本記事では、ストロークのコースの打ち分けについて解説しています。
ソフトテニスは前衛・後衛に分かれる雁行陣が基本です。
雁行陣ではネット前に前衛がいるため、対する後衛は正確にストロークを打ち分ける技術が必要です。
前衛もレシーブを打つときや、ネット前についていないときなどにストロークの技術は求められます。
狙ったコースに思い通りに打ち分けられるストロークの「思考法」とはどのようなものでしょうか?
後衛ストロークの因果を逆転させる
後衛のストロークはコースの打ち分けが大切です。
「クロス」と「ストレート」など左右のコースの打ち分け。
また「シュート」と「ロブ」のようなスピード・高さのコントロールもあります。
後衛ストロークを打ち分ける思考法を順番に確認していきましょう。
後衛ストロークの「フォーム」と「ショット」の因果関係
後衛がストロークを打ち分けるとき、多くの選手が実践することがフォームを覚える方法ではないでしょうか。
「クロスに打つときのフォーム」「ストレートに打つときのフォーム」と言った具合です。
フォームを意識する方法の裏には「フォームによってショットが決まる」という前提があります。
つまりフォームが原因で、ショットが結果という考え方です。
実はこのような意識ではストロークを自由に打ち分けることは難しいと思います。
これまでのストロークのイメージを書き換え、思い通りにストロークを打ち分けられる思考法を身につけましょう。
それは「ショットが原因でフォームが結果」という関係です。
フォームとコースとの因果関係を逆に捉える方が、ストロークの打ち分けは上手くいきます。
つまり狙いたいコースという原因があって、ストロークのフォームが決まるという考え方です。
「未来に起こるショットによって、その前に起きるフォームが決まる」と言われると違和感があるかもしれません。
しかしこれは人間が行動を起こすときのプロセスを考えれば納得できるものです。
ストロークはゴールが先
私たちが行動を起こすのは未来に向けて設定したゴールがあるからです。
旅行に行くときの道筋は、先に目的地が設定されることによって初めて決まります。
明確な目的地がなくただ歩いている時でも、何らかの方向へ向けて歩くという行動が引き起こされます。
ゴールを先に設定すれば、そこに至るためのプロセスは自然と決まります。
反対にゴールがなければ今することは見えてきません。
ソフトテニスのショットもスイングの前に未来に狙いたいコースを先に設定しています。
コースが先に設定されることで、ボールがそこに到達するためのプロセスが自然と浮かび上がってきます。
ボールを打つための体の動きは後から決まるという順番になります。
もしフォームによってコースをコントロールしようとするとどうなるでしょうか?
ゴールに向かうための最適なプロセスから外れ、不自然な体の動きになってしまいます。
「未来のショットが原因で、現在のフォームという結果が引き起こされる」
このように捉えておく方が、現実のプレーがスムーズに行えるようになります。
・人間は未来に向けて現在の行動を引き起こす
・「ショット」によって「フォーム」が決まるという意識を身につける
・打ちたいコースという未来のゴールが、現在のスイングという結果を生み出す
参考:【ソフトテニス】バックハンドは「体の邪魔をするのをやめる」と上手くなる!
参考:【ソフトテニス】爽快!ストローク技術「トップ打ち」を完全マスター!
未来志向で後衛ストロークを打ち分ける
後衛ストロークでは、これから打ちたいコースという未来のイメージによって、スイングが引き起こされる。
一言で言うと「未来志向」。
今回のテーマである後衛ストロークを打ち分ける思考法とは、未来志向で自然な運動のプロセスに乗る方法です。
人間の脳は自然とイメージした方向へと向かう習性があります。
視線を向けている方向に進むと言われることもありますが、同じことです。
視覚情報もイメージも、脳内に映し出されている映像であることには変わりありません。
ストロークで打ちたいコースをイメージする
後衛ストロークの打ち分けは、打ちたいコースのイメージを作ることが効果的です。
自分が打ちたいコースへ未来のイメージを作っておけば、脳が勝手にそのコースを狙うようになります。
未来のショットのイメージが原因で、現在の体の動き、つまりフォームが結果として決まります。
打ちたいコースのイメージは未来からの逆算で行いましょう。
コートの狙っているポイントから自分の打点まで、ボールの軌道を逆向きにイメージします。
未来の目標地点から逆算によって、辿るべきプロセスが浮かび上がります。
実際にボールを打つ時には力を抜いて、体に任せる感じでスイングしてください。
イメージを作っておけば体の動きは自然と打ちたいコースに向けて最適化されます。
ボールの軌道のイメージは練習でボールを打つ前などに行ってください。ラリー中は軌道をイメージする暇はありません。
ボールだけに集中し、体の自動操縦システムに任せる
実際にボールを打つときには脱力して体の感じるままに、自然な動きに任せてスイングします。
ボールをよく見て、あれこれ考えずに頭をクリアな状態にします。
正しいイメージを作っておけばフォームは自動的に修正されていきます。
ボールを打つ時にはフォームを意識して変えようとする必要はありません。
自転車の練習のように、繰り返しによって脳は自動的に学習を進めます。
人間の脳(体)には自動操縦システムがあります。
自動的に修正されていなければ、立つことも歩くことも上手くできません。
脳は主に「大脳」「小脳」「脳幹」と大きく3つの部位に分けることができます。
大脳が考えたり記憶したりすることを主な役割とする一方で、小脳は体のバランスを取ったり滑らかな動きができるようにします。
考えることと運動することは担当している脳が違うと考えられるのです。
無意識の働きを上手に使うためには、意識で「方向を指示する」要領で行います。
脳が自動的にイメージを実現するなら、自分が進みたい方向のイメージを脳に刷り込めば、それは自動的に達成されます。
ストロークにおける方向指示が先ほどの「ボールの軌道を逆算でイメージする」方法です。
先にイメージを作り、現実のショットの自動調節を繰り返す。
ベースにある考え方は先述した未来の原因があって現在の行動が引き起こされるという因果関係です。
打ちたいコースが先に原因としてあり、そのための体の動きが結果として身に付いていきます。
この方法を繰り返すとストロークのコースの打ち分けが正確にできるようになります。
・脳はイメージした方向へ自動的に進む
・ボールを打つ前にボールの軌道を逆算でイメージしておく
・現実にボールを打つときには、ボールだけに集中して自然な体の動きに任せて打つ
参考:【ソフトテニス×脳科学】高速ラリーを実現!速いストロークを打つ方法!
参考:時間を味方につける!ソフトテニスが上手くなる「超時間術」!
まとめ
●ストロークは「ショットが原因」で「フォーム(体の動き)が結果」
●人間はイメージした方へ自然に動く習性がある
●練習で打ちたいコースからボールの軌道を逆算してイメージする→ボールに意識を集中して打つ
●イメージ→集中→イメージ…の反復によってショットが自動的に修正されていく