本記事では、ソフトテニスの「正しいフォーム」について解説しています。
フォームというと上級者のプレーの表面で、機能面に目がいかないことが多いようです。
今回はフォームの本質を探っていきたいと思います。
ソフトテニスの「正しいフォーム」とは?
「フォームをしっかり意識して」
「なんとなくで打たないで」
このようなアドバイスを皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか?
実際にはフォームを意識して真面目に練習しても上手くいかないケースがよくあります。
ではソフトテニスで本当に正しいフォームとはなんなのでしょうか。
ソフトテニスのフォームを整理してみよう
フォームについて整理してみましょう。
■「フォーム」を2種類に整理する
・表面的なフォーム:ソフトテニス上級者の動きを外側から説明したもの→説明は間違いではないがハイパフォーマンスの原因ではない
・機能的なフォーム:ボールに合わせた効率的な体の運動やその理論→ボールの変化などの状況に対応する感覚
「腰を落として」「フォロースルーは首に巻き付けて」。
これらのようなスイングの形を分けて考えるものを表面的なフォームと呼ぶことにします。
一方で現実にボールをコントロールする体の動きを機能的なフォームと呼びます。
ソフトテニスの正しいフォームがあるとすれば、機能的なフォームということになるでしょう。
フォームは後付けの説明?
ソフトテニスの「腰を落として」というような従来のフォームは後付けの説明と言えます。
ソフトテニス上級者が感覚で行っている動きを切り取って、言葉で表現したものです。
「上手い人はフォームが綺麗」。
確かにトップ選手は綺麗なフォームで打っているように見えます。
「上手い人はフォームが綺麗」≠「フォームが原因でソフトテニスが上手くなる」
ソフトテニス上級者のフォームは結果として身に付いているものです。
反復練習によって体の動きが効率化。
その結果として全身が連動するスムーズで綺麗なフォームに見えるのです。
フォームで重要なのは形ではなく機能です。
トップ選手のスイングを可能にしているフォームの内側が大切なのです。
ソフトテニスの「正しいフォーム」
ソフトテニスのフォームは上級者のプレーを後付けの説明したもの。
ではタイトルにある「正しいフォーム」とは何なのでしょうか?
■正しいフォームのポイント
・ボールに合ったスイング
・全身が連動した動き
ソフトテニスの正しいフォームは「ボールに合ったスイング」のことです。
どんなに形が綺麗でもボールに当たらなければ綺麗な空振りです。
スイングの正しさは状況によって変わります。
状況に対応する感覚を身に付けることが結果として正しいフォームを生みます。
ボールを思い通りにコントロールする機能を持っていることが機能的なフォームであり、正しいフォームです。
ボールに合ったスイングが不可欠
ソフトテニスの全てのショットはボールに合ったスイングが重要です。
素振りがいくら綺麗にできても、ボールに合わせられなければショットは安定しません。
・ラリー中のボールは毎回変わる
・毎回違うフォームで直観的に対応する
ソフトテニスは毎回変わるボールにラケット面を最適にインパクトします。
同じフォームではボールの変化に対応できません。
プレーヤーは毎回違うフォームでボールの変化に対応します。
目の前のボールに直観的に対応することこそがフォームの本質、機能です。
これが「正しいフォームは状況による」ということの意味です。
ボールに合ったフォームの2つの意味とは?
ボールに合わせることは直観的な働きです。
プレー中には深く考える必要はありません。
説明のために整理すると、ボールに合わせることには2つの意味があります。
■「ボールに合わせること」
①飛んでくるボールに合わせる:相手が打ったボールに対応する動き
②飛んでいくボールに合わせる:自分が打ちたいボールに対応した動き
それぞれについて見てみましょう。
飛んでくるボールに合わせる
ボールを正確にインパクトするためには相手が打ったボールに対応します。
飛んでくるボールの速度・コース・回転などです。
例えばバウンドが高い場合と低い場合では、当然打ち方は変わります。
これが①飛んで来るボールに合わせることです。
飛んでいくボール(打ちたいボール)に合わせる
「自分がロブを打つ場合」
「自分がシュートを打つ場合」
イメージすると、それぞれ自分のスイングが変わることが分かるはずです。
「ロブとシュートのフォームの違いは…」と頭で考えなくても場面を想像すれば直観的に違いが感じられることでしょう。
細かな動きを意識する必要はなく、打ちたいコースに向けて脳が無意識レベルで働きます。
脳は思い描いたイメージに向けて全身を無意識にコントロールします。
例えば机の上の消しゴムを取ろうとすると、まず足の筋肉が動き、腕から手先まで最適に働きます。
ボールに合った動きが感覚でできるように練習すること。
そうすればボールコントロールが上手くなりソフトテニスが上達します。
ボールに合った動きが正しいフォームで、それを行うのは反復練習で身に付く感覚です。
・ソフトテニスのフォームは上級者の動きを後から説明したもの
・「正しいフォーム」とはボールに合った効率的な体の動きのこと
・ボールという状況に対応する感覚が機能的なフォームを生む
「正しいフォーム」を身につけるために重要なもの
正しいフォームはボールに合ったスイング。
常に変化するボールに対応する機能的・流動的なフォームはどうすればどうすれば身に付くでしょうか?
「正しいフォーム」でボールを打つためのポイント
ボールに対応する動きを実現するポイントは「感覚」です。
感覚は自転車のように反復練習で磨くことができます。
効果的な練習を行いソフトテニスの感覚を養いましょう。
ここでソフトテニス上級者のプレーを想像してみてください。
「後衛なのにボレーも上手い」
「前衛なのにシングルスも強い」
このようなオールラウドに技術が高い選手が実際にいます。
一つでも難しい技術がなぜ幅広く身に付いているのでしょうか?
「ボールに合わせる感覚」は全てのショットに共通するものだからです。
もちろん「ストローク練習」「ボレー練習」など個別の練習も行っていることでしょう。
しかし個々のショット習得のベースにはボールに合わせる感覚です。
ソフトテニス上達はボールと体の動きのネットワークができること。
これがボレーでもストロークでも最適なフォームを実現する本質です。
「フォアハンドのフォーム」「バックハンドのフォーム」と分けなくても一気にカバーできるのです。
「感覚」を磨くための練習方法
ボールに合わせた正しいフォームを身に付ける練習方法。
■正しいフォームを身に付ける方法
・「反復練習」で脳は自然に感覚を学習していく
・「ボールを感じる」ことでボールに対応したフォームが身に付く
感覚は反復練習を通して磨かれていきます。
自転車の乗り方の理屈は本人にもよく分からないものです。
フォームを学習する脳のメカニズム
脳は繰り返しによって自動的に学習します。
好奇心を持って物事に取り組むことで、脳は新しい神経ネットワークを強化していくのです。
ソフトテニスも本来は繰り返しによってどんどん上手くなります。
初心者の上達プロセスを参考にしてみましょう。
■初心者のソフトテニス上達プロセス
・ボールの落下地点が予測できない→ボールの軌道が予測できるようになる
・ボールがあちこちに飛ぶ→ボールが狙ったところに飛ぶようになる
これらはフォームを意識することで身に付いているのではありません。
繰り返しによって最適なスイングフォームを体で感じ取っているのです。
これがソフトテニス上達の自然なプロセスです。
先述の通りボールは毎回変わります。
フォームを覚えてもボールの軌道は予測できず、コントロールも向上しません。
初心者の頃、ただ夢中でボールを打っている中に上達の理があるのです。
頭を使って決まったフォームを覚えようとすると体の感覚が上手く働かなくなっていきます。
「ボールを感じる」とフォームが生まれる
優れた機能を持ったフォームを身に付けるには「ボールを感じる」ことが大切です。
フォームを気にせず目の前のボールに意識を集中します。
体に任せて気持ちよくラケットを振りましょう。
ボールをよく見て集中すると脳がボールの動きを感知します。
「相手が打ったボールは、どうやって飛んでくるだろうか?」
「自分が打ったボールは、どうやって飛んでいくだろうか?」
ボールを感じることを続けると脳はショットの感覚を学習していきます。
ちょうど自転車に乗れるように、繰り返しで何となくできるようになります。
ボールに合った動きができればボールコントロールは向上する。
このとき結果として、プレーヤーのフォームは状況に合わせた「正しいフォーム」になっているのです。
・「ボールに合わせる感覚」は全ショット共通
・感覚は反復練習で磨くことができる
・「ボールを感じる」と脳がスイングの感覚を学習する
まとめ
●ソフトテニスの「フォーム」は上級者の動きの外側を説明したもの
●「上手い人はフォームが綺麗」≠「フォームを意識すれば上手くなる」
●「正しいフォーム」はボールに合った動きのこと
●脳は反復練習で自然に学習して感覚を身に付ける
●「ボールを感じる」ことを繰り返すと結果として最適なフォームが生まれる