本記事では前衛のストロークのポイントを解説します(前衛ストロークの【応用編】はこちら) 。
前衛の戦術の【基本編】・【応用編】にも書いた通り、前衛の役割の中心は以下の2つになります。
①ボレー・スマッシュを打つこと
②相手にプレッシャーをかけること
ネットプレーが中心とは言え、前衛の選手もダブルスのポイントの半分は自分のサーブかレシーブからラリーに参加します。
レシーブ後ネット前に着けない場面などは、ベースラインでストロークを打つ場面もあります。
ネットプレーを重視するとしても、試合でストロークが安定して打てる方が望ましいことは間違いのないことです。
それでは、前衛のストロークに必要な技術や心構えを考えてみましょう。
前衛のストロークのポイント
始めにも書いた通り、前衛の役割のメインはネットプレーでしょう。
前衛・後衛というポジションに捉われないオールラウンドなプレーもあり得ますが、今回はネットに付くまでの動きとしてストロークを捉えています。
ソフトテニスの試合で前衛がストロークを打つとき、優先すべきことを挙げてみます。
■前衛ストロークのポイント
①相手コートに返す(ミスをしない)
②前衛に取られないボールを打つ
それぞれを詳しく確認していきましょう。
ポイント①相手コートに返す(ミスをしない)
当然のことですが、前衛のストロークもまずは相手コートに返すことが大切です。
ストローク技術に自信がある場合は別ですが、前衛プレーヤーがストロークで無理に攻めてミスをすることは避けたいところです。
相手後衛に打ち勝ったり、ミドルや前衛パッシングを打つ必要は基本的にはないでしょう。
確実に相手コートに返球し、ネット前に着くチャンスを伺います。
ポイントはボールをよく見てインパクトすること。
ボールをしっかりと見ながら、自分が狙ったところにボールを打つことが最優先になります。
相手前衛をかわしてラリーできれば理想的ですが、実際には前衛を気にするとミスに繋がる可能性が上がります。
「振り急ぎ」や「振り遅れ」も、ボールへの意識が薄れてインパクトのタイミングがずれてしまったときに起きるものです。
「相手コートに返せす」「前衛に取られない」という意識は、あくまで一つの考え方です。
ストローク技術や意識次第で変わることは覚えておいてください。
ストローク技術に自信がある場合は、前衛側のプレーヤーが攻撃的なショットを打っても良いでしょう。
前衛のストローク=繋げるボールという思いが強いと、自分のプレーの幅を制限することにも繋がります。
人間の脳は自己イメージ(自己評価)通りの自分を実現しようとします。
・自己イメージが上がる→プレーのレベルが上がる
・自己イメージが下がる→プレーのレベルが下がる
「自分はストローク力がないから後ろでは打てない」と思っていると、その自己イメージに合わせたプレーになります。
気持ちとしては「自分が後ろにいるならダブル後衛。どの陣形でも勝負できる」という高いエフィカシーを持っておくことをお薦めします。
ポイント②前衛に取られにくいボールを打つ
ネットプレーを優先する場合は特に、相手前衛に取られにくいストロークを打ちたいところです。
有効なのは高さを使うこと。
ロブや中ロブ系の、山なりのボールを打つことが望ましいでしょう。
高さのあるボールを打つメリットは主に2つです。
■高弾道のメリット
・相手前衛に取られにくくなる
・自分がネット前につくまでの時間を作ることができる
同じコースでも、山なりの軌道のボールは相手前衛に攻められにくくなります。
相手後衛にとっては余裕を持って打てるボールですが、ネット前に付くまでのラリーですから問題はないでしょう。
高い軌道のボールは、滞空時間が長いこともメリットです。
相手がボールを打つまでに時間があれば、それだけネット前に着く余裕ができます。
ロブと言っても無理に前衛の上を越す必要はありません。
前衛が前に出るまでラリーをすることが目的ですから、後衛前の高い軌道のボールも有効です。
前衛のカットストローク
前衛がカットストロークを打つのも有効だと思います。
カットストロークは軌道のコントロールに高い技術が必要なので、自分に合っていると思う場合に取り入れてみてください。
カットストロークのメリットは、次のボールを相手に攻められにくいこと。
ウイニングショットにはならなくても、バウンドが低く、次の展開に繋げやすい打球となるはずです。
こちらも上に書いた通り、あくまで組み立ての一つの案として捉えてください。
試合で後衛並みのストロークが可能だというプレーヤーは、ストロークで攻めることも選択肢だと思います。
前衛のストロークの練習メニュー
ここからは、前衛のプレーヤーが試合で安定してストロークを打つための練習方法を考えてみます。
練習で身につけたいことは主に以下の2つです。
■前衛ストロークの技術
①ストロークの技術=ボールコントロール
②相手前衛がいてもボールを打てる意識
これらは異なる点もありますが、基本的に「ボールに集中」することで両方とも解決できます。
ボールに意識を集中して練習することで、脳はボールの正確な情報をキャッチし、ボールコントロールを学習します。
また相手前衛が前に立っている時にミスをしやすくなるのは、自分が感じるプレッシャーによるものです。
状況に関わらず自分のベストなボールを打つためには、ボールという一点に集中してプレーすることが大切です
ポイント①ストローク技術=ボールコントロール
ストローク技術を磨くために最も有効な練習は、乱打(らんだ)でしょう。
繰り返しラリーすることで正確なショットが身に付きます。
前衛はボレーやスマッシュなどのネットプレーの練習も重要なので、バランス良く行いましょう。
ボレーやスマッシュとストロークを別物だと捉えずに「ラケットでボールを打つ」という同じ動作だと捉えると感覚が掴みやすくなります。
上手い前衛はネットプレーもストロークも上手いものです。
実際、ボレーでボールをコントロールする感覚とストロークの感覚とは繋がっています。
ボールに集中し五感でボールを感じることで、全てのショットに共通する感覚が磨かれていきます。
ポイント②相手前衛がいてもボールを打てる意識
乱打が上手くても、試合になると思うように打てないという選手は後衛にも前衛にもいるものです。
これは技術ではなく、意識状態の問題です。
試合本番でも練習と同じようにリラックスし、集中状態に入ることが理想です。
そのために有効なのが、先ほどから繰り返しているボールに集中すること。これを習慣にます。
「ボールに集中しよう」と思うだけではすぐに変わりませんが、繰り返すうちに癖になります。
癖づけることができれば、ボールを打つときには反射的に集中状態で打つことができます。
相手前衛などを気にせず、正確なインパクトでストロークがコントロールできるでしょう。
練習メニューとしては、前衛にネット前に立ってもらってのラリーをしてみると良いでしょう。
前衛・後衛入れ替えゲームでも良いですが、相手としてはポジションが取れる前衛プレーヤーがベターです。
前衛のプレーヤーは、練習で相手前衛が立っている場面でストロークを打つことが少ない傾向があります。
前衛が立っている時には乱打とは違った緊張感が生まれるものです。
練習メニューの一つとして組み込んでみてください。
参考:ソフトテニスの試合で力を発揮するには「条件反射」を作ること!
まとめ
●前衛ストロークの基本的なポイント
①相手コートに返す(ミスをしない)
②前衛に取られないボールを打つ
●練習で身につけること
①ストロークの技術=ボールコントロール
②相手前衛がいてもボールを打てる意識
●前衛のストロークの練習メニュー
①乱打
②(相手側の)前衛がネット前に立った状態でのストローク練習