【ソフトテニス×脳科学】前衛のスマッシュが劇的に上達する練習メニュー!
今回は、ソフトテニスのスマッシュが上達する練習メニューを解説しています。
スマッシュはソフトテニスのプレーの中でも魅力のあるショットですね。
威力のあるスマッシュが決まると、同じ1点でも爽快なものです。
また前衛がスマッシュを決められるということは、立体的(高さがある)な展開に対応できているということです。
上のボールを追われると、相手の選手にとっては配球に迷いが出てきます。
そんな前衛の技術、スマッシュの上達法を見ていきましょう。
前衛スマッシュの技術を理解しよう
前衛のスマッシュについて本章のポイントをまとめておきます。
・スマッシュの技術の本質は感覚で、ボールに合った動きが直観的にできることが大切
・スマッシュ上達にはボールに合ったフットワークとスイングを身に付けること
・脳は繰り返しによって自動的に学習する
・スマッシュの動作の感覚を、反復練習で磨くことが上達のプロセス
各ポイントを詳しく見ていきましょう。
スマッシュの技術は感覚
ソフトテニスの「技術」=「感覚」です。
スマッシュが上手くなるというのは、感覚を身につけるということ。
狙ったところにスマッシュが打てる感覚が身に付くことが、スマッシュが上手くなるということです。
感覚は才能とは違います。
自転車が感覚によって乗れるように、本来人間の体は直観的な動きができるものです。
上級者の直観的な動きの形=フォームを覚えても、ソフトテニス上達には繋がりません。
フォームを意識するとむしろ不自然な動きになるでしょう。
ソフトテニスで打つボールは毎回違いますから、毎回違うフォームで対応することが必要です。
正確にボールが打てる上級者たちは、自然と毎回違う打ち方でボールに対応しているのです。
一つ一つフォームを意識していてはとても打てません。
スマッシュの技術も、反復練習によって身に付く感覚こそが本質です。
脳は繰り返しによって自然と学習する性質があります。
正しい方法で練習した結果、体の効率的な動きが身に付く。
全身が連動した効率の良いスイングは、結果として「綺麗なフォーム」になります。
フォームはソフトテニス上級者の動きを後から説明したもので、上達の原因ではありません。
ボールに合った動きができればスマッシュが打てる
ソフトテニスのプレーの基本は「ボールのところに行くこと」と「ボールを打つこと」です。
つまり、フットワークとスイングの2つの面でプレーが成り立っています。
スマッシュもまた、フットワークとスイングの2点で考えられます。
スマッシュの動作を簡単に整理してみましょう。
・スマッシュのフットワーク
→ボールの軌道を予測して下がり始め、落下地点まで追う
・スマッシュのスイング
→ボールに合ったスイングでインパクトする
以上のように、スマッシュのプレーもまたフットワークとスイングで成り立っています。
2つの共通点はボールに合った動きをするということ。
ボールに合わせて動き、ボールに合わせてスイングします。
この一連の流れを感覚で行えるように練習するとスマッシュが思い通りに打てるようになります。
参考:ソフトテニスの試合で力を発揮するには「条件反射」を作ること!
参考:【ソフトテニス×脳科学】前衛ボレー&スマッシュの「タイミング」を掴むコツ!
前衛スマッシュが上達するポイント
ここからは前衛のスマッシュが上達する方法を解説します。
ポイントはこちらです。
・ボールに集中してスマッシュ練習を行うことで、ボールに合った動きが身に付く
・集中状態でスマッシュを打つことで、脳はプレーのパターンを自動的に学習する
・スマッシュの理想のイメージを作ると現実の動きがイメージへと近づく
先ほど確認したように、スマッシュで重要なのは感覚です。
繰り返し練習することでスムーズなフットワークとラケットスイングが身に付きます。
ポイント①ボールに集中する
感覚を磨くポイントはボールに集中すること。
ボールだけに集中することでソフトテニスの練習効果が上がります。
フォームなどは気にせず、体に任せて気持ち良くボールを打ちましょう。
人間はある一点に集中することで、学習効率が飛躍的に上がります。
ソフトテニスのショットはボールに合わせた動き(スイング)が必要。
ボールだけに意識を集中させることで脳がボールの情報をキャッチし、自然と体の動きが最適なものになっていきます。
自転車が上達した時のように、繰り返しによって脳は自然とスマッシュの技術を学習します。
ボールという一点に集中することで余計な雑念をキャンセルすることができます。
始めのうちは効果が感じられませんが、続けるうちにボールの動きと体の動きがネットワーク化されます。
ボールの軌道や落下地点がより速く正確に予測できるようになります。
効率の良いスイングが身に付き、スマッシュの威力と精度は飛躍的に上がるでしょう。
また、ボールへの集中によってチャンスボールも打ちやすくなります。
集中状態を習慣化すると余計なことを考えることなく自然に体が動くからです。
大事な場面でも思い切ってスマッシュを打つことができるでしょう。
ポイント②イメージトレーニングをする
スマッシュが上手くなるためには、イメージトレーニングが有効です。
スポーツは見るだけでも上手くなります。
他人の動きを見るだけでも、脳内ではその動作がシミュレーションされます。
映画を見て感動して涙を流したり、恐怖で心拍数が上がることもあります。
リアルなイメージは現実の体に影響を与えます。
イメージトレーニングの方法は以下の2つ。
①スマッシュが上手い選手の動きを見る
②自分が最高のスマッシュを打っているところをリアルにイメージする
まずはスマッシュが上手い選手の動きを何度も見ましょう。
スマッシュのイメージを掴んだら、自分が最高のスマッシュを打つイメージトレーニングも行ってください。
シューズが地面を蹴る感覚、インパクトの痛烈な打球音、コートにスマッシュが突き刺さるように決まる爽快感。
五感や感情を伴うよう臨場感豊かなイメージを繰り返し味わいましょう。
ボールを打つときには、ボールだけに集中しましょう。
イメージトレーニングはボールを打たない時間に、準備として行ってください。
イメージを高めておいて、ボールを打つときにはボールだけに集中する。
脳内に焼き付いたスマッシュの動きが現実のプレーとして再現されていきます。
以下では九島選手、柴田選手のスマッシュが見られる動画をご紹介します。
こちらは講習会での練習の様子で、選手の動きが見やすい映像となっています。
【九島選手(MIZUNO)の練習】
【柴田選手(YONEX)のスマッシュ】
参考:脳機能で理想のプレーを実現!ソフトテニス上達の2つ目のポイント「イメージ」
前衛スマッシュの練習メニュー
前衛のスマッシュが上達する具体的な練習メニューを見ていきましょう。
【スマッシュの練習メニュー】
①スマッシュを打つ練習
1.手投げのボールでスマッシュを打つ
2.上げボールを追ってスマッシュを打つ
②スマッシュの動作の練習
1.キャッチボールをする
2.タオルでイメージ素振りをする
③スマッシュのフットワークの練習
1.上げたボールを追って、手でキャッチする(ボールは打たない)
練習メニュー①スマッシュを打つ練習
ボールを上げてもらって実際にスマッシュを打つ練習です。
こちらは最も基本的なスマッシュの練習で、部活の練習メニューとしても行っていると思います。
1.手投げのボールでスマッシュを打つ
手投げのボールでスマッシュを打つ練習です。
手投げの上げボールのいいところは、ボールをその場で打てること。
スマッシュはフットワークも大切ですが、ボールを強打する感じを掴むには手投げの練習がお薦めです。
スマッシュを打つときはボールだけに集中して打ちましょう。
打ち方などは気にせず、ボールをよく見てリラックスしてスイングしてください。
繰り返すうちに上手くインパクトできるようになります。
2.上げボールを追ってスマッシュを打つ
スマッシュの練習の中で最も基本的な形だと思います。
ベースライン付近からボールを上げてもらい、ボールを追ってからスマッシュします。
最もオーソドックスなスマッシュ練習法なので、すでに行っている方も多いでしょう。
試合でのスマッシュの動きに近いため、この練習メニューで正確にスマッシュが打てるのは理想的です。
ボールをよく見て練習を繰り返すことで素早く落下地点に入り、正確なインパクトができるようになります。
同じ練習メニューも意識次第で効果は格段に変わります。
この練習の中では「フットワーク」と「ラケットワーク」の両方が求められます。
特に初心者の方は、先ほどの手投げの練習からステップアップするのがお薦めです。
練習メニュー②スマッシュの動作の練習
こちらの練習メニューはスマッシュの動作の練習になります。
実際にはボールを打たずにスムーズな動きを身に付けましょう。
運動機能のトレーニングは一見遠回りなようですが、ソフトテニスのプレーにしっかりとした土台が作られます。
1.キャッチボールをする
キャッチボールはソフトテニスの上達に効果的です。
サーブやスマッシュの練習には特に効果が期待できるでしょう。
「スマッシュの練習なのにキャッチボール?」と思う方もいるかもしれません。
しかしキャッチボールは全国大会上位に進出するソフトテニス部でも実践されていますし、硬式テニスの練習としても薦められています。
ソフトテニスのスマッシュのコツ!でも書いたように、サーブやスマッシュは投球動作に似ています。
ストロークの動きなども、体の連動や腕の振りが投げる動きと共通しています。
ソフトテニスのスイング動作がキャッチボールによって磨かれるということです。
【通常のキャッチボール】
相手と向き合ってキャッチボールをします。
ボールをよく見てリラックスして行ってください。
【遠投】
より大きなエネルギーを生み出すために、遠くにボールを投げる練習をします。
ボールが遠くに投げられるということは、上手に運動連鎖が使えている証拠です。
【フライ練習】
高くボールを投げて、それをキャッチする練習です。
フライ練習は、主にキャッチする側がボールとの距離感を養えます。
投げる側も立体的なボールの軌道を感じるための練習になります。
スマッシュはロブを追う形になりますから、フライ練習で落下地点を掴む練習が役立つでしょう。
2.タオルでイメージ素振りをする
タオルでスマッシュの素振りを行います。
ラケットでボールを打つ方がインパクト時のボールタッチの感覚がつかめます。
ただし、ラケットで打つ場合は「体の動き」と「ラケット面の感覚」を一度に練習します。
そのため特に初心者の方は難しく感じるかもしれません。
そこでタオルを使って素振りをします。
タオルを半分に折るくらいが、スイングするにはちょうどいいでしょう。
何も持たずにシャドーピッチングのように腕を振っても良いのですが、タオルがあるとラケットを振っている感じに近づきます。
タオル素振りだけでも体の動きはスムーズになります。
さらに効果的なのは、タオルを振るときにイメージを使うこと。
「ボールを完璧にインパクトし、気持ちよくスマッシュを打っている」
このような理想のスマッシュのイメージを、臨場感豊かに思い描きます。
練習メニュー②スマッシュのフットワークを練習する
前衛スマッシュのフットワークを中心に練習する方法です。
ボールを打たずに練習をすることで、よりシンプルに動作を練習することができます。
1.上げたボールを追って、手でキャッチする(ボールは打たない)
この練習はスマッシュの足の運び=フットワークの練習になります。
ボールを追って実際にスマッシュを打つと動作は複雑になります。
そこで動きをシンプルにして、ボールの落下地点まで移動するフットワークの練習をします。
ボールをキャッチするときは頭の上で、利き手と逆の手をあげてキャッチします。
そのあとボールを利き手に持ち替え、投げ返すといいでしょう。
ちょうど野球選手がフライをキャッチして、送球するような要領ですね。
この練習によってスマッシュの落下地点に入って打つ準備の練習ができます。
以上がスマッシュの練習メニューです。
通常のスマッシュ練習と組み合わせて行うとより効果が上がるでしょう。
キャッチボールは練習の合間の時間でもできますし、タオルでの素振りは家で1人でも行えるメニューです。
コートを使える時間は限られていますから、打てる時には実際にラケットでスマッシュを打つといいでしょう。
参考:脳が最速で学習する!ソフトテニス上達の1つ目のポイント
まとめ
●スマッシュの技術の本質は「感覚」
●ボールに集中して繰り返し練習することで、脳がプレーを自動的に学習する
●イメージトレーニングを行うことで上級者のスマッシュの動きがコピーできる
●スマッシュの練習メニュー
①スマッシュを打つ練習
1.手投げのボールでスマッシュを打つ
2.上げボールを追ってスマッシュを打つ
②スマッシュの動作の練習
1.キャッチボールをする
2.タオルでイメージ素振りをする
③スマッシュのフットワークの練習
1.上げたボールを追って、手でキャッチする(ボールは打たない)