本記事は前回解説した「後衛の奥儀」に続き「前衛の奥儀」もについて考察したものです。
普段は語られることのないトップ前衛プレーヤーが持つ技術の秘密に迫ります。
スポットライトが当てられていない、前衛の「隠れた技術」とは何でしょうか?
前衛ボレーの「隠れた技術」とは?
ソフトテニスのハイレベルな前衛が必ず身に付けている、隠された技術。
前衛ボレーにおける隠された技術を紐解いていきましょう。
優れた前衛のボレーは打点を「エリア」で捉えている
ソフトテニスの前衛でハイレベルな選手は「周辺に強い」という特徴があります。
これはフォアボレーなどのある一点のコースではなく、プレーヤーの周囲に来たボールに即座に対応できることを意味します。
フォアボレー・バックボレーなどボレーの打点を「点」として制限しない。
プレーヤーの周囲の「エリア」でボールを捉えて、打点を面として対応する。
この「エリア」でボレー打つことがハイレベルな前衛が身に付けている技術です。
ある一点でボレーを捉えているのか周辺のエリアでボレーを捉えているのか。
この違いは外から見ていると分かりませんが、試合になると格段の差があります。
同じクロス展開でポーチボレーに出るのでも、前衛がラケットで捉えることができるコースの幅が全く違うからです。
「前衛のリーチ」を考えてみよう
「ウィングスパン」と呼ばれるものがあります。
ウィングスパンは両腕を左右に伸ばした時の片方の指先からもう一方の指先までの長さで、およそ本人の身長くらいになります。
腕が届く範囲は肩を中心とした円形を描き、スポーツにおける「リーチ」にも繋がります。
ソフトテニスの場合は片腕でラケットを持っているため、ウィングスパンという言い方はしないようです。
腕を伸ばしてラケットが届く範囲はプレーヤーの「リーチ」で、これはボレーにも関わるものです。
ここでは「腕の長さ+ラケット」分の長さが「前衛のリーチ」だと考えます。
リーチが長いに越したことはないですが、それ以上に重要なのがリーチの範囲内のボールに反応することです。
テニスコートの横幅は10.97mとされていますから「反応可能なリーチが体の周囲の1mなのか、2mなのか」はラリー中に大きな差を生み出すことでしょう。
もちろん、同じ選手でもボールの速さや相手プレーヤーとの距離によって対応できるエリアは変わります。
近距離からの前衛アタックでは、腕を目いっぱい伸ばしたコースへの対応は難しいでしょう。
前衛はあくまで最大の場合で「腕の長さ+ラケット」を半径とするエリアのボールに届くことになります。
フォアボレーを予測してそのコースだけを取るのと、フォアボレー以外の周辺エリアにまで対応が及ぶのとでは、捉えらえるコースが違うことがよく分かりますね。
先ほど「点」と「面」と表現しましたが、現実のプレーにそれだけ大きな違いが現れます。
ハイレベルな前衛の内側で起きていることとは?
なぜソフトテニスのハイレベルな前衛は「ボレーがエリアで捉えられる」のでしょうか?