本記事では、ソフトテニスの試合で勝てるようになるメンタル理論を解説しています。
「ダブルフォルトで喜んではいけない」は一般的な指導では強調されないことでしょう。
しかしこの考え方の中にはハイパフォーマンスのヒントが隠されています。
今回は分かりやすくダブルフォルトの場合をテーマとしていますが、様々な場面に通用する大事なポイントです。
なぜ試合のダブルフォルトで喜ばない方がいいのか?
ソフトテニスの試合中に相手がダブルフォルトをしたとしたら、皆さんはどう反応しますか?
おそらく多くの方は「ラッキー!」と喜ぶのではないでしょうか。
相手のダブルフォルトは喜ぶことはお薦めできません。
相手の一方的なミスを喜ぶことは、自分自身のパフォーマンスを下げることになります。
ソフトテニスで最高のプレーをして試合で勝つことから遠ざかるのです。
なぜなら「相手のサーブが入っていたら自分は実力ではポイントが取れない!」と自分の脳に刷り込むことになるからです。
試合で最高のパフォーマンスをするために必要なマインドの仕組みを押さえておきましょう。
エフィカシーを上げるとパフォーマンスが上がる
自分の能力の自己評価のことを「エフィカシー」といいます。
人間は自然とエフィカシー通りになります。
なぜなら人間の脳と心は、自然と一つの統合された世界(つじつまが合った状態)を維持しようとするからです。
つまりエフィカシーは高ければ高いほど良い。
自分の能力に対する自己評価が上がると、そのイメージに合わせた能力が後から身に付きます。
「自己評価通りの人間になろう!」と意識している必要はありません。
本人が気が付かなくても、無意識が強く抱いているイメージを自然に維持しようとします。
人間の脳は体の状態や行動に大きな影響を与えています。
脳は人間をコントロールしている司令塔のような役割なので、それも当然のことでしょう。
行動などの目に見える要素も大事ですが、まずは自己イメージを上げることから始めましょう。
エフィカシーが上がることで、目標達成のための行動は後から引き起こされます。
イメージが現実に影響を与える例としては、プラシーボ効果(偽薬効果)が挙げれあれるでしょう。
プラシーボ効果は、治癒効果がないニセモノの薬でも、本人が薬だと勘違いしていると体調が良くなるというもの。
プラシーボの場合、行動が引き起こされるまでもなく脳の働きそのものが体に直接影響を与えています。
信じている内容が事実かどうかは関係がありません。人間が何かを本気で確信しているとき、脳はその信念を実現するために働きます。
ソフトテニスの試合で勝つには高いエフィカシーが不可欠!
人間はエフィカシーに対応した成果を上げるように出来ています。
ということは、エフィカシーを上げればソフトテニスが上手くなるということです。
エフィカシーが挙げるとは、簡単に言えば自信を持つこと。
「私はソフトテニスが上手い」
「私が試合で勝つのは当然のことだ」
このような自己評価が本気で確信されていると、脳はそのイメージを実現します。
自己イメージと現実の間にズレがあると脳は違和感を感じ、そのギャップを修正しようとするのです。
ダブルフォルトを喜んだとき、脳内で起こることは何でしょうか?
自分が何もせずにポイントが入る状態を喜んでいる。
つまり「サーブが入っていたら、自分の力ではポイントがとれない」というメッセージを脳に刷り込むことになります。
良くも悪くも脳はエフィカシー通りのプレーを実現します。
エフィカシーが下がると、そのイメージに合わせたパフォーマンスになります。
無意識の働きによって、ミスをしたり試合に負けたりという結果が引き起こされます。
ダブルフォルトに限らず、相手の単純なミスを望むことはやめましょう。
パフォーマンスを良くするためには、「自分の最高のレシーブを披露したいからサーブを入れてくれ!」くらいの気持ちを持ちます。
現在の実力に関わらず、まずはイメージを高めるところから始めましょう。
また自分のパフォーマンス以前に、他人のミスを望むことそのものが良くありません。
日常生活はもちろんのこと、フェアネスの精神を重んじるスポーツでこそ控えるようしたいものです。
先ほどのエフィカシーの説明にも合った通り、高い自己評価を持つことで後から能力が身に付きます。
まず変えるべきはイメージです。自己評価=エフィカシーを先に上げるのが、ソフトテニス上達の正しい順番です。
行動を起こし能力を高めることよりも先に、心の働きがあります。
エフィカシーが上がることで、それに相応しい行動が引き起こされ、能力が後から上がります。
一流のアスリートたちから学ぶソフトテニスのマインド
相手のミスを喜ばない方が自己評価が上がり、結果的に自分のパフォーマンスが上がる。
これは脳と心の働きから考えると理論的に説明がつくところではあるので、それだけでも実践する価値があるでしょう。
一方で実際にどれだけパフォーマンスに違いが出るかという効果が測りにくいところでもあります。
「試合でダブルフォルトを喜ぶ選手と喜ばない選手の比較」
「あるいは、同じプレーヤーが試合でダブルフォルトを喜ぶ場合と喜ばない場合の比較」
これらの比較データを実際に得るのは困難です。
それもある程度の期間継続した場合でなければ、変化が確認できません。
その点、高いエフィカシーを維持している一流アスリートの事例は説得力があります。
そこでソフトテニス以外のスポーツシーンを参考に学んでみましょう。
理論的に正しいことと、再現性があること。
これら2つをしっかりと押さえ、正しいメンタル理論でプレーに臨みましょう。
タイガー・ウッズ選手の場合
タイガー・ウッズ選手はアメリカのプロゴルファーです。
ゴルフに強い関心を持っていない人でも、その名前を聞いたことがあるという人は多いでしょう。
タイガー・ウッズ選手は、常に自分のエフィカシーを高く保つことで高いパフォーマンスを維持しています。
彼のエフィカシーを示すエピソードをご紹介します。
相手選手がパットを外せば自分が優勝、決めれば試合はプレーオフ(延長)という場面。
タイガー選手は相手選手のパットを「入れ!」と心底願っていました。
実際には相手はパットを外し、その試合でタイガー選手は優勝。
優勝が決まった瞬間、なんとも不満そうな顔をしている写真が今でも残っています。
「これぐらいのパット、決めてくれよ!」
「このパットを外す相手とと優勝を争うのは自分に相応しいレベルではない!」
このような自己イメージが、強く自分の中で保たれているのでしょう。
詳しくは>>【ゴルフ】タイガー・ウッズ選手に学ぶソフトテニス上達のコツ!
マイケル・フェルプス選手の場合
マイケル・フェルプス選手は、アメリカの水泳選手です。
オリンピックでは通算28個のメダルを獲得しており、そのうち23個が金メダル。
これは水泳競技に限らず、オリンピック史上最多です。
出場するだけでも大変に困難なオリンピックの世界で、23個の金メダルを獲得するフェルプス選手。
彼の卓抜したパフォーマンスの理由もまた、高いエフィカシーです。
フェルプス選手は泳いでいるときは快適で、水の中はホームだと語っています。
夜寝る前にはオリンピックの決勝の舞台で最高の泳ぎをしているところをイメージし、つねに肯定的な自己対話を続けました。
またフェルプス選手のコーチ陣は、セルフトーク(自分が使う言葉)のコントロールを徹底していたと言います。
誰かがネガティブな発言をした途端、ヘッドコーチがセルフトークをポジティブなものに修正し、常にチーム内で高い自己評価を維持しました。
その効果はフェルプス選手の実績が物語っているところです。
詳しくは>>【水泳】マイケル・フェルプス選手に学ぶソフトテニス上達のコツ!
以上のように、高いエフィカシーが高いパフォーマンスを生み出すことは、世界の一流アスリートたちが体現していることです。
意識してエフィカシーを上げていない場合でも、高いパフォーマンスの裏には心理的な働きがあります。
圧倒的な実績を上げている一流アスリートたちに学び、徹底してエフィカシーを上げることが望ましいでしょう。
参考:ソフトテニスで前衛にも後衛にも不可欠な「エフィカシー」
参考:ソフトテニスで上達し試合に勝つために必要なゴール設定とは?
まとめ
●ソフトテニスで試合に勝つには高い「エフィカシー」=「自己評価」が大切
●相手のミスを喜ぶ=実力では勝てないという自己評価に繋がる
●自己評価を高めることで、後から行動や能力がついてくる