉を使い、理想のプレーを思い描くことがポイントです。
ネガティブなイメージを描くと、本人が避けたいと思っていても自然とそちらに向かいます。
かつてのスポーツの指導では、現在の自分のプレーの映像を見せて、できていない点を指摘するという方法がありました。
ですがその方法では、自分のできていない所がイメージとして脳内に刻み込まれてしまいます。
本当にパフォーマンスを高めるためには、理想のプレーを見たり、頭に思い描くことが有効です。
常に良いイメージが作られるように心がけましょう。
例えば「あなたはネットが多い」と指摘することは、「ネットをする」というイメージを強化する恐れがあります。
「ネットを越そう」や「次は入る!」など、良いプレーのイメージが持てるよう声をかけると良いでしょう。
現在のできていないとろこではなく、これからどうすればできるかという点にフォーカスします。
本人が気が付いていない短所への自覚を促す際には、必要最低限で指摘すると良いでしょう。
私たちの価値判断は「減点方式」に慣れてしまっています。
減点方式とは言い換えれば、本人のできていない所を指摘し数える方法です。
自分の良いところに目を向けられるような、「ここが良くできている」「こうすれば、ここもできるようになる」という指導を受ける経験は今のところ稀でしょう。
「できているところ」を肯定し、「できていないこと」は未来のイメージにフォーカスする。
これが高いパフォーマンスの秘訣です。
ポイント②フェアネスの精神を養う
スポーツに携わる人にとって、フェアネスの精神を身につけることは必須です。
フェアネスとは「公平」かつ「公正」な態度で振る舞うことです。
例えば校内試合で、相手選手が先輩だからと言って審判が相手に有利な判定をしたら、不公平だと感じるでしょう。
ソフトテニスは、自分と相手という当事者がいて、第三者である審判がルールに則ってジャッジします。
このようなフェアな姿勢こそ、スポーツを通じて中学生・高校生が学ぶべきものではないでしょうか。
日本の部活動では教員と生徒、あるいは先輩と後輩の間に上下関係を求めがちです。
しかしこれらの人間関係の間に、本来上下の差はないはずです。
上下関係の根本にあるのは「年齢」でしょう。
ご存知の通り、日本では4月を区切りに1年ごとに年齢を数えます。
同じ年の4月1日に生まれた人が、4月2日に生まれた人よりも偉いと信じる方が無理があるでしょう。
「教員」や「生徒」という立場の違いも、本来どちらが偉いかということとは関係がありません。
より長く生きて知識や経験が豊富だから、有益なアドバイスができる面はあるでしょう。
それならば単に相手の役に立つよう貢献すれば良いだけで、上下関係にまで繋げるべきではありません。
考えてみると、年齢によって人に序列を設けることは、性別や人種によって上下関係を決めることと違いがないと感じます。
大人同士でも不当に優劣を決めることは許されるべきでないのに、大人から子供へと一方的に押し付けられて始まるのが、年齢による上下関係です。
その意味で年齢によって優劣を決めることは、とりわけアンフェアな態度だと言えるでしょう。
部活動でスポーツをしているからこそ、年齢や肩書によってではなく、正しいかどうかで判断する姿勢を養うべきだと思います。
「ソフトテニス経験者はフェアな振る舞いをする」という環境の方が、上下関係に厳しいことより遥かに魅力的ではないでしょうか?
ポイント③情報を常にアップデートする
ソフトテニスの理論は常に最新かつ最良の情報に更新する方が良いでしょう。
科学的な根拠がある方法論ならば、それによって上達する可能性は高いと思われます。
一方で、科学が進歩してきたということは、それまでの科学に間違いがあったということでもあります。
かつては多くの人が「太陽が地球の周りを回っている」と信じていたようです。
しかし皆さんご存知の遠り、現在の常識は「地球が太陽の周りを回っている」です。
昔から多くの人が言っていることは、正しさの根拠にはならなりません。
現在から見て天動説が誤りであるように、未来から見ると現在の常識は誤っている可能性があります。
現時点での最新かつ最良の情報を得たとしても、その情報は未来には更新されている可能性があります。
ある情報が正しいかどうかは「疑問を持つ」習慣をつけるのが良いでしょう。
疑うと言っても良いかもしれません。
「これは本当だろうか?」「なぜそうなるのだろうか?」と考えてみると、常識として受け入れている価値観の中にも、自分に合わないものがあったりします。
「心の習慣」を変えるとソフトテニスが上達する!にも書いているように、皆が受け入れている価値観でも客観的に見ると良くない場合はあるはずです。
ソフトテニス上達の方法も「昔から言われている」や「みんなが実践している」ということだけで正しいと思わない方が良いでしょう。
ソフトテニスの従来の理論は、多くの人が上達しなかった理論だとも言えます。
正確な統計こそありませんが、ソフトテニスが思うように上手くなれない人の割合が大きいことは、多くの方の実感とも符合するのではないでしょうか。
人の脳と体の仕組みに合った科学的に正しいソフトテニス上達法が実践できれば、最短距離での上達が期待できます。
・イメージを高めることが才能の開花に繋がる
・スポーツでフェアネスの精神を養う
・進歩する理論を学び続ける
まとめ
●中学生・高校生の部活動としてのソフトテニスは、部内の関係の面で一般と異なる
●部活動でのソフトテニスのポイントは以下の3つ
①いいイメージを作る
②フェアネスの精神を養う
③理論を常にアップデートする
●チーム内でお互いにポジティブなイメージを作り、切磋琢磨できる関係が理想的
●常識を疑い、情報をアップデートする学びの基本的な態度は、ソフトテニスにおいても重要