本記事では、高い打点で打つトップストローク=「トップ打ち」が気持ちよく打てる方法を解説します。
トップ打ちはワンバウンドで打つストロークの種類の一つ。
特に腰よりも上、肩辺りの高い打点で打つストロークのことを指します。
高い打点で打つストロークを苦手とする選手も多いようですが、正しい方法で練習すれば簡単です。
後衛のプレーの中で、特に威力ある攻撃的なショットですから、ぜひとも身につけて武器としたい技術です。
ストロークの種類と「トップ打ち」のコツ
後衛ストロークのトップ打ちが自在に打てると気持ちよくプレーができるものです。
もちろん気持ちだけでなく、試合でも有効な攻撃的なショットとなるでしょう。
ストロークの種類を整理すると?
始めに後衛のストロークの種類を整理しておきます。
ストロークは打点の高さ毎に、大きく3つに分けられます。
■ストロークの種類
・アンダーストローク:膝くらいの高さで打つストローク
・ミドルストローク:腰くらいの高さで打つストローク
・トップストローク:肩くらいの高さで打つストローク
体の利き手側で打つフォアハンドと、利き手と反対側で打つバックハンドについて、それぞれ「トップ・ミドル・アンダー」に分けられます。
例えば「フォアハンドのトップストローク」や「バックハンドのアンダーストローク」のような要領です。
高さはあくまで目安で、実際には厳密に分けることはできません。
後衛ストローク技術の中でも、特に威力が出るのがトップ打ちでしょう。
しかしトップ打ちが上手く打てず悩むプレーヤーも少なくありません。
トップ打ちが苦手な人が多い理由はシンプルで「打つ回数が少ないから」だと考えられます。
このことはバックハンドやスマッシュでも同様です。
乱打をしているときは、シュートボールでのラリーがメインになります。
シュートボールはバウンドが低いため、高い打点で打つトップ打の機会は少なくなるでしょう。
「打つ回数が少ないために上達がしづらく、苦手意識があるためにさらに打つ回数が減る」というサイクルになりがちです。
慣れによって技術が向上することは、前衛のバックハンドが良い例です。
前衛の選手はフォアよりもバックが得意という選手も少なくありません。
その理由は逆クロス側でのプレーが多く、バックハンドを打つ回数が多くなるからだろうと思われます。
前衛側でのレシーブは、バックハンドの必要性が後衛側よりも高いのです。
このような例からも、トップ打ちの打つ回数が多ければ得意になりやすいことが想像できます。
ですから、トップ打ちが上手くなる方法はシンプルです。
トップ打ちを多く打つこと。
アンダーやサイドストロークに比べてトップ打ちが難しく感じるのも、練習した回数が違うものを比較すれば自然なことです。
練習中にトップ打ちの回数を多めにする。
今は上手く打てなくても、気にせず回数をこなすことです。
得意なショットも始めから上手に打てた訳ではなく、回数をこなすことで上手くなっているわけですから。
トップ打ちが上手くなるコツ
以上のことを頭に入れた上で、さらにトップ打ちの上達を加速させるポイントを見ていきましょう。
トップ打ちを上手く打つためのポイントは2つです。
■トップ打ち上達のポイント
①感覚:ボールに合わせた動きを直観的に行う能力
②意識:「スイングの改善」や「技術の発揮」に効果的な心的状態
2つのうち重要度が高いのは「感覚」の方です。
とは言え感覚を身につけるためには正しい意識での練習が必要で、2つはお互いに繋がっているものだと捉えてください。
2つのポイントについて順番に理解していきます。
トップ打ちのポイント①「感覚」
後衛のトップ打ちが上手くなるためにはトップ打ちの感覚を身につけることが重要です。
感覚とは、言い換えると技術のことです。
技術という言葉を使うと、どうしてもテークバックやスタンスなどのフォームと結びつきやすいため、あえて感覚という言葉にしています。
ここでいう「感覚」はボールコントロール能力のことで、自分が狙ったところにボールが打てる能力のことです。
反復練習によって磨かれた感覚がなければ、どんなショットも正確に打つことはできません。
ソフトテニスの練習はフォームを重視することが多いですが、実際にはボールの打ち方が直観的に感じるための練習が必要です。
感覚を磨くというと生まれつきの才能のように感じられるかもしれませんが、誰にでも身に付けられるものです。
自転車に乗れるのは、フォームを覚えたからではなく感覚が身に付いているからです。
日本語を話せるのは、文法を覚えたからではなう感覚が身に付いているからです。
このように考えると、日常の様々な場面で私たちは感覚に頼っていることが分かります。
ストロークのトップ打ちも、自転車や日本語の場合と同じく、反復練習によって感覚が身に付きます。
ソフトテニスは体を動かすスポーツなので、知識を覚えることよりもむしろ、自転車に乗ることに近いでしょう。
自転車に何となく乗れるように、ソフトテニスのトップ打ちも何となく打てるようになります。
トップ打ちのポイント②「意識」
「意識」はこの場合、リラックスして集中している意識の状態を意味します。
練習でコンスタントにトップ打ちが打てる後衛でも、試合になると打てないことがあります。
これは技術の問題ではなく、試合でのプレッシャーなどの本人の意識状態が関わっています。
試合本番でも、自分が身に付けたトップ打ちの感覚(技術)を活かすためにはどうすればいいでしょうか?
それは練習で条件反射を作っておくことです。
試合本番の場面でもいつもと同じ動作によってリラックスした集中状態に入り、体が自然に動き出すように練習しておきます。
ストローク技術「トップ打ち」の練習メニュー
後衛のトップ打ちに大切なのは「感覚」と「意識」であることが分かりました。
ここからは、トップ打ちを身につける練習方法を考えてみましょう。
トップ打ち練習の基本は繰り返し
トップ打ちはボールだけに集中して打つことを繰り返すと、自然と感覚が磨かれていきます。
ボールに集中して反復練習を行う。
この方法はソフトテニスの全てのショットが効率よく身に付く方法です。
先ほどの説明にもあったように、ソフトテニスの技術は、自転車と同じように、繰り返しによって自然と身に付きます。
ということは、トップ打ちを繰り返し練習すればトップ打ちは上手くなります。
特別な練習メニューは必要がなく、ただ高い打点のボールを打つことを反復することで、脳はその動作を勝手に学習します。
この時大事なのが「考えないこと」です。
ソフトテニスが上手くなるためにしてしまうのが、感覚に任せるべき動作を考えて行うことです。
打ち方を頭で考えていると、脳の学習は妨げられ、体の自然な動きが使えなくなります。
しかし、考えないようにしようと思っても思考を止めることはできません。
そこで行うのが「ボールに集中すること」なのです。
ある一点に意識を集中させることで雑念を抑えることができます。
ボールに集中して、体の自然な動きに任せて、トップ打ちを繰り返し打つ。
これによって脳は最速で学習することができます。
考えないことでトップ打ちの感覚が磨かれていく
ボールに集中することでトップ打ちの「感覚」を効率よく身につけることができます。
またそれと同時に、試合のチャンスボールでもしっかりとトップ打ちができる「意識」を身につけることもできるのです。
日々の練習でボールへの「集中状態」を習慣にしておくことで、試合でも自然とボールに対する集中に入れるからです。
なぜボールに集中して打つことが、フォームを意識することより効果的だと言えるのでしょうか?
ソフトテニスのプレーを学習するのは脳です。
しかし脳はソフトテニスどころか、常に頭の中にあって外の世界に触れることはありません。
外界に触れることのない脳が、どうやってソフトテニスを学んでいるのでしょうか?
脳は体=五感を通じて送られてくる情報を基にして、ソフトテニスを学習しています。
脳に正確なソフトテニスの情報を伝えるには、意識をプレーに集中させることです。
ボールをよく見て、音を聴き、五感を澄ませてプレーを繰り返すことで、上達に必要なデータが脳へと送られます。
脳がプレーの情報を基に学習し、ソフトテニスが上達する。
このように捉えると、フォームを頭で考えることはプレーそのものから離れたノイズのようなものだと言えます。
ソフトテニスの効率的な上達法はシンプルです。
ボールだけに集中し、トップ打ちを繰り返し練習する。
ぜひトップ打ちの感覚を身につけ、攻めのストロークを自分のものとしてください。
・トップ打ちを打つ時はボールに集中する
・ボールという一点に集中することで脳内の雑念が減り高速で上達する
・チャンスボールが得意になるのも、集中状態を習慣化することで可能に
まとめ
●トップ打ちが苦手なのは「打つ回数が少ない」→「苦手意識」のサイクルがあるから
●トップ打ちのポイントは「感覚」と「意識」
●脳は繰り返しによって勝手に学習する→トップ打ちを繰り返し打つと上達する
●ボールだけに集中することでプレーの情報が正確に伝わり、ソフトテニスの上達が加速する