本記事では、後衛のストローク技術ロブのコツを解説しています。
ソフトテニスでもシングルスが注目されていますが、主流はダブルスというイメージがあります。
前衛・後衛に分かれる雁行陣では、立体的な展開が欠かせません。
特に後衛プレーヤーにとっては、シュートボールだけでなくロブを織り交ぜることが必須です。
「ロブ」の打ち方のコツと練習方法を理解していきましょう。
基本の理論は他のショットと同じですが、ロブにフォーカスを当てて考えてみます。
ストローク技術「ロブ」のコツ
後衛のストロークはシュートだけではなく、ロブを織り交ぜて打ち分けます。
試合で立体的な展開を作るためには欠かせない、ロブのコツとはなんでしょうか?
ストローク技術の本質は感覚
ロブを打つのに重要なのは「感覚」です。
感覚を磨くことでソフトテニスが上手くなります。
サーブもボレーもスマッシュも、上手い人のプレーは練習によって感覚が磨かれた結果です。
体の動き(フォーム)を細かく言葉で説明するとかえって打ちにくくなるため、ロブの簡単なポイントだけをご紹介します。
■ロブ上達のポイント
①繰り返し練習して感覚を磨く
②ドライブ回転(トップスピン)で打つ
ロブの打ち方は「習うより慣れよ」で、繰り返すうちに自然と掴めます。
乱打や後衛練習で繰り返しロブを打つようにしましょう。
次章で説明している効率の良い練習方法を実践すると上達が早くなります。
ソフトテニスの感覚とは、「体がどう動くとボールがどう飛ぶかが直観的に分かる状態」を意味します。
ボールの動きと体の動きのネットワークが作られ、何となくボールがコントロールできます。
「そんな感覚を身につけるのは無理だ」と思われるかもしれません。
ですが、現に人間は歩くときや自転車に乗る時ときは感覚でバランスを取り、周囲の物との距離を測って角を曲がったりします。
後衛のストロークでも重要なのは感覚。
繰り返し練習をすれば、ロブの感覚は確かに磨かれます。
インパクトがストロークの質を決める
「ロブは膝を使う」というアドバイスが見受けられますが、これは正確ではありません。
膝を使わなければ持ち上がらない程ボールが重いことはないでしょう。
高い軌道のボールを打つためのアドバイスかもしれませんが、それも膝の動きとはあまり関係がないと思われます。
乱打の一球目を想像してみてください。
一球目はロブ系のボールを上げますが、膝の曲げ伸ばしを使わないと打てないとは思えません。
ボールの軌道を本当に決めているのは「インパクト」です。
インパクトがボールとラケットが接触している唯一の瞬間だからです。
正しいインパクト=ボールとラケット面の接触ができれば、ロブも綺麗な放物線を描いて飛んでいきます。
インパクトはラケット面の角度だけではなく、スイングスピードも重要な要素です。
その意味ではスイング全体がロブに関わっています。
とは言え、スイングはリラックスした自然な体の使い方の話で「膝の曲げ伸ばし」との関係は薄いでしょう。
ロブを打つときにはドライブ回転を掛けるのが基本です。
ドライブ回転はストロークの主流で、ネットを越えた後にボールが沈みます。
ただし試してみると分かるように、ボールの軌道が高ければ高いほどドライブ回転が掛けづらくなります。
その場合フラットやスライス気味でもコースや軌道がコントロールできるならいいでしょう。
ここでも大切なのは「感覚」。
ロブのスイングを、ドライブ回転やフォームなどの決まった型に当てはめる必要はありません。
・ロブを打つポイントは体の感覚を使うこと
・ボールの軌道はインパクト時のラケット面によって決まる
・ソフトテニスのショットの上達は反復練習→ロブを繰り返し打つと上手くなる
参考:ソフトテニスの正しいフォーム=言葉の文法?言葉でソフトテニスが見えてくる!
ストローク技術「ロブ」の練習方法
ここからは、ストロークのロブの練習方法です。
前章で確認してきたように、ロブを打つために重要なのは「感覚」。
サーブもボレーもスマッシュも同じく感覚を磨くことが重要です。
ソフトテニスの感覚を磨くための練習方法は基本的にはどのショットも共通しています。
感覚とは才能ではなく、繰り返しによって脳が学習するものです。
ロブも繰り返し正しい方法で練習を行うことで誰でも身につけることができます。
ロブの練習メニューは以下の流れで行います。
■ロブの効率的な練習メニュー
①ボールの軌道のイメージトレーニングを行う
②ボールだけに集中して繰り返し打つ
③ロブを多めに打つ
一つずつ確認していきましょう。
練習法①ボールの軌道のイメージトレーニングを行う
後衛練習などを行う前にボールの軌道のイメージトレーニングを行いましょう。
ここでのイメージの目的は「これから行うことをあらかじめ頭の中でイメージして行う準備」をすること。
イメージトレーニングはボールの軌道だけではなく、試合前の準備としても効果的です。
イメージは実際にボールを打つ時ではなく、ボールを打つ前に準備段階として行います。
方法は「ボールの軌道を逆算でイメージ」すること。
自分が打ちたいポイントからネットの上を通り、自分の打点まで巻き戻していく感じです。
ロブの放物線の軌道を、逆向きにイメージしてみましょう。
そうするとロブの軌道が脳内に焼き付き、体が自動的にそのコースを狙うようになります。
脳はイメージした方向に勝手に向かう性質があります。
脳内にボールの軌道のイメージが焼き付いていれば、体の動きはイメージを再現するべく自然と働きます。
そのためロブをしっかりと習得したい方は、打つ前に軌道のイメージを作っておきましょう。
この後説明しているボールへの集中によって、脳がイメージを現実に再現します。
ロブが上手い後衛選手の動きを見るイメージトレーニングも有効です。
脳内で理想的な動きのイメージが作られます。
イメージができれば、自分の体の動きがそのイメージへと無意識のうちに近づきます。
練習法②ボールだけに集中して繰り返し打つ
ストロークを打つときには、ボールだけに意識を集中します。
ロブの場合であれば、乱打や後衛練習で、ボールをよく見て打ちましょう。
ボールに集中して練習を行うことで、脳がロブの「感覚」を最速で学習してくれます。
ボールに意識を集中すると、脳はボールの情報を正確にキャッチします。
ボールの情報とは、ボールのコースや回転、スピードなどのことです。
「相手がどのようにスイングすると、ボールがどのように飛んでくるか?」
「自分がどのようにスイングすると、ボールがどのように飛んでいくか?」
このような体の動きとボールの動きのパターンを、ボールに集中することで脳が自動的に学習してくれます。
ロブを打つ時にしっかりとボールを見て打ちましょう。
自分が打ったボールも見るようにして、五感で脳にボールの情報を送ります。
打ったボールを見ることで脳のフィードバック機能が働きます。
自分の体の動きの結果を元に次のショットを修正してくれるのがフィードバックの働きです。
自分で意識して覚えたり、修正しようとする必要はありません。
ボールに集中する習慣を身につければ、脳がロブの軌道を自動的に修正してくれます。
練習法③ロブを多めに打つ
ロブの練習をする簡単な方法は、ロブを打つ回数を増やすこと。
試合でロブの回数を増やす必要はありませんが、練習で意識して球数を増やすのはお薦めです。
例えば乱打はシュートボールの打ち合いになりがちですが、ロブを打つ回数をいつもより多めにしてみる。
後衛練習でいつもシュートを打つ場面で、ロブの打ち分けを試してみる。
自分の好きなショットや得意なショットに偏りがちな打球数を、少し意識してバランスを整えます。
ラリーで打ちやすいのは「オウム返し」です。
オウム返しはソフトテニスの正式な名称ではありませんが、ここでは相手と同じボールで打ち返すという意味で使います。
ロブに対して打ち返しやすいのはロブ。
シュートに対して打ち返しやすいのはシュート。
乱打でも自然と「ロブ同士」「シュート同士」のラリーになっていませんか?
そこで意識したいのが相手のシュートをロブで返す練習を行うことです。
この場合もボールをよく見て、シュートもロブもどちらも打てる体勢で打ち分けます。
シュートをロブで返すストローク技術は試合で重要です。
乱打や後衛練習でも数をこなしておくべきでしょう。
・脳は繰り返しによって自動的に学習する
・練習前にロブの軌道をイメージしておくとコントロールが上がる
・ボールを打つ時はボールに集中して脳内の雑念を減らす
まとめ
●ロブを打つのに最も大切なのは感覚
●ロブのポイントは2つ
①繰り返し練習して感覚で打つ
②ドライブ回転(トップスピン)で打つ
●ロブの練習メニューのポイントは3つ
①ボールの軌道のイメージトレーニングを行う
②ボールだけに集中して繰り返し打つ
③ロブを多めに打つ
●ボールに集中して打つことを繰り返す→脳にフィードバックが送られスイングが自動調節される