本記事では、ソフトテニスが上達するための「法則」について考えてみます。
今回テーマとするのはいわゆる練習法のような、具体的な方法ではありません。
確実に上手くなるために理解しておきたい、理論の根っこにあるような考え方です。
「法則」が今回のキーワード。ある技能が上達していくためには、この法則というのが道標になります。
ソフトテニスの上達は「法則」に従う
「ソフトテニスが上手くなる」
「ソフトテニスが上手くならない」
本人の中では色々な気持ちが湧き起こるものですが、どちらの場合も法則に従って現実に起きている現象です。
ソフトテニスが上手くならないことは、プレーヤー本人の気持ちには反することでしょう。納得できない気持ちは理解できます。
しかし感情を抜きにして考えてみると、現在のプレーは練習の結果を正しく反映したものです。
原因があって、結果があります。
例えば理科の実験。で予想したような結果にならなかったときには「自分には才能がないんだ…」と思っても仕方がありません。
するべきことは、実験の手続きを見直すことです。
ソフトテニス上達のために大切なことは「上達」という結果を引き起こすための原因、つまり「正しい練習」を行うことにあります。
現象は物理法則に従う
重力という働きはその仕組みを知らない人にも平等に働きます。
これはあらゆる自然法則について言えることで、本人が自覚するかどうかとは関わりがありません。
自然法則のこのような働き方は、人間の仕組みについても同じだと言えるでしょう。
人の心や体には個人差があるものの、それらの基本的な仕組みには共通している部分が大きくあります。
人間の心について100%理解することは難しいですが、心の働き方にも一定のパターンは見られます。
これは人間が機械のようなモノとして扱えるという意味ではありません。
むしろ自然界から生まれてきた生き物だからこそ、自然法則のように体に備わった性質が見られるということです。
ソフトテニスが上手くなるための法則
ソフトテニスをプレーするのは人間です。
当たり前のことではありまが、ソフトテニス上達は人間の仕組みに沿って進むことになります。
プレーヤーや指導者に自覚がなくても上達が仕組みに従うことは変わりがありません。
先述した重力の働きと同じで、本人の自覚とは関係がなく自然法則は働いているものです。
人間の仕組みを学んだ上で、その仕組みに合った練習を行うこと。
これがソフトテニス上達の正しいルートだと言えるでしょう。
「一流プレーヤーがみんな人間の仕組みを学んでいるとは思えない」という疑問はありますが、彼らは脳や体の仕組みに合った方法を経験的に実践していると考えられます。
ですから今まで思うように上手くなれなかった人は、知識をもとに正しい実践へとシフトすればいいのです。
人間の仕組みに反した方法でソフトテニスの練習を続けても、思うような効果は得られません。
これでは「努力しても上手くならない」と感じてしまう方も多いでしょう。
人間が懸命にジャンプしてみたところで、空が飛べる訳ではありません。
ジャンプする回数を増やしたりトレーニングを積んだところで、飛べないことは明らかです。
「空を飛びたい」本人の気持ちには反しているとしても、それは物理法則に正しく従った結果なのです。
空を飛ぶには重力と反対方向の力(揚力)が必要で、その物理法則に則った上で空中に飛び上がることは可能です。
それが飛行機やヘリコプターのような自然の仕組みを活かしたアプローチです。
ソフトテニスでレベルアップするためにも正しい方法で行います。
間違った方法で懸命に練習を続けても、上達の仕組みに合っていなければ、非効率な練習に見合った効果しか得られません。
参考:最短距離で上達!ソフトテニスの練習メニューの「公式」とは?
ソフトテニスが上手くなる人間の仕組=法則を学ぼう
前章では、ソフトテニスが上手くなるためには法則(ここでは人間の仕組み)に合わせた方法が重要だとご説明しました。
本章ではソフトテニス上達に繋がる人間の仕組みを知りましょう。
学習の仕組み
私たちが物事を学ぶ基本は繰り返しです。
繰り返し思考や運動を行うことで、脳内で新しいネットワークが繋がれより高度な技能を身に付けることができます。
この働きは本人が意識していない部分が大きく、脳内で自然に起きることです。
言い換えると、繰り返しによって慣れるということです。
例えば算数の計算。
始めのうちは数の「繰り上がり」や「繰り下がり」を一つずつ考え、時間をかけて計算します。
それが計算を繰り返すうちに、計算のプロセスは無意識化され、速く正確に解けるようになります。
ソフトテニスも繰り返しによって上達します。
ボールに集中してプレーすることで、脳が現在のプレーの情報をキャッチし、新しいネットワークを構築します。
プレーの情報が正しく脳に伝われば、その反復によって脳は自動的に学習を進めるのです。
プレー中に「テークバックは…」「腰を落として…」のようなノイズ(雑念)に気を取られ、目の前のプレーから意識が離れると、脳によるプレーの学習が妨げられることになります。
自己イメージの働き
自分の能力に対する自己評価のことを「エフィカシー」と呼びます。
人間が自分に対して抱くセルフイメージはパフォーマンスに決定的な影響を与えます。
生物には昨日まで生きられた現状をキープして生き延びようとする働きが本能的に備わっています。
人間も例外ではなくホメオスタシス(恒常性維持機能)と呼ばれる機能が働いています。
そして人間の場合、ホメオスタシスは「情報空間」=「心が思い描く世界」にまで及びます。
ホメオスタシスの働きによって、心が抱いている自己イメージ=エフィカシー(自己評価)の状態を、現状として維持します。
エフィカシーが上がれば、その高い自己評価に相応しい行動や能力が自然と喚起されます。
「私はソフトテニスが上手い!」という高いエフィカシーが維持されれば、脳はそのイメージを実現する道を選びます。
以上「学習の仕組み」と「自己イメージの仕組み」の2つを見ましたが、両方とも本人が意識していなくても常に働いています。
これらに反した方法で練習を行っても上手くいきません。ソフトテニスが上手くなるためには法則を理解し、それを活かす方法を実践することに尽きます。
終わりに
今回の内容はソフトテニス以外の分野についても広く当てはまります。
それは「私たちの活動は人間の仕組みに基づいて行われる」という点です。
私たちが行うことは全て人間が行うことですから、考えてみれば当然のことです。
人間の心や体の仕組みを知るということは私たち自身の仕組みを知ることに他なりません。
自分自身を観察したり、考えたりして洞察を深めることも良いでしょう。
考えることに加えて、長い時間をかけて人類が積み上げてきた知識や経験にアクセスすることは非常に有効な手段です。
「知は力なり」。先人の知恵から学びその恩恵を受けとることが成長の正道だと考えます。
まとめ
●物理法則は人間の自覚があるかどうかとは関係なく働く
●人間の心・体は自然物であり、本人の自覚とは無関係に仕組み=法則に従う
●ソフトテニスを行うのは人間なので、人間の仕組みに則って上達が進む
●脳は繰り返しによって自動的に学習する
●エフィカシー(自己評価)を上げればイメージに相応しい発想や行動が促される
●私たちの全ての営みは人間が行うこと→人間の仕組みを学ぶことで、自分の仕組みが見えてくる