勝てないのは「わざと」?こうすればソフトテニスの試合で勝てる!
今回は、ソフトテニスの試合でのパフォーマンスを、脳の仕組みから考えてみましょう。
「次の試合こそ初戦突破したい」
「試合でもっと上に上がりたい」
このように考える方は多いと思います。
ところが本人が勝ちたいと思っていても、脳は「変わりたくない」と感じているかもしれません。
脳は試合に勝ちたくないと思っている時、「わざと」勝たないで済むように働いてしまう…
ソフトテニスの試合で勝つための科学的な方法とはどのようなものでしょうか?
Contents
脳がソフトテニスの試合に勝ちたいとは限らない
「ソフトテニスの試合で勝ちたいのに勝てない…」
脳はこの時「わざと」負けているかもしれません。
本人が勝ちたいと思っていても、脳は勝たない状態を快適だと感じる場合があります。
「コンフォートゾーン」と「ホメオスタシス」
皆さんは「コンフォートゾーン」という言葉をご存知ですか?
コンフォートゾーンは、脳が慣れ親しんだ快適だと感じる空間を意味する言葉です。
人間はコンフォートゾーンから外れると居心地が悪くなり、無意識にコンフォートゾーンに戻ろうとします。
コンフォートゾーンを維持する働きをホメオスタシス(恒常性維持機能)と呼びます。
ホメオスタシスは体温を一定に保つような働きのことで、人間はこの機能が心理的な世界にまで及んでいると考えられます。
この働きにより、脳は自動的にコンフォートゾーンの範囲内の自分を維持します。
ホメオスタシスは生命維持のために備わっていると考えられ、それゆえに強力です。
昨日まで生きられた世界を、今日も、明日も維持する。
生存戦略として有利だったからこそ、現在まで生物の中に埋め込まれている働きなのでしょう。
ソフトテニスとコンフォートゾーン
ソフトテニスの試合でのプレーは無意識にコンフォートゾーンの範囲内になっています。
本人にその自覚がなくても、試合でのパフォーマンスは自然と慣れ親しんだレベルに調節されています。
重要なのは、脳が優先するのは良いか悪いかではなく、慣れ親しんだ世界であるという点です。
コンフォートゾーンの働きを理解するために学校のテストを例に挙げて考えてみましょう。
ある学校の生徒が、テスト期間に入って部活も休みになり、時間に余裕ができたとします。
本人は前回よりも成績を上げたいと思っていますが、空いた時間でつい漫画を読んだり、SNSを開いたりしてしまいます。
テストが終わって結果が返ってきてみると、そこにはいつもと変わらない点数が並んでいます。
このようなことは誰しも経験があるのではないでしょうか。
例に挙げた生徒にとっては「テストの点数が低い自分」がコンフォートゾーンになっています。
本人が成績を上げたいと考えていても、脳が勉強をしなくて済む理由を作り出し、元の状態を維持します。
テスト勉強以外の行動を取っているのも、その裏側には心理的な働きがあります。
自覚の有無とは関わりなく、現実に取っている行動パターンを整理すれば、そこには無意識の働き(コンフォートゾーン)が浮かび上がってきます。
ソフトテニスが上手くなりたくてもなれない。
このように感じているプレーヤーの脳内では「上手くなれないと感じている現在の自分」が快適な空間となっている可能性があります。
これは無意識の働きであって、実感は湧きにくいものですが、テストの例のように現実の人間の行動とも符合する考え方です。
ソフトテニスの試合でパフォーマンスを上げる方法
人間がコンフォートゾーンへと移行するのは無意識の働きで、基本的には本人に自覚がありません。
繰り返しますが、脳の基準は良いか悪いかではなくコンフォートゾーンに合致するか否かです。
ソフトテニスの試合で勝つことがコンフォートゾーンなら脳はその実現に向かいます。
試合で負けることがコンフォートゾーンなら、脳はそちらを実現します。
試合で勝つか負けるかは本人がどちらを望むかではなく、本人の脳(無意識)がどちらをコンフォートゾーンとしているかに左右されます。
意識の上では「勝ちたい」と思っていても、脳がわざと負けを選択するということが起こり得ます。
勝つことがコンフォートゾーンでも100%勝つとは言えませんが、少なくとも、脳はその実現のために最高の貢献をします。
今度は、ソフトテニスの試合での場面を例に挙げてみましょう。
あるソフトテニスプレーヤーが、試合でなかなか勝つことができず、負けることに無意識に慣れているとします。
この選手がある日、試合で格上の選手を相手に序盤でリードを握りました。
「このまま行けば、勝てるかも…」という淡い期待を抱いたものの、後半で相手は調子を上げ、反対に本人はミスが増え、結果は負けとなりました。
この時、序盤でリードしていた選手は、無意識のうちに居心地の悪さを感じます。
本人は嬉しく思っていても、脳にとっては自分が本来あるべき姿ではありません。
慣れ親しんだコンフォートゾーンを維持するために、後半でミスして試合を負けに持ち込みます。
本人が意識して「わざと」ミスをしている訳ではありませんが、ミスを引き起こしているのは本人の脳(心)です。
「クリエイティブアボイダンス」の記事にも書いてある通り、人間は慣れ親しんだ自分を維持するためには大変クリエイティブです。
前章での例で言えば「勉強しないと…」と思いながらも、つい漫画を読んだりSNSを見てしまったりと、様々な理由が浮かんでいますよね。
勉強をすると点数が上がってしまい、現状を維持できなくなるため、無意識が勉強しなくていい理由を創造的に生み出します。
コンフォートゾーンをずらすとソフトテニスが上手くなる!
脳は慣れ親しんだコンフォートゾーンを維持します。
ではソフトテニスの試合で勝てるようになるにはどうすればいいのでしょうか?
ソフトテニスが上手く、試合で勝てる自分をコンフォートゾーンにすることです。
慣れ親しんだ現状を維持するホメオスタシスの力を逆向きに利用し、目標達成に使います。
これはかなり強力な方法です。
「ソフトテニスが上手い自分」「ソフトテニスの試合で勝つ自分」をコンフォートゾーンにするには、自分が既にそうなっているというイメージを作ります。
イメージは「ワード・ピクチャー・エモーション」=「言葉・映像・感情」の3つの要素によって成り立ちます。
言葉や視覚的なイメージを使って、自分が理想のプレーをしているところを臨場感豊かに描きます。
「私はソフトテニスが上手い」
「私はソフトテニスの全国大会で優勝して誇らしい」
このように目標を既に達成しているという言葉を繰り返し唱え、脳に刷り込みます。
言葉を唱えるのは実際に声に出してもいいですし、頭の中でも構いません。
また映像でのイメージングも効果的です。自分が理想のプレーをしているところを繰り返しイメージします。
理想のプレーのイメージが強化されると、脳は「現在の自分」と「イメージの自分」の間にギャップを感じます。
脳はギャップに違和感を感じ、無意識にそれを解消しようとします。
脳は臨場感が高い空間をコンフォートゾーンとして維持します。
理想のイメージが強化されれば、イメージの自分があるべき自分として選択されます。
現状を維持するホメオスタシスの力によって、ソフトテニスが上達し、試合で最高のプレーができるでしょう。
先ほどの勉強の例で言えば「ついSNSを開いてしまう…」という心の働きを、目標に向けて駆動します。
つまり「つい勉強を進めてしまう」という心の状態を、自分で意識して作り上げてしまうということです。
ここにはもはや努力という感覚は必要がありません。
「自分がつい行ってしまうこと」という感覚で、目標に向けてフルパワーで進むことができます。
参考:ソフトテニスの試合で初戦負けから抜け出す「心の使い方」
参考:ソフトテニスの試合で勝つために重要な「セルフトーク」とは?
まとめ
●「コンフォートゾーン」=「慣れ親しんだ快適な空間」
●「ホメオスタシス」=「現状維持機能」
●人間はホメオスタシスによって、自動的にコンフォートゾーンを維持する
●試合に負けることがコンフォートゾーンになっていると、脳は自然と負けに向かう
●「ソフトテニスが上手い自分」「ソフトテニスの試合で勝つ自分」がコンフォートゾーンになると、ホメオスタシスが目標達成を強力にバックアップする