本記事では、ソフトテニスの練習メニュー「ショート乱打」を解説します。
部活やクラブの練習メニューは「乱打」→「後衛練習」または「前衛練習」という流れが多いのではないでしょうか。
その中にぜひ取り入れたいのがショート乱打です。
毎回行うのは時間上難しいかもしれませんが、練習メニューのローテーションの1つとして組み込んでみてはいかがでしょうか。
ショート乱打には、以下で解説しているようなメリットがあります。
ソフトテニスの練習メニュー「ショート乱打」とは?
ショート乱打をご存知の方も多いかと思いますが、簡単に説明します。
練習メニュー「ショート乱打」
ショート乱打は「サービスライン(コートの内側の小さい枠の中)で行う乱打」のことです。
ミニテニスと呼ばれることもあります。
サービスライン内でのラリーというルールを設定する。
そうすると、体の動きやラケットの動きが自然とルールに最適化されます。
例えばソフトテニスのルールが「ツーバウンドまでOK」だったらどうなるでしょうか?
ラリーでの体の動きは自然と変わるはずです。
ショート乱打では技術向上のために、自らルールを設定しています。
ショート乱打に見られるのは「サービスコート内に入れる」というルール設定。
このルールの優れている点はボールコントロールの必要性が生まれることです。
ソフトテニスのショットは「ボールがネットを越えて、相手コートに入る」という条件があります。
様々な場面でボールをコントロールしてコート内に返す技術が求められます。
「ショート乱打」の利点
ショート乱打の場合、よりネットに近く、小さなコート内でプレーします。
ネットを越えてボールを入れるというコントロール技術が自然と磨かれることになります。
ショート乱打というメニューの中に、細かなラケットワークの必要性があらかじめ含まれているからです。
必要性は人間が成長するための一つの鍵と言えるでしょう。
自動車などの移動手段がなかったころには、現在では考えられないような距離を生身で移動したと言います。
身近な例で言えば、携帯電話は作られるまでは、多くの人が電話番号を記憶していました。
文字変換に慣れて、漢字が思い出せない、というのも必要性が失われた例でしょう。
練習メニューの形式そのものに技術の必要性を持たせる。
ルールに要請されて必要な能力が自然に身に付き、成長が促されます。
参考:ソフトテニスの練習メニュー「乱打+α」で楽しくストローク力UP!
ソフトテニスの練習メニュー「ショート乱打」の効果
ショート乱打を行うことで得られる効果とは、どのようなものでしょうか?
以下のようなことが期待できます。
■ショート乱打の効果
①ボールタッチが良くなる(細かなラケット操作が上手くなる)
②ローボレーが上手くなる
③レシーブが上手くなる
これら3つのポイントはお互いに関係しています。
一つずつ確認して見ましょう。
効果①ボールタッチが良くなる(細かいラケットワークが上手くなる)
ショート乱打を行うことで、ボールタッチが良くなります。
ボールタッチとは「ラケット面でボールをコントロールする感覚」のこと。
タッチという言葉そのものから、手のひらで触れているように精密なラケットワークという意味が伺えます。
ショート乱打とボールタッチ
ショート乱打はサービスコート内でラリーを行います。
使うコートは狭くなっていますが、ネットの高さは変わりません。
前述の通り、ソフトテニスはネットを越して相手のコート上にボールをコントロールする競技です。
狭い範囲でラリーをすると、よりコンパクトで精密なラケットワークが必要になります。
普段の乱打だとコート内に収まっていたはずのボールも、ショート乱打だと入らなくなります。
ボールをよく見て、細かなラケットワークでショットを調整することが自然と身に付いていくでしょう。
ボールタッチの感覚も、ボールをよく見てショート乱打を行うことで磨かれます。
「コントロールしよう」と考えるより、実際に制限を設けて必要性を生み出す方が効果的でしょう。
ボールタッチの重要性
ボールタッチが良くなると、プレー全体のレベルが上がる程の効果があります。
ソフトテニスのプレーにタッチ感は重要です。
ボールタッチは感覚的なもので教えられるものではないと思われがちですが、そうでもありません。
確かに感覚ではありますが、正しく練習すれば誰にでも身に付けることができるものです。
「タッチが良い」というと、前衛のボレーについてのイメージが強いと思います。
しかし実際には、ソフトテニスのプレー全てにおいてボールタッチの感覚は大切です。
ラケット面の細かな操作でボールをコントロールする感覚が身に付いていると、様々なメリットがあります。
■タッチが良くなるメリット
①ボールコントロールが良くなる
②打てるコースの選択肢が増える
③ショットの威力(スピード)が上がる
主に以上のような効果が挙げられます。
コントロール・コース・スピードと、技術全体のレベルが上がるようなイメージですね。
なぜタッチが良くなるだけで、プレー全体のレベルが上がるのでしょうか?
詳しい説明は別の機会に譲りますが、タッチはショットにおいて最も重要な、インパクトに直結するからです。
効果②ローボレーが上手くなる
ショート乱打はローボレーの練習としても有効です。
ローボレーは「足元(低い打点)で行うボレー」。
実際に見ると分かりますが、ローボレーとショートボールのストロークの打ち方はかなり似ています。
ノーバウンドとワンバウンドの違いはありますが、動きに共通している点が多くあります。
どちらもネットに近いところから、ネットを越えるボールをコンパクトなスイングで打ちます。
ショート乱打の場合はワンバウンドで打つので、比較的簡単なステップからスタートできるでしょう。
段階を踏んでローボレーのラケット操作を身につけることができます。
ボーレートいうとネット前に詰めた通常ボレーをイメージしますが、ローボレーの技術は重要です。
前衛・後衛に分かれた雁行陣でもサービスラインあたりの中間の位置でプレーする場面はよくあります。
前衛選手は、自分がサーブかレシーブを打った時には一度サービスラインで止まります。
ネットプレーで活躍するためには、確実なローボレーの技術が求められます。
後衛であってもローボレーは身に付けておきたい技術です。
ショートボールを拾った後、下がる余裕がないとき。
あるいは、チャンスボールを打って前に詰めたいとき。
近年は特にダブルフォワードを含め戦術が多様化しているため、オールラウンドなプレーが理想的です。
参考:【ソフトテニス】脳科学で上達!前衛ローボレーのコツと練習メニュー
効果③レシーブが上手くなる
ショート乱打が上手くなると、レシーブの技術向上も期待できます。
レシーブは相手サーブに対するストローク。
練習メニューとしては、乱打やサーブレシーブによっても上手くなります。
ショート乱打もまた、レシーブの練習には効果的です。
なぜならサーブはサービスコート内に入れるという条件があるからです。
特にセカンドレシーブの場合、コート内に踏み込んで打つことになります。
レシーブは「ネットに近いところで打って、ネットを越し、相手コート内にコントロールする」。
こう考えるとレシーブを打つ時の状況はショート乱打によく似ていると思いませんか?
ショート乱打をしないとレシーブが打てないわけではありません。
ですがラケット操作やボールタッチを磨くことで、より正確で多彩なレシーブのが打てるでしょう。
最後にトッププレーヤーたちのショート乱打の動画を紹介しておきますので、参考にしてみてください。
小林選手(MIZUNO)&船水颯人選手(YONEX)のショート乱打
柴田選手(YONEX)と林田選手(YONEX)の乱打(ショート乱打は冒頭部分)
参考:【ソフトテニス×脳科学】サーブ・ボレー・ストローク…コントロール向上の秘策!
参考:【ソフトテニス×脳科学】前衛ボレーの精度を上げるタッチとは?
まとめ
●ショート乱打はサービスコート内で行う乱打
●サービスコート内というルールを設定すると、体の動きが自然とルールに最適化する
●練習に必要性を作ると能力が上がりやすい
●ショート乱打で期待できる効果
①ボールタッチが良くなる(細かなラケット操作が上手くなる)
②ローボレーが上手くなる
③レシーブが上手くなる
●細かなラケットワークやボールタッチはソフトテニスのプレー全てに繋がる